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「なにかと困る 磯貝プリント株式会社」

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【小説】 下町の小規模企業、磯貝プリント株式会社。従業員100人未満。内訳は社員20人、あとはバイトとパート。社長、専務など役員は主に身内という、アットホームな会社。基本平穏。た… もっと読む
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記事一覧

「なにかと困る 磯貝プリント株式会社」第1話

第一章 また蓋がなくなりました1 返ってきた蓋  自転車のチェーンケースがカチャカチャ鳴…

霜月透子
1か月前
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「なにかと困る 磯貝プリント株式会社」第2話

2 蓋の代わりは内密に  たまには蓋の一つや二つがなくなることもあるかもしれない。蓋を開け…

霜月透子
1か月前
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「なにかと困る 磯貝プリント株式会社」第3話

3 また蓋がなくなりました  翌朝、また蓋がなくなっていた。今度は僕が第一発見者だ。 「お…

霜月透子
4週間前
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「なにかと困る 磯貝プリント株式会社」第4話

4 蓋であって蓋じゃない  郵便物の仕分けをして、各担当者の机上に配っていると、バタバタと…

霜月透子
4週間前
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「なにかと困る 磯貝プリント株式会社」第5話

第二章 またネズミが鳴きました1 小さな訪問者  ハンドルを切り、大通りから逸れて歩道もな…

霜月透子
3週間前
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「なにかと困る 磯貝プリント株式会社」第6話

2 ネズミがいます  十七時半。事務所を見渡し、誰も残っていないことを確認して電気を消した…

霜月透子
3週間前
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「なにかと困る 磯貝プリント株式会社」第7話

3 もっと小さな訪問者 「説明は後だ!」  社長が叫んだ。 「石井ちゃん、ドアを閉めろ!」 「は、はい!」 「つかっちゃんは開いている窓がないか確認して!」 「え? あ、はい!」  僕と大塚さんは訳がわからないわかまま社長の指示に従う。密室の完成だ。 「よし、これで犯人は現場から逃走できないな」  満足げな社長を見上げ、こはるちゃんが「ダイフクは逃亡犯じゃないです」と抗議した。社長はすぐさま「そうか、ごめんな」と謝ったが、今村課長は「まあ脱走犯ですけど」と呟いた。

「なにかと困る 磯貝プリント株式会社」第8話

4 またネズミがいます  結論から言うと、ハムスターのダイフクは見つかった。一時間に一回く…

霜月透子
3週間前
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「なにかと困る 磯貝プリント株式会社」第9話

5 今日も元気に鳴いています  チューイッ!  五十八分になるとネズミが鳴く。僕らはもう探…

霜月透子
3週間前
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