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基本編 Mobile(モビール)の作り方

はじめに
ベルリンでゆるっと就活中だったのだけど、コロナの影響で何もすることができず、1ヶ月後には資金が尽きる。お先真っ暗な状態である。
就活中であったり、転職活動中の人、自分のやりたいことのために独立したばかりの人など、このタイミングでどこにも所属しておらず、次の段階に進もうとしている人達にとって、一番辛い状況のような気がする。
かといって他に何もすることがないのも確か(僕だけかもしれないけど)。
それで、何もしないよりは良いかと思ってMobile(モビール)というものを作っている。外になかなか出られない状況だけど、家で何かを作る事はけっこう楽しく、気分転換になる。建築的な行為の始まりだ。
作る時の楽しさに加えて、Mobileを作って部屋に置くと、今自分の居る空間が少し楽しくなるかもしれない。そういう意味で、Mobileを作るなら、この時期が最適だなと思い、ここに作り方を解説してみたいと思う。学校がお休みの子供達と一緒に作ってもいいかもしれないし、大人ひとりで作ってもいいと思う。ちなみにこういうものです

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動くとこんな感じ

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ちなみに
あまり重要じゃないけれど、この記事を書く理由がもう1つある。それは”建築的な行為”や”建築的な思考”の楽しさを多くの人に知ってほしいなというもの。僕は大学から建築をお勉強したけれど、生きていて飽きない。ただ街を歩いているだけで、いろんな所に楽しい部分を見つけてしまう。世界中どこに行っても、人の居る場所には建築物がある。
建築物だけじゃない。いろんな所で”建築的な行為”や”建築的な思考”を見つけて、それを行っている人と一緒に楽しむことができる。

その楽しさを共にするのは建築を生業としている人だけに限らない。例えば料理をするコックさんや、音楽を作るミュージシャン。書くことを生業としている人の文章を読んだ時にも、そこに”建築”を見つけることがある。多くの人にとって建築は複雑で難しいものかもしれない。建築を学んだ僕にとっても建築はまだまだ難しい。けれども建築するという行為の根底には生活したり生きていくための日常的な行為と繋がる、もっと親近感のある何かが存在しているように思う。日常的な生活の中に”建築”を見つけたとき、生活そのものが輝かしく見えたりする。この記事がそういう”建築的な行為”や”建築的な思考”に触れるきっかけみたいなものになってもらえると少しうれしい。

そもそも
さて、本題。
そもそもMobile(モビール)とは何か。
Mobileとは動く彫刻である!(じゃじゃんっ)
Alexander Calder(アレキサンダー・カルダー)という人の発明で「Mobile」という名前はあのMarcel Duchamp (マルセル・デュシャ〜ン)の命名だとか。(いつも愛を込めてデュシャ〜ンって感じで最後の方を伸ばして発音しちゃう)
Calderは機械工学を学んでいて、その後に芸術家となった。この経歴は少し建築家と通ずるところがあるかもしれない。建築にも工学的な側面と芸術的な側面とがある。(”工学的”ってのは機械ガシャガシャ、計算ギュインみたいなイメージ。”芸術的”は絵の具バッシャ~ンみたいなイメージです)

日本だと、伊藤隆道さんが動く彫刻を作っていたりする。伊藤さんは資生堂のウィンドディスプレイなどをやっていたようで、資生堂アートハウス彫刻の森美術館などでその作品が見れる。ちなみに資生堂アートハウスは建築物もおすすめです。

それにしてもAlexander Calderのアトリエがかっちょいい。
こういうおじさんになって死にたいなと思う。

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作るにあたって

必要なもの
Mobileはシンプルな原理で構成されているので、いろいろ応用ができるし、自分好みにアレンジできる。必要なものもそんなに多くないし、工夫次第で代替可能なものもある。今回必要なものはこんな感じ。

道具
・ハサミ又はカッター
・ペンチ
・ボンド

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材料
・厚紙の切れ端(普通の紙でも○)
・針金

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道具が3つと材料が2つ。必要に応じて、切った針金の端部を滑らかにするヤスリや、ペンチをもう1つ、カッターを使う人はカッターマットなどもあると良いかもしれない。


原理
Mobileを作るときの大きなの原理は「釣合」だ。シーソーを思い浮かべると分かりやすい。針金がシーソーとなり、針金の左右に重りを乗せる(今回は紙が重りとなる)。

Mobileのおもしろいところの1つは“釣合の原理“は使うけれど、その釣り合いの仕方は自由に好きなように決められるというところ。片方を重くして、極端に傾いたようにしてもいいし、均等に重くして、水平に釣り合うようにしてもいい(下図参照)。

ちょっとうまくいかなかったとしても最後に支点の位置で釣り合いを調整できる。またもう1つのおもしろいところは作る過程で湧いてくる、その時、その時の「こうしたい!」を積み重ねた結果に全体像ができるということ。というよりは「こうしたい!」を積み重ねてもちゃんと全体ができちゃうというところ(でもルールはちゃんとある)。

もちろん、最初に「こういうのを作りたいなぁ」という全体像を思い浮かべてから作っても良いけれど、全体像を考えずにとりあえず作り始めても、ちゃんとある程度のものが出来上がるし、先の見えないワクワクが作る行為そのものをもっと楽しいものにしてくれることもある。

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ざっくりした作り方の順序


0. 針金の両端に重り(紙)を取り付ける
針金を好きな大きさに切ってその針金の両端に好きな形の重りを取り付ける。(今回の場合は紙を好きな形に切って取り付ける。)

