入社1年目からの老害化対応マニュアル(概念編)
こんにちは。米川(@yoneshi0320)です。
今回は、企業で老害になりたくない人に向けた内容です。
ぼくなりの概念整理と予防の観点から、まとめました。お時間のない方は、以下の要約だけで大丈夫です。
15秒で読める要約
年齢、ではなく。
近年、バズワードから日常に定着してきた「老害(ろうがい)」。
超高齢化社会の日本と相性がよいからか、ビジネスシーンでも聞くようになりました。
状況として、「新しい もの/意見 を否定する、妙齢以上の方」に向けて使うことが多い言葉。
一方で、常に斬新な意見を出し、挑戦を繰り返す60代、70代もいます。
この差はいったいどこから来るのか?
老い、ゆえに害?
まだ新しい言葉。ゆえにWEBからの出典ですが、調べると次の定義が出てきます。
つまり「害」、ここでは、疎まれる言動や傍若無人(ぼうじゃくぶじん)な振る舞い の理由を、「老い」に結びつけている概念、といえます。
そして(隠された)前提に「老いにより、ひとは組織や社会における害になりやすい」がある。
では、その「老い」について、日本最高学府から学びます。
分裂不可と放毒
東京大学 定量生命科学研究所 教授の小林武彦さんは、著書『生物はなぜ死ぬのか』で、ヒトの老化を次のように解説しています。
つまり「老い」とは、「分裂と、それによる変化ができなくなること」。
さらに「老害」は前述の概念と合わせ、「組織に毒を放出するか否か」が構成要素です。
逆ロールモデルに学ぶ
裏を返せば、分裂と変化を繰り返し、毒を放出しなければ(組織において)、老害にはなりえません。
ではなぜ、組織において老害は生まれてしまうのか?
「生き様がかっこいい70歳以上の男性有名人」や「心が広そうな男性有名人」 ランキング上位、俳優の高田純次さん。
彼は2015年、日本テレビ『1分間の深イイ話』で、活躍し続ける上での自らの信条を話しています。
この話はTwitterでも拡散され、「世の老害たちに聞いてほしい」と多くの声を集めました。
納得する一方、じつは組織が新しいメンバーに求める3つでもある。
つまり老害は、個人の資質よりも、環境が生み出している可能性が高い、と仮説が立ちます。
むしろ、聞かせてほしい時代があった。
採用時、多くの企業が確認するのはおよそ次の3つ。
前例を疑うなど、論理的に考える力
大事にしている価値観
成果を出す行動の再現性
これらをエピソードを通じて確認し、自社が求める人物像にどれだけマッチしているか?が採用基準です。
入社後も、企業側はメンバーがはやく職場に馴染めるように、と、個人にも職場にもこれらを共有するように促します。
ひとは環境の生き物。ゆえに、周りから求められ承認される話は、どんどん繰り返したくなります。
そして10年経ち、年次が若いメンバーが入ってきても、繰り返す。
すると、どうでしょう?
相手の前提や言動を疑う話は説教となり、大事な価値観を話すために思い出話をし、過去の成功体験を自慢として語る。
個人としては求められた話をしていただけ。しかし自覚なく、「老いて」しまうのです。
問題は、立場が変わっているのに気づかないこと。
若手のうちは、鋭い観点とフィードバックも周囲に受け入れられます。しかしそれは、組織の成長を促す、つまり、分裂と変化を生み出すからです。
組織に長年勤めたひとの意見は、むしろ組織側の意見となり、分裂や変化を生み出しにくくなります。
つまり『生物はなぜ死ぬのか』でいえば、生み出される細胞側から、生み出す幹細胞側になった、といえます。
そして組織の老化とは、幹細胞による分裂と変化が減ること。
すなわち、幹細胞側になったメンバーは、組織の成長に向けて、分裂と変化を促す立場に変容しなければなりません。
「組織の幹部になる」とは、まさにこのこと。
「あなたの、過去の変化はなにか?」から
「周りの、未来に向けた変化を起こすには?」に、問いが変わっているのです。
変わらない部分もあるけれど
とはいえ、手放しに変化を受け入れていいのでしょうか?
ヒトも、脳の神経細胞と心筋細胞(心臓の筋肉の細胞)は、分裂と変化、つまり入れ替えをしません。
脳の神経細胞は、変わると記憶障害が発生してしまい、心筋細胞は変わると停止のリスクがあるからです。
ゆえに企業でも、コアまですべてが変化することはありません。活動に危機を起こすレベルの変化は、むしろ避けるのが普通です。
しかし、よほど法や公序良俗に触れない限り、組織形態や個人がどれだけ変わっても、企業に危機をもたらすレベルの変化は起きません。
むしろ、僕がみてきた100以上の上場企業は、組織や社員の変化を望みさえすれ、現状維持は(コンサルティングや研修を導入するなど、相当な額の)お金を払ってまで、防いできました。
「変化は織り込み済み」が最強
名著『GIVE & TAKE「与える人」こそ成功する時代』で日本でも有名になった、アメリカの心理学者、アダム・グラント氏。
彼は新著『THINK AGAIN 発想を変える、思い込みを手放す 』のなかで、変化の重要性を示唆しています。
以下は2019年、イタリアのスタートアップ116社を対象に4人の研究者たちが行なったランダム化対照実験の結果です。
実験は、コントロール群と介入群の2グループに分けて、異なる起業家トレーニングを実施。すると一方のグループ(介入群)のピボット率は約2.3倍となったほか、トレーニング後の1年間の売上の平均は約47倍もの差にもなりました。
ここからいえるのは、「変化は予測できない。ゆえに、対応できるよう織り込んでおく」でしょう。
で、どうすればいいの?
では、老害にならず、組織で成果を上げて賞賛されるひとになるには?
その具体的なアクションとプランは……実践編で解説します。
15秒で読めるまとめ
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