見出し画像

シリーズが続くと愛着だけでなく悩ましさも発生するらしい【文学フリマ回顧録4】

文学フリマに関連することであれこれ振り返るシリーズも4回目です。

今回は文学フリマそのものより、出店にあたって書き続けた小説作品のことに軸を置いた感じです。


シリーズが続くにつれて悩ましくなること

ブログにも書いてた話なんですけど、あらためて……。

『はなり亭で会いましょう』は文学フリマへ出店するために書き上げて、シリーズ展開してきて、自分としてはとても思い入れのある小説になったと思います。

でも、シリーズものって扱いが大変だなって思うところもあるんです……

シリーズものは初見さんが手を出しづらい?

『はなり亭で会いましょう』は全4巻+番外編再録集で一旦完結にしましたが、続きものって購入をためらわれやすいんじゃないかと最近思うようになりました。

文学フリマに初出店するために出したときはまだ、シリーズ化するとは決まっていなくて、タイトルにナンバリングも付いてなかったんです。初出店なのに思いのほか売れる現象が発生したのは、単巻完結ゆえの安心感があったんじゃないかと考えています。

2巻以降は、初出店の時ほど勢いよくは売れませんでした。

それはコロナ禍でイベントが中止されたり、参加者が減少したりという背景もあったと思いますが、購入するのは前作を読んだ人が前提という点もあると思います。

そして、1巻・2巻と並んでいたら続きものなんだなって印象を受けるでしょうし、続きものなら何巻まで続くのかという疑問も湧くでしょう。最初の方は好みに感じるお話でも、先々の展開によっては好みに合わなくなるかもしれません。あと、ずっと購入し続けられるかとか、きちんと完結するんだろうかとか……そういう問題もあると思います。

半端に買うのは嫌な人だと、シリーズものはよほど強く惹かれる要素がなければ、購入を見送るんじゃないでしょうかね。

出店時の持ち込み量と見せ方も悩ましい……

シリーズの巻数が増えていくと、出店時の持ち込み部数と並べ方も悩みます。出店を重ねて「なんとなくこれくらいか?こんな感じか?」みたいなのは掴んできましたが、それでも100%正解とはいい切れない状態です。

一応、1巻から順番に買われるであろうことと、2巻以降はそれまでを読んでくれた人に限られることから、後の巻ほど搬入量を減らして調整しています。それでも、フタを開けてみると1巻は全然出なくて、2巻・3巻が買われていったということもあり……それって、新規読者を獲得できてないってことですね(´・ω・`)

そして、なんか一杯本を並べてるように見えて、実のところ読酌文庫が扱う小説作品は、1シリーズしかないわけですよ……。

いや、シリーズものでも前後のつながりが特になくて、それぞれ独立している作品だとまた違うと思うんですがね。『はなり亭で会いましょう』は2巻以降、連続したお話にしてしまったのでね。

……それこそ、当初の構想通り、お店に来るいろいろな人たちの群像劇で、1話完結の連作だったらナンバリング展開しなくても良かったのかなとか考えてしまいます……。

見本誌コーナーには何巻を出すのが適切か?

文学フリマでは見本誌コーナーへ、1出店者につき3点まで見本誌を出せます。頒布物をPRできるので、見本誌コーナーが設けられている時は必ず利用していますが、巻数が増えてくると何巻を出せば良いか悩みます。

シリーズ最新刊が出るときは最新刊を出すようにしてたんですけど……新規読者を獲得するには、1巻を出しとく方が良かったのかなと思う部分があります。続編を求めて下さる方は「見本誌で見つけて読酌文庫のところへ来る」ワケではないと思うので。

「1~3巻までを出したらいいじゃん?」って思われるかもしれませんけど、見本誌が実質1作品だけの状態もなーって思うんですよね。気まぐれにエッセイとかも出しているし、そちらも見本誌でアピールしたいですし……。

在庫管理とカバー巻きが面倒くせぇ……

シリーズで売り続ける以上、イベント出店時は全巻揃えておく必要がありますよね。

でも、どの感がどの程度、どのタイミングで出て行くかって読み切れないです……。

だから増刷時にどれくらい刷るのかはいつも迷います。ドンと大部数まとめて発注した方が、1冊あたりの単価は下がるんですけど、1回の出費がデカくなり、そもそも在庫を置いておくスペースの問題もあります。かといって、あんまりにも少ない部数だと……割高だし……悶々。

あと、『はなり亭で会いましょう』の1~4巻は現在、カバーを巻いた仕様です。最初の頃はそれが文庫本らしくて、すごく嬉しかったんですけど……最近、カバー巻くのがめんどいなーって感じる時があります。

本体とカバーとを同じ印刷所に発注して、カバー巻き作業もお願いできればいいんですけど……カバーに使ってる用紙の都合もあって、別々の印刷所を使っています。

印刷所が分かれるデメリットって、カバー巻きを自分でしなきゃいけないことの他に、本体の納品部数とカバーの納品部数が一致しないのも地味に面倒。……最近は、カバーの折り目を付ける位置を間違えた際の保険として、カバーは本体よりも多い部数を発注するようにしましたが……もし、本体の予備納品が思いのほか多かったりすると……カバーの不足分をどうするのかという問題も起きますね。

って考えると、今後文庫本サイズで本を作るなら、カバーも同じ印刷所に注文して、印刷所に巻いてもらう方がいいのかなと。あるいは、カバー巻きではなく、普通にフルカラー印刷の表紙にしちゃうとか。

それでも『はなり亭で会いましょう』は自分にとって特別……

SNS上の企画用に用意した作品PR

そんなこんなで、シリーズ作を持つことの悩ましさを綴ってきましたが、それでも自分にとって『はなり亭で会いましょう』は特別な作品です。

一次創作小説として執筆した最初の作品だし、自分の書きたいように書いて、書き切ったし、登場人物たちへの愛着もあります。現段階で読酌文庫の代表作であることは間違いなく、原点にして頂点ともいえる小説だと思っています。

はなり亭で会いましょうの見どころとか…

だから、事情が許す限り、末永くイベント等々で頒布を続けたいです。

2024/1/14 文学フリマ京都8にも出店します!

文学フリマ京都8のおしながき画像

2024年1月14日(日) 京都勧業会館みやこめっせで開催の文学フリマ京都8へも読酌文庫は出店します。

今回は評論・研究のカテゴリーを選んでいますが、既刊の小説やエッセイも持ち込みますので、参加予定の方はお立ち寄りいただけますと幸いです。

読酌文庫は「さ-28」でお待ちしています。

この記事が参加している募集

文学フリマ

果てしない自由の代償として、全て自己責任となる道を選んだ、哀れな化け狸。人里の暮らしは性に合わなかったのだ…。