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1. 支点の位置を決めて次の針金が通る輪っかを作る
針金の傾きを考えながら、バランスを考えて支点の位置を決め、その位置で針金を曲げて輪っかを作る。

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2. 別の針金の片方に重り(紙)を取り付ける
別の針金を好きな大きさに切って、その針金の片方に好きな形の重りを取り付ける。

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3. 針金を取り付ける
1で作った輪っかに2で作った針金の片側(重りの付いてない方)を取り付ける。

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4. 1に戻る
1の工程に戻って、直前に作ったパーツの支点の位置を決め、輪っかを作る。

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これを繰り返してちょうどよいところでやめる。
作り始めだけ0からスタートして、あとは1~4の繰り返し。
ざっくりとこういう流れである。

0. 針金の両端に重り(紙)を取り付ける
1. 支点の位置を決めて次の針金が通る輪っかを作る
2. 別の針金の片方に重り(紙)を取り付ける
3. 針金を取り付ける
4. 1に戻る


具体的な作り方

詳しい作り方はこんな感じ。

0. 針金の両端に重り(紙)を取り付ける

0_01 紙を半分に折って好きな形に切る(同じ形が2枚できる)
これを2種類作る(合計4枚)。

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0_02 針金を好きな長さに切る

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0_03 針金の両端に紙を付ける
ボンドを紙に付けて、2枚の紙で針金を挟み込む。

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1. 支点の位置を決めて次の針金が通る輪っかを作る

1_01 前の段階で作ったパーツだけの傾きを考えて、支点の位置を決める。

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1_02 決めた支点の位置にペンチを使って輪を作る。

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2. 針金の片方に重り(紙)を取り付ける
もう1つのパーツを作る。

2_01 紙を半分に折って好きな形に切る(同じ形が2枚できる)

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2_02 針金を好きな長さに切る

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2_03 針金の片端に紙を付ける

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3. 針金を取り付ける

3_01 針金の先端を曲げて、輪っかを作る。

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3_01 1つ前の段階で作ったパーツの輪っかと今回作った先端の輪っかをつなげる。

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4. 1に戻る
1. 支点の位置を決めて次の針金が通る輪っかを作る

1_01 前の段階で作ったパーツだけの傾きを考えて、支点の位置を決める。

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1_02 決めた支点の位置にペンチを使って輪を作る。

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こうやって、1〜3の過程を繰り返す。
好きなだけ繰り返して良いし、いつ辞めても良い。
辞めた所で出来上がり。もちろん後から新しく付け足しても良い。
こんな感じ。

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最後にテキトーな糸を付けて、吊り下げられるようにする。

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どうだろうか?
うまくできただろうか?

この過程で作ったMobileはこんな感じになりました。

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コツとか?

これまでいくつかMobileを作ってきて、作るコツみたいなものが少しある。
下記はその一部。

コツ01
1つ1つのパーツがそれぞれ同一平面上にあるようにする。
それぞれのパーツを机の上に置いて机の平面からパーツが浮き上がっていない方が全体のバランスも安定する。もちろん、完璧に行うのは難しいので、多少は浮いていても大丈夫○。同一平面上に無い場合、変な方向に傾いたり、バランスが取りづらくなったりする。

コツ02
針金と紙の重なりを多くする。
針金に紙を付けるとき、できるだけ、針金が紙に重なる長さを長くするほうが紙と針金がしっかりとくっついて安定する。そのために針金を少し長めに切るほうが良いかもしれない。

コツ03
とにかくいろいろ試してみる。
Mobile作りに正解は無い気がする。今回は紙で作った重りは他のものに交換しても良いと思うし、針金を無くして、紙だけでMobileを作ることもできる。とにかくいろいろ試行錯誤してみると楽しい。
僕もいくつかやってみたのだけどその内容は応用編として別の記事で書いてみたいと思う。


折角なので家のどこかに吊るしてみる

折角作ったので家のどこかに吊るしてみると良い。空気の流れる場所の方がMobileの動きが活発になるので、そういう場所に吊るすのがおすすめ。また、光が当たる場所も良い(照明の近くなど)。光を浴びたMobileの影はゆらゆらと動き、空間全体の雰囲気にも影響を与えてくれる。

けれど!意外と吊り下げる場所が見当たらない!
分かります。
僕も日本に住んでいたら、どこに吊るそうか悩んでいたと思う。
それで、いくつか参考の事例を。


事例01: ライティングレール用のフック

家に照明を取り付けるための”ライティングレール”がある場合、そのレールにフックを取り付けることができる。

これがMobileを吊るすのに最適である。


事例02: ひっかけシーリング用のフック
天井に取り付いている照明を外すと、形のバリエーションはあれど、ひっかけシーリングというパーツが天井に付いている。それを利用して、そこにフックやリングを取り付けることもできる。
例えばこういうもの。

使ってない照明があれば、その照明を取り外し、そこにこういったものを取り付けると、Mobileをそこに吊るせる。
天井の照明を普段使いしている場合、、、、思い切ってその照明を取っちゃって、間接照明に変えてみるという手もあるかもしれない笑

ちなみに僕は部屋に紐を引いて、そこに吊り下げてます。
日本だと物干し用のワイヤーがあれば、それで代用できるかもしれない。

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という感じで、基本編はここまで。
もし、うまくできなかったり、「ここが分からない!」っていうところがあれば、コメントもらえるとうれしいです○

あと、課金チャンスあるので、もし良ければお願いします。
もう少しこっちでの就活がんばりたい。

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