立花 龍司

野球を中心としたコンディショニングコーチとして活動しています。 これまで経験したこと、…

立花 龍司

野球を中心としたコンディショニングコーチとして活動しています。 これまで経験したこと、勉強したことをnoteを通して伝えたい。 プロフィールはhttp://www.bigbenn.jp/wp/clients/ryuji-tachibana/

最近の記事

私お勧めの投手用ランニングプログラム(冬季)

前々回もお伝えしましたが、ウエイトトレーニングと有酸素運動を並行して行うと本来ウエイトトレーニングで伸びるはずの筋力が途中から落ちていきます。ところが日本の野球界では、冬場は本格的に筋トレを行い、同時に、この時期お決まりの持久走を取り入れているチームは少なくありません。 しかしこれでは明らかに選手たちは損をしている訳です。以前に体力測定や筋力測定の重要性もお伝えしましたが、もし定期的に測定をしていれば、恐らくどのチームも気づくはずだと思います。「あれ?持久力が伸びて、肝心な

    • 投手のランニングメニュー

      前回もお話ししたように、私がオフシーズンに投手にお勧めするランニングメニューは、常に全力で走る短距離走がメインです。特に、多くの研究で裏付けられている 30m走のタイムとスイングスピード、ボール速度と高い相関性があることから、 この30m走を軸に考えます。 練習の休み明けは、この30m走の新記録を狙う目的で5〜8本、通常は15〜20本行います。経験上、これ以上本数を増やすと一本一本の質が落ちてきます。ただ単 に30mを走ればパフォーマンスが向上するのではなく、30mのタイム

      • オフシーズンのトレーニング

        オフシーズン真っ只中、野球界の皆さんは、各々体力強化に励んでいることと思います。シーズン中になかなかしっかり体力強化に充てる時間が取れないので、この期間、重点的に取り組むことはとても大切な事だと思います。 さて、その中身ですが、皆さんはどんなことをされていますか?私が知る限り、この時期、パワーアップのための筋力トレーニングをガッツリ行なっているチームは多いようです。これは確かに野球という競技特性を考えれば最優先すべき事だと思われます。しかし、これと並行してランニングメニュー

        • 野球の体力テストとその傾向③

          今回も体力テスト、特に握力についてお話します。かつては体力テストを行う際、握力に関しては、R.Lの表記のみで測定していましたが、大学院に在籍中に、同じ野球研究班の人からアドバイスをもらい、R.Lに加えて、野手の場合、トップハンド、ボトムハンドという表記も加えるようにしました。 トップハンドとは、バットを握る時、右打者は右手、左打者は左手、ボトムハンドとは、右打者は左手、左打者は右手となります。 なぜそうするようにしたかというと、いくつかの体力筋力と野球パフォーマンスの関連

        私お勧めの投手用ランニングプログラム(冬季)

          野球の体力テストとその傾向②

          今回は体力テストの項目に必ず入っている、ある「力」についてお話していきたいと思います。 私がメッツ時代、本拠地(当時シェイスタジアム)のトレーニングルームにはみんなが頻繁に使うある物が置いてありました。 握力計です。 トレーニングの一環として使っている選手もいたほどです。 1997年の事で、当時はまだまだMLBとNPBの筋力差は明らかでした。その中でも、私が最も違うと感じた筋力は、野手の握力です。 他球団の事はいざ知らず、メッツのトレーニングルームにあった握力計はカ

          野球の体力テストとその傾向②

          野球の体力テストの結果と傾向

          例年この時期になると、野球チームの体力テストの準備をしています。私が初めて体力テストに関わるようになったのは、プロ入り前、修行をしていた大阪ミナミにあるダイナミックスポーツ医学研究所というところに在籍している時からになります。 この施設は、スポーツドクターによる診察と、リハビリ、トレーニング、そしてスポーツ医科学を研究する機関で、研究の一環として、少年野球、高校野球、大学野球のチーム単位の体力テストに関わるようになったのがきっかけです。 また、プロに入ってからも、ほとんど

          野球の体力テストの結果と傾向

          野球の映画 〜フィクション編〜

          前回までノンフィクション野球映画をご紹介してきましたが、今回はフィクションの作品をご紹介いたします。 実話に沿ったストーリーを描がなければならないノンフィクション作品に比べて、フィクションは当たり前ですが、その内容を作者が自由に表現出来ます。とは言っても、その多くは過去の実話からヒントを得たものが多く、私たちはフィクションからも多くのことを学べます。 そんな数あるフィクション作品の中から、今回は「メジャーリーグ1,2,3」や「フィールド・オブ・ドリーム」など、みなさんがよ

          野球の映画 〜フィクション編〜

          野球の映画<実話編>②

          今回も、引き続き実話を題材にした野球映画のお話をします。どうかお付き合い下さい。気になった作品があれば是非ご覧になってください。野球への愛情が深まるはずです。 まず「夢を生きた男〜ザ・ベーブ」(1992年/アーサー・ヒラー監督/ユニバーサル・ピクチャーズ)、そして「打撃王」(1942年/サム・ウッド監督/RKO)、「61*」(2001年/ビリー・クリスタル監督/ワーナー・ブラザーズ)の3本です。 何故いきなり3つの作品を続けてご紹介するかと言えば、この3本を観ることでヤン

