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また一つ昭和が遠くなった。

 今日のお昼に何げなくスマートフォンでニュースを読んでいたら高見映さんがお亡くなりになっていたという記事を読んで愕然となった。

 高見映さんまたの名をノッポさんである。 

 四十代以上の方ならこの名前を知らない人はいないと思う。

 NHK教育テレビジョンで放送されていた幼児向け工作番組できるかなのメイン出演者である。
 
 背がとても高くて手足も長くてパンタロンにチューリップハットからはもじゃもじゃの髪の毛が覗いている不思議なおじさんだった。

 相方は何の生き物なのかよくわからないがフゴフゴと喋る赤い鼻が特徴的な動物のゴン太くんで決まりだった。

 毎回軽快なオープニングが流れて番組は始まる。

 大抵はゴン太くんのしたい事をノッポさんが工作で解決していく劇でストーリらしいものは特になかったように記憶している。

 小さな工作に始まって次に中くらいのサイズの工作をして番組の終盤で大きな工作をして二人ではしゃぐというのがパターンだった。

 この番組の特徴としてはノッポさんは喋らないという事だ。

 番組の進行はナレーションのお姉さんがする。

 幼児向けの番組なので難しい展開にはならない。
 
 私が一番見ていたのは幼稚園から小学校低学年までで工作の時間になると必ず誰かができるかなのテーマを口ずさんだものである。

 番組を見ているとノッポさんがいとも簡単に工作をしているのだが大きなものを作るには画用紙やセロテープなどの材料が大量に必要なので子どもが再現するのは難しかった。

 風邪をひいて学校を休んでいる時にこの番組を見ると平和な世界のお話しなので何ともほのぼのしたものである。 

 人気番組だったのでノッポさんの工作を見て楽しむ絵本が何冊の出ていたのでそれを買ってもらったら毎日のように眺めていた。

 工作という子ども心をくすぐるテーマの番組はとても楽しかった。

 できるかなは私が中学生になるころまで放送していた。

 さすがに無邪気に見る年齢ではなかったがノッポさんとゴン太くんがワチャワチャしている姿には一種の様式美を感じたものだ。

 終始無言を貫いていたノッポさんが最終回にだけ喋ったというのはちょっとしたニュースになった。

 何を話したかと言うと後番組の紹介で、あ~あ喋っちゃった!と発した声は渋い大人のものであった。

 私はできるかなドンピシャリ世代なのでノッポさん逝去の知らせは昭和がまた一つ終わったなと感じた。

 ああ、そうかぁ…と寂しさを抱えている。

 自分が年を取ると憧れていた人も同じように年を取るという事実が切ない。

 高見さん、いいえノッポさん長い間お疲れさまでした。

 あの頃いたずら小僧だった私も一丁前のおじさんになりました。

 たくさんの夢をみさせてくれてありがとうございました。

  ご冥福をお祈りいたします。

 


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