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【福岡】の「屋台」で飲む! 酒飲みの街、福岡の夜を、地元出身ライターが体験

私は福岡県生まれ、福岡育ちです。しかし大学進学と同時に地元を離れたため、地元のおいしい飲み屋やお酒を知らずに大人になるという、もったいない歳のとりかたをしていました。

今年、福岡のビジネスマガジン『Ambitions FUKUOKA』立ち上げのため、約20年ぶりに地元・福岡に長期滞在しました。取材の中心は博多、天神。街を歩けば、夜の早い時間から深くまで、スーツもTシャツも、みんな飲みまくっていました(新橋を希釈した雰囲気がずーーーと続く感じ)。今回、そんな地元の夜の風景を、はじめてじっくり見て、そしてもちろん飲みに行ってきました!

※ブログは趣味で、本業はNewsPicks for Businessの編集・記者です

天神ど真ん中の屋台「あごだし亭きさいち」

どうしても行きたかったのが、福岡の食文化の象徴でもある「屋台」です。
地元の子どもたちにとって、観光ガイドにのるような中洲の屋台街は、実はテレビや雑誌の世界。「子供の頃に近所の屋台でラーメンを食べた記憶がうっすらある」くらいの記憶しか残っていません。今こそ、屋台でちゃんと飲みたい。

向かったのは、今回の本の取材・撮影でお世話になった、天神駅前の「あごだし亭きさいち」。ラーメンではなく「あごだしおでん」のお店です。

満席!

一瞬、入ってもいいのかな…?とアウェー感を覚えますが、全然カジュアルに「ここ空いてますよ〜〜」と通してくれました。

店内(外)は、10名ちょっとが座れるくらいのコの字カウンターのみ。カウンターの中に大きな鍋があり、おでんの出汁の香りが漂います。うっすら屋根のあるカウンターと内部までが「店」の感じで、それ以外の機能は「外」。冷蔵庫や洗い場、調理台などが、道端に並んでいます。

屋台って、「組み立て式のカウンター飲み屋さん」だったんだ。
チャルメラのおじさんのリヤカーみたいに、リヤカーの形のまま飲食するイメージがありましたが、組み立つと「店」になるのか。

ちなみにお隣の屋台はこんな感じ。カウンター部分はごく一部で、野外に冷蔵庫や洗い場などがあります。むしろそっちが「本体」のよう。

老若男女が肩を並べる、令和の屋台

おでんには「柚子胡椒」をつけます

澄んだアゴ出汁が染み込んだおでんとビール、一日の終わりに最適です。周囲を見ると、仕事帰りらしい男女3名組み、観光客なのか、物珍しそうに入ってきた親子の姿もあります。

私の記憶の「屋台」とは、全然違う。

思っていたよりも、全然キレイです。ぎゅうぎゅうでもないし、油でてらてらしているわけでもない、カウンターで木材の棘が刺さりそうだったりもしない。強面のおじいさん店主の殺伐とした雰囲気もない。性別も年齢もあまり関係なく、お店の人も若い。

加えていうと「無理に仲良くならなくてもいい」雰囲気が好きです

なんだろう、とても「身軽」なのです。

お客さんが次から次に、流れるみたいに訪れて、少し佇み1〜2杯飲んで、出る。だから満席でも、わりとすぐに入れる。

屋台ということで物理的な仕切りがないのも関係してるかもしれませんが、「閉じた」雰囲気がまったくない。「とってもきれいで軽やかなちょい飲み」といったところ。

「今の福岡市の屋台は、市がちゃんと整備した上で営業していますから」とは、店主(おでんだしに惚れて移住してきたそう)です。

逆光の写り具合もあるため念の為書きますが、めちゃくちゃ気さくでやさしい方でした

見ると、屋台の調理(コの字から離れた本体部分)は、道路に直接繋がっています。行政が「屋台を守るため」に、給水・排水装置や電源などを道路に作っているのだそう。

以前、福岡の屋台は「一代限り」というルールがあり、若い人が参入できない「消えていくはずの景色」でした。だから、記憶の屋台は「お爺さんおばあさん」だったんです。それが、町が方針転換して屋台を守るようになり、若い人たちが参入できるようになったとか。