          野球の映画<実話編>②

          野球の映画<実話編>①

          再び野球映画のお話です。前回からノンフィクション映画の紹介をしていますが、なんといっても実話の良いところは、実際の映像や本人インタビューなどが多く含まれている作品が多いことです。ただでさえ感動的な話に、それらの映像を観ることで感動は数倍にもアップしますよね。 今回まずご紹介させて頂く作品は、「オールドルーキー」(2002年/ジョン・リー・ハンコック監督/ブエナビスタ)です。 簡単にあらすじを言いますと、(以下ネタバレあり)主役のジム・モリスは、マイナーリーグでプレイしてい

          野球の映画<実話編>①

          スポーツ映画② ~実話~

          今回も引き続きスポーツの映画のお話をさせて頂きます。前回は、1980年の冬期オリンピックを題材にした映画「ミラクル」をご紹介しました。今回は他のノンフィクションのスポーツ映画をいくつか紹介致します。   まず最初の映画は「ルディ」(1993年/デヴィッド・アンスポー監督/トライスター映画)というアイビーリーグのアメリカンフットボールの映画があります。 わかりやすく例えると、早慶戦に出場したい青年が一度諦めて就職するが、そこから何浪もして合格し、最終学年の最後の最後に一瞬だ

          スポーツ映画② ~実話~

          スポーツ映画①

          ※今回の記事は映画「ミラクル」(2004年/ギャヴィン・オコナー監督)に関するネタバレの恐れがあります。 学生になったころあたりから私は、スポーツ映画を観るのが大好きになりました。当然の流れでスポーツ映画のDVDを集める事が趣味となりました。ノンフィクションもフィクションもどちらも片っ端から集めています。そういうわけで、今では恐らく全てのスポーツを題材にした映画は揃っていると自負しています。時間があれば、何度も観た作品でも家でエアロバイクを漕ぎながら鑑賞しています。 何故

          スポーツ映画①

          私が初めて日本の野球界に疑問を感じた時②

          さて、前回から、私がボーイズリーグのオールジャパンに選ばれて、渡米したお話をしております。本当に多くの事を体験させてもらいました。この渡米はまずサンフランシスコを皮切りに西海岸を南下し、ロサンゼルス、アナハイム、サンディエゴ、国境を越えてメキシコ、そして最後はハワイに行き、15日間でその土地のオールスターチームと転戦していきました。 左から4人目が私です。ちなみに左端はジャパンの主将を務め、後に大学(大商大)でチームメートになり、その後日本ハムファイターズ入団する南出仁氏で

          私が初めて日本の野球界に疑問を感じた時②

          私が初めて日本の野球界に疑問を感じた時①

          小学生だった私は、学校から帰宅すると、玄関にランドセルを放り投げて、すぐにバットとグラブを持って近所の空き地にまっしぐら、そのまま日が暮れるまで野球をしていました。それほどのめり込んでいて、この時の時間の経つ早さをよく覚えています。無我夢中とはこういうことを言うのだと思いました。  このころの野球は大人の介入が一切ない「草野球」です。ただただ楽しかった記憶しかありません。ところが4年生になって、正式に少年野球チームに入団します。 子供たちだけの草野球では、子供だけで考えた独

          私が初めて日本の野球界に疑問を感じた時①

          健太(マエケン)ありがとう!②

          今日は投手が速いボールを投げる、というメカニズムについて考えてみましょう。まず大事なのは踏み込み足(右投手は左足)の地面反力です。この地面反力が下胴(骨盤)に伝わり骨盤が回転し、それが上胴(両肩)に伝わり両肩が回転し、腕、指と運動連鎖し、ボールに伝わることでボールは投じられます。簡単に言ってしまうと、これらの連鎖がうまくいけば、より速いボールが投げられる、という事になります。 もちろん、全ての動きが重要なのですが、このうち上胴が回転する時大切になってくるのは、「肩甲骨」です

          健太(マエケン)ありがとう!②

          健太(マエケン)ありがとう!①

          先日、多くの方から、ミネソタ・ツインズの前田健太投手が自身の人気YouTube「マエケンチャンネル」でなにやら私の事を話しているとの連絡をもらいました。すぐに見てみると、「これをやってプロになれた!必見トレーニング」というタイトルで、その内容に涙が出そうなくらい感激しました。コーチ冥利に尽きるのと同時に、コーチの発する言葉の重さを改めて実感しました。 ここから先を読んで頂く前に、まずはぜひYouTubeマエケンチャンネルの「これでプロになれた!必見トレーニング」というタイト

          健太(マエケン)ありがとう!①

          私が更に野球が好きになった理由②

          先日の投稿で少年時代の私がいかに水島新司先生の素晴らしい作品によって野球にのめりこんでいったかを熱くお話ししました。そんな水島作品の中でも傑作中の傑作「ドカベン」は意外な終わり方をします。なんと主人公たちが高校3年の夏の大会を直前に控えたところで最終回を迎えるのです。高校最後の大会、の前に最終回です。このエンディングは衝撃的な謎でした。    しかしその後、「大甲子園」という作品でドカベンは復活します。それどころか、そこでは当時各々独立して人気を博していた「一球さん」や「球道

          私が更に野球が好きになった理由②