トマーさん

2021年からインターネットとDeepLの力で中国のポストパンクを研究している。

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  • 中国ポストパンク情報

    中国のポストパンクに関して知り得た情報を集積していくつもりだよ

最近の記事

アーティスト紹介:海朋森 Hiperson アートフォームとしてのロックバンド

北京から南西へ約2000Km、四川省の省都である成都市は、1500万の人口を擁するこの地域最大の都市だ。麻婆豆腐の発祥地として知られ、パンダも有名。 海朋森 Hiperson は、成都の四川音楽学院の学生らによって2011年に結成された。文学的な歌詞と高い演奏技術によって確固とした地位を築きあげた彼らは、10年以上のキャリアを通じて国内屈指のインディロックバンドであり続けている。その高い評価と人気にもかかわらず、追随するバンドが現れないというのも、そのユニークさを表している

    • yourboyfriendsucks! 琪琪音像と広州コネクション

      中国南方、上海から広州にかけて沿岸地域は、温暖な気候で人の気風もゆるい。地理的、文化的に香港や台湾との結びつきが強く、日本からの影響もわりあいと大きい。そうしたこともあって、北方(北京)とはまた違ったインディ音楽シーンが広がっている。 その象徴とも言うべきバンドが、広州の你男友係碌葛 yourboyfriendsucks! である。通称 YBS。 The Jesus and Mary Chain 譲りの素朴なシューゲイズスタイルが特徴で、ほのぼのインディポップだという声もある

      • P.K.14 と1990年代南京ポストパンクシティ

        中国のインディロックの基盤にポストパンクがあるという主張には、それなりの理由がある。 1980年代に始まった中国のロック音楽は、メタルとハードロックが権勢を振るう90年代を経て、21世紀に入ると突如として先進性と多様性を獲得する。地質学的とも言えるこの急激な変化は、あまり物事を単純に捉えるべきではないのだが、南京で1997年に結成された P.K.14 をその端緒としている。 この中国"初"のポストパンク・バンドは、この国とこの国のロックシーンに「アートフォームとしてのロック

        • ベストオブ中国ポストパンク2023的プレイリスト

          年末ということで、今年のリリースから最も印象に残った25曲を選んでプレイリストを作った。Apple Music版とSpotify版とがあり、どちらも内容は同じなので勝手のいい方で聴いてほしい。どっちも知らんという向きは、下の方のトラックリストに無料で聴けるリンクを貼っておいたから、そこから聴いてみればいいと思う。 もののついでなので、各曲の簡単な紹介や解説も載せておいた。少しでも参考になればと思う。ただし、どうでもいいようなことしか書けなかったり、バンドについて何も知らない

        アーティスト紹介:海朋森 Hiperson アートフォームとしてのロックバンド

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        • 中国ポストパンク情報
          5本

        記事

          Carsick Cars とその時代(1)

          中国のインディーロックの基盤がポストパンクであることは、あえて言うまでもないことではあるのだが、ひととおりの説明くらいはあった方がいいはずだ。 そこで問題は、いったいどこから始めるべきか、ということになる。最新の流行アーティストや注目の新進バンドを紹介するのも有用には違いないが、まずはこの国におけるポストパンクの大まかな見取り図を提供するのが親切なように思われる。 そうするとなると、中国のロック史あるいは流行音楽事情に触れなくてはならない気がするし、そもそもポストパンクって

          Carsick Cars とその時代(1)