いま、私がお酒を飲んでいるのは、記憶の中の古い福岡の屋台ではなく、新しく誕生した、僕らの世代の新しい屋台、なんですね。

屋台専用の都市の設備

「ライチの香りの芋焼酎」でおでんが進む

取材で先に伺った編集部メンバー(すごい飲む人)から聞いたおすすめが「DAIYAMEソーダ」。メニューを見ると「今、博多女子に大人気!芋焼酎なのにソーダで割るとライチの香り」とのこと。

………本当だ。本当にフルーツです。笑えるほどライチ。焼酎ってもはや臭い酒ではないんですね。

都会のメイン通りを背に飲む醍醐味

うまいおでんと酒を楽しんでいるとつい「普通のお店」にいる気分になりますが、やはり屋台。すぐ背後を走る車の音や夜風で我に帰ります。

振り返ると、福岡・天神のメインストリート。信号が変わると懐かしいメロディが流れて、仕事帰りの人たちの波が横断歩道をわたる。横目に眺めつつおでんを食べ、ふと視線を上に移すと、大規模再開発真っ最中のどでかいビル工事の影にハッとする。

……いいです。

開放感と都会感がごちゃまぜで、街とお店の境が溶けた屋台での飲み。「テラス席のカフェで街をみる」とはまた全然違います。「見る」のではなく「街と飲む」といった感じに包まれます。これは、楽しい。

これで、自信を持って言えます。
「屋台で一杯」、楽しいですよ、おすすめです。

福岡のビジネス本が完成しました!

冒頭にも書きましたが、今回の福岡滞在の大きな理由であるマガジン『Ambitions FUKUOKA』が11/14に発売されました。私は福岡生まれということで編集長を務めています。誌面ではビジネス情報はもちろん、お酒好きな記者・編集者たちが「福岡の飲み文化とビジネスの関係」を探るべく、夜の街でほろ酔いの人々に突撃インタビューを行ったりもしました。

「あごだし亭きさいち」さんは、福岡のタレント・岡澤アキラさんのインタビューにご協力いただきました。福岡を飲み歩きながら真面目につくった本、手にとってもらえると嬉しいです。

リンクはこちら→『AmbitionsFUKUOKA

ご協力ありがとうございました!本をもってお礼にうかがいました
冬は熱燗。剣菱がおでんにバチっとハマってうまかったです

おまけ 福岡のお酒の思い出

最後に、福岡のお酒の記憶をいくつか紹介します。

【北九州・小倉】生ビールをチェイサーに瓶ビールを飲む人

小倉駅前にある角打ち。夕方から飲んでいたときに出会ったのが、ひとりで「生ビール」「瓶ビール」を頼み、両方同時に飲む人。思わず写真をとらせてもらいました。

【北九州・小倉】ぬかみそだき(玉川食堂)

魚をぬかみそで煮込んだ郷土料理。めちゃくちゃ酒に合います。焼酎みたいな硬い酒がはまります。

ヤカンででてくるタイプ

【福岡市・薬院】クラフト酒のLIBROM

酒蔵に勤める友人に誘ってもらい、今話題の「クラフト酒」を福岡でつくるLIBROMにお邪魔しました。新感覚のお酒、おもしろいです。

【福岡市・薬院】おでん×日本酒のソルリバ

こちらも教えてもらったお店。日本酒が豊富で、つめたい華やかなやつから渋いおかんまで、

とまとおでんと熱燗、これめちゃくちゃおいしかったです

【志免】幸龍

実家(福岡での私の拠点)がある地元の、古いラーメン屋さんです。学生のとき通っていたお店で瓶ビール頼むのは、沁みました。


今回はマガジンの制作でしたが、これから福岡でしっかり根を張って活動していきます。なので、福岡で一緒に飲んでください!


もちろん、お酒を飲みます。