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今出ましたっ!

 昨日の夜に本を読んでいたら「店屋物」という言葉が出てきた。

 思わずうわぁ懐かしい言葉だなぁと思った。

 飲食店からの出前を指す言葉で江戸時代ごろから使われるようになったそうである。

 今時の言葉でいえばフードデリバリーとなるのだろう。

 まあどちらにしても食べ物を配達してもらう事には変わりがない。

 私が子どもの頃には近所にあまり出前をしてくれるお店が無くラーメン屋さんだけが対応してくれていた。

 半ドンの土曜日に兄と一緒に家に帰ると母が今日は店屋物を取ろうか?と聞いてくる。

 おおっ嬉しいっとテンションが上がりながらラーメン屋さんで貰ってきたメニュー表をじっくり眺める。

 ここのお店はラーメンはもちろん他の料理もやっていて選択肢は結構あった。
 
 我が家の経済事情から頼んでいいのは一人七百円まででそれ以上は予算オーバーだった。

 なのでメニューの端から端までなめるように見て今日は何腹だと自分の胃袋に問いかけるのである。

 あまり熟考していると母から早く決めなさいとツッコミが入るので気持ちが焦った。

 あれも食いたい、これも食いたいと迷った時に頼むのは決まって中華丼だった。

 ようやく頼むものが決まって母がお店に電話して注文する。

 私たち兄弟は腹ペコなので店屋物が届くのを今か今かと待ち構えている。

 ところが土曜日のお昼と言うのは注文が立て込むのかかなり待つ。

 時計の針が一時を大きく回って届く気配がない。

 もうお腹と背中がくっつくぞぉと思っていると配達のカブの音がビィィンと聞こえてくる。

 おっ!来たかとテンションが一気に上がる。
 
 ラーメン屋のお兄ちゃんがすいやせん、遅くなりましてとか何とか言いながら岡持ちから料理を取り出す。

 母がご苦労様と言って代金を支払い終えてお兄ちゃんが帰ったらすぐに中華丼を取り上げて居間に運ぶ。

 ドンブリはまだほんのりと温かい。

 フタ替わりの輪ゴムで止めてあるラップを取ろうとするとピシャッと縮んで水滴が跳ねる。

 慌てているのでそんな事は気にしない。

 右手にレンゲを構えてザフッと中華丼をすくいあげる。

 ここのお店の中華丼は鶏がらベースの白っぽい餡である。
 
 アムリと口に運ぶとクタクタの野菜の旨味が口の中に広がる。
 
 ほんのちょっぴり入っている豚肉とイカの味わいもたまらない。

 時おりキクラゲと出会って食感のアクセントを楽しむ。

 そして半分以上食べたところで沢庵を齧って一休み。
  
 それからまた勢いをつけて一気呵成に食べる。

 最後の一口は最大のお楽しみウズラの卵をポクッと口に含む。

 卵のホクホクした食感と餡のたっぷりかかった底の方のご飯がたまらない。

 ああ美味かったぁとレンゲを置くまで十分はかからなかっただろう。

 私にとって店屋物と言えば今でもこのお店の味を思いだす。

 残念ながら私が高校生の時に閉店してしまったラーメン屋さん。

 大人になって餃子とビールをキメタかったなぁ。

 美味しい記憶はいつまでも残り続けるものである。
 
 そんな懐かし話をしながら、いつもの晩御飯の話をば。

 昨日は直売所で野菜を買ってきたのでそれを使った料理。

 豚のロース肉を一口サイズに切り分ける。

 大根葉を良く洗って二センチくらいの長さでザクザク切る。

 フライパンを熱して豚肉を炒める。
 
 豚肉から油が出てきたらそこに大根葉をバサッと加える。

 大根葉がしんなりしてきたらごま塩をたっぷり振りかける。

 味付けはこれだけ。

 お皿に盛ったら豚肉と大根葉のごま塩炒めの完成。

 副菜はなめこを熱湯で一分茹でて大根おろしと和える。

 味付けは麺つゆ。

 あっという間になめこおろしの完成。

 ご飯を二合炊いておいたのでこれをお寿司に。

 ボウルにご飯をあけて粗熱を取っておく。

 アナゴを刻んでサーモンも細かく切る。

 後は市販のちらし寿司の素で和えたら海鮮チラシの出来上がり。

 ううん、なんて簡単なんだろう。

 汁物は海苔のお吸い物。

 昆布だしに醤油、塩、梅干しを加えて仕上げに千切った海苔を乗せたら出来上がり。
 
 ようし、こんなもんでしょと思いながら妻を呼ぶ。
 
 昨日も殊勝に休肝日を守った。

 いただきますをしてまずはなめこおろしから。

 トゥルントゥルンのなめこの食感がいい。

 大根おろしでサッパリして食べやすくなっていた。

 次に大根葉炒めを食べる。

 豚肉の脂っ気が旨味になって大根葉のシャキシャキした食感と相性がいい。

 大根葉を捨てるなんて持ったいないよねぇと妻に言うとそうだね、これだけ美味しいのにねと言われたので嬉しくなった。

 お吸い物で一息入れてお寿司を食べる。

 いたって普通のちらし寿司の素を使って作ったお手軽料理だったが香ばしいアナゴと脂ののったサーモンのとろける食感が味の底上げをしていた。

 これはなかなか良いなと思いつつお代わりをしてパクリパク。

 あまり食べすぎないようにおかずは残してごちそうさま。

 食後に片づけをして少し夜更かしして読書をしてしまった。

 読んでいるのはもちろん食べ物の本である。

 私の脳みその九割は食べる事にリソースを割いている。

 残り一割で実務やその他の家事をこなしている。

 妻からみたらとんだポンコツだろう。

 まあそんな人がいてもいいじゃない。

 食べて飲んでが人生最大のヨロコビっす。
 
 

 

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