絵本の帯、捨てちゃってもいいですか?
捨てちゃってもいいですか?
都内の区教育委員会の受託講座で
「絵本がどのように作られるか」の話をしたときのこと。
最後の質疑応答の時間に、
手が上がり、こんな質問を受けました。
「帯って、捨てちゃってもいいですか?」
ここでいう帯とは、本の帯のこと。
ここのことです。
この記事を読んでいる方は、絵本を購入した後、
帯をどうしてますか?
本棚から出し入れするときに
引っかかって破れたり、読むときにも邪魔になって
子どもがビリビリにしてしまうことが多い。
いっそのこと、
買ってきたらすぐに捨ててしまってもいいのではないか。
質問した方の意見は、そういうことでした。
帯の役目は、書店で目立って
本を買ってもらうことです。
つまり、購入された時点で、
帯の役目は終了しています。
同じように破れる理由で
「絵本のカバーも買ったらすぐに捨ててます!」
という声もたくさんの方から聞いています。
一方、別の絵本講座のときには、
「えー! 帯もカバーも捨てるなんて、絶対できない!」の
大合唱のときもあったり。
では、帯やカバーはどうするのが正解?
帯もカバーも、
買った人がどう扱うか、
当たり前ですが、決まりはありません。
買ったスニーカーやノートを
どう使かおうが自由なのと同じで、
本だってどう扱っても自由です。
もし、カバーや帯が、
ゴミになってしまうことが確定しているなら
もちろん捨てるもアリ、です。
わたし個人は
編集という、本を制作する仕事に携わっているため、
帯までが資料なので、基本的に捨てません。
けれども
それ以外にも捨てない理由があります。
帯やカバーで、読み聞かせをバージョンアップ
読み聞かせや、ブックトークなどに
カバーや帯が役立つからです。
読み聞かせに役立つ。
こう聞いて、ピンとくる人も
こない人もいるかと思います。
4つ例をあげます。
➀【別角度の興味を引き出すヒントがある】
「絵本の中に、この子はいたかな?」と
絵探しゲームのようになっている帯があります。
一度読み終わった後にそのことを伝えると
子どもは、再度違った目でページをめくりたくなります。
➁【確かな情報源として活用】
帯には、受賞した賞の名前や、どの本の続編なのか、
見どころはどこなのかが、簡潔に書いてあります。
サッと目を通すだけで、情報をキャッチできます。
しかも、出どころは個人のSNSなどではなく出版社ですから
情報としても確実。
➂【紹介や導入に活用】
カバーの折かえし部分には、
たいてい本の導入や、あらましが書いてあります。
サクッと紹介するときに、その部分を拝借するのもOK。
読み聞かせに入る前に読みあげ、
予告編のように期待値を上げる効果にも使えます。
④【読み聞かせの補足に適した情報源】
本に中に出てくるちょっと難しい言葉の注釈が
カバー袖に書いてある絵本もあります。
作者の生涯や、歴史的背景などが記されている事もあります。
読み聞かせの際の補足に使うことができます。
以上4点は、実際にわたしがやって、良かったことばかり。
ひとつひとつは大したことはないのですが、
毎回の読み聞かせで調べる手間などを考えると
便利で、かつ信頼のおける情報源として活用できます。
いつもの「絵本を読むだけ」の読み聞かせが
ちょっとアレンジが効いて、バージョンアップします。
この記事が読み聞かせの「ひとつのヒント」になれば
嬉しいです。
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