出会い頭にご用心
今朝の出来事である。
時刻は朝の五時半、辺りはまだ真っ暗である。
早朝の買い物に行こうとして準備をして家を出た。
行先は近所の二十四時間営業のスーパー。
ちょっと近道をしようとして普段通らない裏道を走った。
そこは完全な住宅街で人気はほとんどない。
それでも万が一があってはならないと思って制限速度の三十キロを守って走行していた。
すると見通しのあまり良くないカーブを曲がりかけた時に不意に何かが見えた。
おおっと!と慌ててブレーキを踏むとそれはゴミ袋を持ったお爺さんだった。
服装は黒のダウンに灰色のスエットという暗闇に紛れるには十分な格好だった。
信号も横断歩道もない狭い道なのでたまにこういったヒヤリハットな出来事に遭遇する。
少し前には朝の四時前に同じ道を通っていたら無灯火の新聞配達の自転車と正面衝突しそうになって随分焦ったものである。
だったらそんな道を通らなければいいのにと思うだろうが、裏道で行く方が五分くらい早いのでついつい使ってしまう。
それにしても今日のお爺さんはまるで見えなかった。
人は驚くと体がすくんで動けなくなるという事がよくわかった。
運転しているこちらも全力でブレーキを踏むが急には止まれないものである。
幸いお爺さんにも怪我はなさそうで私も最徐行でその横をすり抜けた。
早朝の道路には思わぬ危険が潜んでいるものだが、日中でもそれはいかがなものだろうと言う場面にもたびたび遭遇する。
たとえば交通量の非常に多い片側二車線の道路をむりやり横断しようとするお年寄りがいる。
本人は全力で歩いているつもりだろうがいかんせん速度が遅いので中央分離帯で取り残されて呆然としている姿を最近とみに見るようになった。
確かに近所に横断歩道も歩道橋もないので仕方がないのかもしれないが、国道を突っ切ろうと言うのはいかにも無謀である。
他にもスクーターのおばちゃんの道路独占にも困ったものである。
あまり広くない道のど真ん中を時速二十キロ以下でのろのろと運転されると困ったな、これはという気持ちになる。
そういう人に限ってウインカーを出さずに急に曲がったりするので、おいおいと思ってしまう。
スクーターのおばちゃんは田舎道ではある意味無敵であり自己中心的な運転を平気でしている。
厚手のハンドルカバーをしてくすんだ色のスクーターで丸型ヘルメットをしている人を見かけたら要注意である。
何にせよ交通ルールは譲り合いと思いやりでできていてほしいなと思った次第。
そんな交通巡査長のような事を思いながら昨日の晩御飯の話を。
昨日はおでんを育てて二日目。
鶏の手羽中をこんがり焼いて鍋に加えた。
他には大根とかまぼこを投入。
手羽中が多かったので鍋から溢れそうになったが強引に煮込んだ。
その間に副菜づくり。
長芋を摺り下ろす。
そこに片栗粉と顆粒の昆布だしを加えて卵一個を割り入れてよく混ぜる。
脂を敷いて弱火にして長芋を流し込む。
後はフタをして八分放置。
その間に賞味期限の近かった肉まんを温める。
もう一品はニンジンのぬか漬け。
長芋をひっくり返してもう片面もしっかり焼く。
おでんは早めに煮込んでいたのですぐに出来上がり。
焼けた長芋をお皿に取って砂糖醤油をペタペタと塗る。
うん、出来た出来たと思いつつ妻を呼ぶ。
昨日お酒は芋焼酎の梅割り。
梅の実を沈めた焼酎にお湯をトポトポ。
ではいただきますをして乾杯。
梅を潰しながら焼酎を飲む。
酸味が爽やかで飲み口が軽い。
うん、たまにはいいなと思いながらツイッ。
暖かいうちに肉まんをワフッ。
これは安心安定の味である。
では長芋焼きから食べる。
軽く焦げた表面が香ばしく中はトロトロで甘じょっぱいタレがよく合う。
これはいいつまみだなぁと思いつつモグリ。
二杯目の梅割りを作りつつぬか漬けをポリリ。
ぬか床が疲れてきたのか漬かりが少々浅かった。
ぬかの追加と栄養になる昆布や干しシイタケを入れようと思った。
それからおでんをつつく。
手羽中がしっかり煮込まれておりホロホロと口の中でほどける。
これは煮込み料理ならではだなぁと思いつつムシャムシャ。
妻はおでんはあまり好物ではないのだが鶏肉はよく食べていた。
焼酎の梅割りを三杯お代わりしてご馳走様。
残ったおでんはまたおでんにしていい?と妻に聞いたらもう飽きたというので何か別のものにアレンジしたい。
煮込み料理は頭を使わないで良いので作るのは非常に楽なのだがさすがに三日レンチャンはきついみたいである。
久しぶりにお米を焚いてスタンダードなご飯を拵えようか。
そこを悩むのがまた他楽しかったりもして。
それはそうと早朝に外に出る時は目立つ色のジャンバーを着るとか蛍光テープを巻くとか対策をしてほしいなと思った。
だって急ブレーキでカックンですもの。
スクーターおばちゃんももう少し周りを見て運転してほしいなぁと控えめに思うのであった。
何だかその昔流行ったオバタリアンを思い出してゾクゾクッとした次第である。
あれは強烈な漫画だったなぁ。