スクリーンショット_2020-02-26_14

コロナ禍、具体的にどうしたら良いのか〜「自宅待機病院も行かない」が大切な理由〜

1.新型コロナウイルスについて3週間前に①②で書いたこと

・新型コロナウィルスについて①:1月中旬にバスの運転手とバスガイドが3次感染までしていた事が確認された以上、1月中には普通に市中感染は始まっている

・新型コロナウィルスについて②:武漢からの渡航者 23000人/月と、帰国便の搭乗者の感染率(1.4%)と、3次〜5次まで感染していたとして感染者は1500人から10000人国内存在している可能性がある
・当時の武漢の死亡率(2.1%)を当てはめると今後2−3週間の中で、死者も数10名〜100名規模でもおかしくない

と推測しました。

3週間経って判明したのは、
①やはり経路不明の全国に市中感染が広がっていたという事実(1万人規模??)

ただし、

②死亡率は現時点ではそれほど高くない


武漢においては医療施設での院内感染増加(水平感染40%増)と医療崩壊による重篤患者の死亡が広がったことで高くなっていたが、武漢以外の死亡率はそれほど高くないということで現時点では0.6%程度ということがわかりました。

なので、3次感染までとしてみた場合の予測死者数は1500人 x 0.6%=9名程度ということと推定されます。

まだ国内の正式な有病死亡者が3名(ダイヤモンド・プリンセス号乗客含む)ですが、検査数が限られているためコロナウィルスと認定されずに感染し死亡された方が数名いる可能性はあります。

③では我々はどうすべきかについて書く予定でしたが
事態が様々に急展開し、情報が錯綜しかつ感染症専門医や様々な発信もあり
素人が後講釈する意味もないので、経過を見守っていました。


2.政府見解と高山先生のメッセージから「わかったこと」と「やるべきこと」

ようやく政府見解が発表されました。

そしてここにきて昨日、厚労省で感染対策に当たられている高山義浩先生から、役に立つ感染源の仮説とこれからの活動でどういう事に気をつければ良いかのアドバイスが流れてきました。

素人の立場で自分なりにわかりやすくまとめてみると

2-1. 感染ルートは接触感染?

空気感染 しない?
飛沫感染 する
接触感染 する

なので、怖いのは、目の前で咳・くしゃみする人よりも
「閉鎖空間でのさっき誰が触ったかわからないものに触ること」です。

確かに、これまでの感染報道を思い返しても一貫性があります。

奈良の観光バス、東京湾屋形船の新年会、そしてクルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号のバイキング、
千葉県市川市のスポーツジム、満員電車で通勤した会社員、、、


2-2. 気をつけること

「不特性多数の人が集まる狭い場所に行き、そこでものを触った手で顔を触らない」

人 x 場所 x 物 で考えると良いと思います。

・人 ....リスク高 不特性多数→不特定少数→特定少数      リスク低
・場所....リスク高 閉鎖空間+長時間→閉鎖空間→通常空間/外 リスク低

スクリーンショット 2020-02-26 14.58.34

上記の様に行ってはいけない場所と触っていけないものがわかってきます。、主催者は、どれは開催してどれはキャンセルにすべきかが判断できます。
またただし、その場所に行ったとしてもその直後に目、口、鼻を触る前に丁寧に手洗い、アルコール消毒すれば間に合うかもしれないとも言えます。

2-3. 病院と医療崩壊リスクについて

そして、この3つの条件で、最も行ってはいけない場所

高山先生も言うように病院です。病院は不特性多数のしかも病原菌を持った人が集まる閉鎖空間だからです。

アメリカの権威ある医学雑誌JAMA(Journal of the Amerian Medical Association) に緊急発表された論文でも、武漢の感染の40%は水平感染ということがわかっています。

「コロナウイルスが心配になって病院に大量に駆けつけた普通の風邪の人が武漢の病院で感染し、医療従事者が不足し治療も受けられずに重篤化して死亡した」

というものです。

この新型コロナウィルスのやっかいなのは、
①無症状潜伏期間が長く、感染力も強い
だけでなく
②基礎疾患を持った人、高齢者の命を奪うリスクが高いということ
であり、なので現在も多くの通常患者がいる普通の病院に入院させられないということです。

2/24までに計30人の感染が確認された道内にある国指定の感染症病床は24医療機関の計94床。(北海道新聞)


というニュースを聞いて、そんなに少ないのと思った方も多いと思います。

感染症の対策ができる感染症指定医療機関の指定病床数は、下記のサイトの単純計算では、結核病床を含めても594病院、5,373床しか収容できない可能性があるのです。

スクリーンショット 2020-02-26 15.06.46


なので今、医療関係者はヒヤヒヤしながら、自分の医療圏でクラスターが発生しないか経緯を見守っていると思います。


2-4. PCR検査について

僕も何故、日本のPCR検査数はこんなに少ないままなのか、疑問に感じていました。いくら日数のかかる検査とはいえ、韓国では万単位で行っていて各国でもスピード検査の方法が紹介されています。

