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その人を大切に思いながら無事を祈ること。

 疫病が止まらない。複数球団で複数の陽性者が出て厳しい状況だったのでジャイアンツだけが無事だとは思っていなかったし、まして日本一陽性者の多い都道府県の東京都の球団なので時間の問題だとは思っていたが、蓋を開けてみればスタッフさんも合わせて60人近い陽性者。二軍の選手の方は有症状もいるみたいで、復帰後も心配だ。

 この疫病もかれこれ3年目だ。2020年の2月ごろ、微熱と咽頭痛で病院にかかった頃は受付で「最近海外に行きましたか?」とか聞かれる程度だったのに今となってはもちろん渡航なんか関係ない。今日は陽性者が3万人を超える見通しらしい。それだけ検査が追いついてきたということもある。ウィズコロナって世の中に検査が行き渡るということだったのかい?

 プロ野球界で初めて陽性者が出たのは2020年6月3日だった。あの頃、私の身近でもクラスターがあったが、当時の扱いは本当に差別的で酷かった。同じフロアに勤務しているというだけでPCR陰性の私を睨みつけてくる人がいた。野球選手で陽性の人に対しては「遊んでたんじゃないのか?」という心無い書き込みが見られた。一般人だけでなく評論家もそんなことを発した人がいた。

 コロナよりずっと前だが、私は感染症管理病棟に勤務していたことがある。その時、感染管理治療部の先生が他科の先生よりずっと人格者であることに感銘を受けた。その先生方と仕事をしたことで、感染症は誰もかかりたくてかかっているわけじゃないことや、何か行動に落ち度があったとしても本人はそのことをひどく後悔していること、その後悔や不安に寄り添うこと、医療提供は決して上からではないこと、家族の不安にも寄り添うこと、そして何よりその人の人権を守ることを学んだ。遊んでようが仕事だろうが、残念ながら感染症に罹ってしまった人には、まずはその不安に寄りそうことが必要だ。そして医療にあたる我々は感染曝露を防ぐためのテクニックを身につける。テクニックを習得することで「そう簡単にはかかるもんか」という気合が入る。テクニックと勉強をしていれば、そこに飛び込んでいくことは可能だ。コロナ、HIV、結核…今もさまざまな感染症で闘病されている方がいるに違いないし、第一線で医療に関わっている方には頭が下がる思いだ。

 昨日の球団リリースを受け、今日登録抹消が発表された。それでも明日からの試合が可能か模索するとの球団方針が一時出されていたが、どうやら開催困難という方向になりつつあるようだ。
 夏休み期間に入り、イベントや球場は人数制限を今の所設けていないので、興行という側面としては書き入れ時で中止を渋ってしまうのだろうが、選手ファーストでお願いしたい。もし子供さんが「え〜せっかく楽しみにしてたのに〜野球見たかったのに〜なんでなんでなんで」となんでなんで怪獣になっているなら、命を守ることや、一番つらいのは選手やそのご家族なんだよという家庭内で金八先生並みに「命の授業」をしてあげてはいかがだろう。子供のいない私の理想論と呆れる方もいるだろうが、必ずやなんでなんで海獣の人生の中で響く日があるはずです。

 一人一人を大切に思い、できれば無症状で無事に復帰してきてくれることを祈ろうと思う。そして自分も基本的な予防を再度ふんどし締め直し、「コロナよ、お前なんかにそう簡単に体に入れさせないぜ」という生活をして行こうと思う。
先ほど勤務先に4回目のワクチンの必要書類を提出してきた(※基礎疾患枠)。

 …しっかしいつまで居座るつもりかね、コロナ。