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瀬尾実希子 雲が流れ、月を隠した。光を失った空と海の色が混ざり合い、境界が曖昧になる。…
「え? 徹、あの人のこと知ってるの?」 「わからないか? 圭吾だよ」 実希子がすっきり…
* 次の週末、実希子は岩倉台の実家にいた。両親に徹とのことを報告するためだ。電話をかけ…
* 徹と並んで面会票に記入していると、背後から「みきちゃん」と声がした。絵里の母だった…
進藤絵里 「影のことなんだけど」 絵里は歩行器から椅子に移るなりそう切り出した。 テ…
岩本健二 「だめですよ、岩本さん。そんな手でハンドルは握れないでしょう」 警官の声に、…
刈谷徹 ドワーフという呼び名を久しぶりに聞いた。 「ああ、そんな男がいたな。防空壕の跡に住んでいた人だろ?」 「徹も覚えているの?」 洗い物を終えた実希子が、両手にコーヒーを入れたマグカップを持ってソファにやってきた。いつだったか実希子の誕生日に徹が買ってあげたソファだ。気に入っているから新居にも持っていくと言っていた。 「まさか全然覚えてないとか言わないよな?」 「言うよ。全然覚えてないよ。なんでみんな覚えてるの?」 一人で絵里を見舞いに行った際、ドワーフ
夏休みに入ると、郁美は呪具を作らなくなった。今までも誰かに頼まれて作っていただけで、自…
坪内圭吾 岩倉台総合病院の裏手にある喫茶店は空いていた。NPOの運営する喫茶店で、障害…
なぜ、こんな話になっている? 思い出せ。こんな話をしたかったわけじゃない。 はっ、は…