中世と近世のあいさ
大和は吉野の里に座頭がいた。盲て十ヶ年ほど、その間いろいろと手を尽くし女房も彼を介抱したがその効はなかった。座頭は霊験あらたかと言う川上の地蔵へ参詣してみようかと女房に話すと女房も賛成したので座頭は思い立ったが吉日と女房に留守を頼み女房も留守は心配しないでと送り出す。座頭は、
「あすは早々戻って逢うぞ」
女房も、
「明日早々お目にかかりましょう」
と言い、二人は、
「さらば」
と言い合って座頭は出かけた。
翌日、女房は心配して川上の地蔵の近くへ迎えに行くと座頭の目はすっかり治