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はなり亭の料理から2「おまかせ焼鳥盛り合わせ」

このコラムは読酌文庫が執筆・発表している小説「はなり亭で会いましょう」に登場する料理を取り上げたコラムです。本編未読でも問題なくお楽しみいただけますし、ネタバレにならないよう配慮した書き方を心がけております。

おまかせ焼鳥盛り合わせ

今回は「はなり亭」に登場する鶏料理のひとつとして、「おまかせ焼鳥盛り合わせ」を取り上げたい。

この店は自家製豆腐と鶏料理がメインとなっているので、炭火で焼いた焼鳥もメニューに入っているのだが、実は意外と登場シーンがない。一応、1巻収録の絢子編エピソード「深呼吸と溜息」にて、絢子が注文している。

はなり亭の焼鳥は基本的にすべて特製タレの味付けだ。注文を受けてから御厨が串を焼く。ほどよく火が通り、炭火の香ばしさに絡まるタレの味付けが絶妙で、定期的に食べたくなってしまう味なのだ。

はなり亭で会いましょう1「深呼吸と溜息」

自家製豆腐はシンプルに、鶏料理はクセになる味付けで、という具合にメニューの柱となる両者がそれぞれ役割分担しているような状態だ。

ちなみに焼鳥を食べるとき、皆さんはどのようなスタイルだろうか?

串に刺さった肉をそのまま食らう?
一口分ずつ箸で外して口に運ぶ?
あるいは、皆で取り分けやすいよう、すぐに全部串から外してしまうだろうか?

答えながら絢子はまだ手を付けていなかった焼鳥を手にすると、口に入れる分だけ串から取り外して香ばしく焼き上がった鶏肉を味わう。

はなり亭で会いましょう1「深呼吸と溜息」

作中での絢子の食べ方は、食べる分ずつ外して口に運ぶらしい。直接かじりつかせてもよかったのだが、作者としては彼女を品良く一人飲みする人物にしたかったので、このような書き方となった。

なお、作者はガサツなタイプなので、串に直接かじりつくスタイルである。(あ、でも、上品に振る舞う必要のある席では、箸で外して食べるが)

一人飲みならなおのこと、誰かの目など気にする必要もないのだから、食べやすく楽しむべし。

ところで「盛り合わせ」と表現される場合、焼鳥は何本あるのが適当なのだろう?

作者のイメージとしては、とりあえず5本の盛り合わせで「1」カウントなのだが、お店によっては8本とか10本とかのパターンもあるだろうか。

もしかすると、「盛り合わせ」のなかでも、5本・10本・15本といったように選べるタイプのお店もあるかもしれない。お刺身盛り合わせとか、酒肴盛り合わせなどでも3種盛り・5種盛りといった選択肢が用意されていることもあるのだし。

話が色々とそれててしまったが、鶏を使った飲み屋の定番料理というと、焼鳥というイメージも強いであろうに、どうしてこんなにも登場機会が少なくなってしまったのか。

いや、定番過ぎるからこそ、執筆時に避けてしまった可能性も考えられる。

あまりにも毎回、焼鳥が出てくると、はなり亭=焼鳥屋のイメージがついてしまうのではと、潜在的に懸念したのかもしれない。「はなり亭」は焼鳥屋ではなく、豆腐と鶏料理のお店なのだ。

委託先情報

「はなり亭で会いましょう」1巻は、委託先「ぽんつく堂」「犬と街灯」「架空ストア」の通販でもお買い求めいただけます。はなり亭での飲み食いを通して、ちょっとだけ交流する関係を主軸に、2人の主人公の視点で物語が展開します。

※委託先により、販売価格・送料等が異なります。また、現在ぽんつく堂さんでお取り扱いいただいているのは、旧装丁版となります。ぽんつく堂さん取り扱い分も新装版となりました。

そのほか、大阪・文の里にある「みつばち古書部」の読酌文庫棚や、奈良・ならまちの無人書店「ふうせんかずら」(有人営業日もあり)の虎月堂さんの棚でも販売しています。お近くの方は是非どうぞ。

果てしない自由の代償として、全て自己責任となる道を選んだ、哀れな化け狸。人里の暮らしは性に合わなかったのだ…。