数日前のデータでは韓国が500人感染者がいるといっても2万人検査した数字、日本は300人といっても700人(その時点)しかしてないません。

2/26の時点でも1日あたり3830件可能と妙に役人が足し上げたっぽい妙に細かい数字が発表されてはいますが、これまでのべ1890人(26日時点)でここ数日数10件づつしか増えていまさん。韓国は25日1日だけで7548件実施、3月には1日1万件の検査体制を整えると聞きます。

何故、厚生労働省は検査をして感染者を特定して離隔したり感染ルートを特定したりしないのか、既存の検査製品になんらか利権があるのか、硬直的な厚労省の検査ルールが原因なのか、陰謀論含め色々な流言飛語も流れてきています。


でも、今わかるのは
①時間をかけて検査をしても、統計学上の「感度」と、「特異度」の関係で必ず、偽陽性、偽陰性の人が若干名必ず生まれてしまい、過剰離隔と検査漏れが発生してしまうということ

ダイヤモンド・プリンセス号の全員検査でも新型コロナウイルス検査の精度は感度90〜95%の範囲、特異度95〜98%の範囲くらいとすると乗客乗員1000人、平均30%の有病率(300人陽性、700人陰性)とすると「感度95%」、「特異度98%」だとしても真陽性285人、偽陰性15人、真陰性686人、偽陽性14人→15人の感染者を逃し、14人間違って隔離

ダイヤモンド・プリンセス号の後の陽性と判明した乗客を公共交通機関で帰宅させたことについて政府の判断を問いただされた時、ある番組の有識者は、「こういつ言い方は適切かわかりませんが」と前置きしつつ「隔離は きれいな水に、濁った水を入れないことには意味はある。ただ今は(市中感染が発生している可能性が高いなか)濁った水に、濁ったものを混ぜてもあまり問題はない」と言い切っていました。

②感染力が強く、1名からでもすぐにクラスターが形成されてしまう(ダイヤモンド・プリンセスは香港で下船した1名からの感染拡大)

③陽性後、感染後抗体ができず再感染の可能性もある(らしい)ので結局、安心できない

④また感染が陽性とわかってもHIV抗ウイルス薬を試してみるくらいしかなく治療方法がない。

要は感染ルートを追って、感染者を隔離するという水際作戦(船、帰国便)には意味があるが、その破綻が明確化し、次の市中感染フェーズに入った現時点においては、ランダムに検査をしても医学的にはあまり意味がない。(むしろ貴重な医療資源の無駄使い?)

という判断のようです。

2-5. 政府の対応について

PCR検査が進まないのは、厚生労働省が感染発生数を少なく発表したいのでは、エピカーブをなだらかに発表したいのではと、憶測を呼んでますが、上記の理由から発症前のランダムなPCR検査には「もはや」あまり意味はないのも確かです。

以前から、政府、厚労省は、何故早い段階でもっとPCR検査を行い隔離を行わないのか、不思議だったが、穿った見方をすると、1月末の時点で、ここまでの市中感染を見越していたのではないか?とすら思います。

1月の時点で市中感染は既に発生している(ただそんなことは政府としては公式に認められない)、数週間後には経路不明の感染者は発生する、死者も出てくる、ただしPCR検査の結果、有病者を特定しても治療法はなく、特定医療機関にパニック集中すると医療崩壊を起こし、最悪高齢者を中心とした院内感染を起こし、医療パニックを起こしかねない、それが避けたい。そう最初から想定したのかと思えるほど、政府の対応はある意味一貫しているようにもみえます。

大切なのは、一時的に感染者が発生することよりも、医療機関で命を守ること、インフォデミックを避けることだからです。

韓国は、SARSで30名死者を出した経験から、厳格に検査を行いスマホデータなどから映画館の着席座席まで開示していましたが、おそらく新興宗教で大量クラスター発生した今後は、日本の方針と同様に市中感染のペースをコントロールしクラスター発生を防ぎつつ、医療崩壊を避けるという方向に向かうと思います。

いずれにしてもフェーズが変わって、イベント中止や様々な経済への波及効果が出始めた段階では、医学的の正しい対応だけではなく、社会不安を取り除くことも重要です。韓国等が、いざとなったら(明確な医学的な意味はなくとも)大量検査体制を整えて判定するという明確な政府の対応方針を示し社会的不安を取り除くことまで考えているとしたら、それはそれで正しいかもしれません。

2-6. 今、できること、やること

全員がコロナウィルスを持っていたらという仮定で、クラスター発生の加害者にならないために感染拡大を防ぐために、先の図を参考にしながら「潔癖症の引きこもり」の生活習慣を当面は行うしかありません。

ここ2週間で収束させないと、オリンピックが中止される可能性がいよいよでてきます。

「5月末(中略)その時期になれば、東京に安心して行けるほど事態がコントロールされているか、誰もが考えないといけないだろう」    (IOC ディック・パウンド委員)  

何故「検査もせず、できるだけ自宅にいて病院にも来ないでください」という政府が言っている一見無責任に聞こえる普通のことは、今現在では最も理にかなっていることで、市民全員が協力することなのです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?