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オチに膝を打ち、心を揺るがされる:読書録「アリアドネの声」

オチに膝を打ち、心を揺るがされる:読書録「アリアドネの声」

・アリアドネの声
著者:井上真偽 ナレーター:上野翔
出版:幻冬舎(audible 版)

「探偵が早すぎる」「その可能性はすでに考えた」の井上真偽さんの作品。
井上さんは結構トリッキーなミステリーを書かれるって印象だったんですが、割と本書はストレートなデザスターもの。
…ま、最後にヒネリはありますがw。

障害者も自由に暮らせるように作られた地下5階建てのスマートシティ。
祭典の最中、地震に襲わ

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数学絡みの話はサッパリw。興味深く読めましたけどね。:読書録「2035年の人間の条件」

数学絡みの話はサッパリw。興味深く読めましたけどね。:読書録「2035年の人間の条件」

・2035年の人間の条件
著者:暦本純一、落合陽一
出版:マガジンハウス新書(Kindle版)

暦本純一さんと落合陽一さんの対談ですね。お二人は師弟のようです。暦本さんが落合さんの師匠。
例によって生成AI関係の話なんですけれども、雑誌やネットで紹介されていた中で、音声入力に関して書かれている部分があり、それが面白かったのでついつい買ってしまいました。
僕は音声入力が今一番重要な機能だと思ってい

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そういえば、性同一性障害特例法の改正はどうなってるのかな?:読書録「女の国会」

そういえば、性同一性障害特例法の改正はどうなってるのかな?:読書録「女の国会」

・女の国会
著者:新川帆立
出版:幻冬舎

お嬢と呼ばれる女性国会議員の朝沼が自殺をした。
性同一障害特例法改正で党派を越えて連携していた高月は、法案が廃案になることをめぐって、朝沼と前日に口論をしており、自殺の原因として疑われる
果たして、なぜ朝沼は自殺しなければならなかったのか。
国会議員、秘書、政治記者、地方議員
女たちが、政治の闇に踏み込んでいく…

「元彼の遺言状」「先祖探偵」の新川帆立

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生成AIが社会に実装された時の<人>のあり方を示唆してるかも:読書録「いまだ成らず 羽生善治の譜」

生成AIが社会に実装された時の<人>のあり方を示唆してるかも:読書録「いまだ成らず 羽生善治の譜」

・いまだ成らず 羽生善治の譜
著者:鈴木忠平
出版:文藝春秋(Kindle版)

「嫌われた監督」の作者・鈴木忠平さんが羽生善治についてまとめた作品。
羽生善治さんがA級から陥落し、それでもランク戦を戦い続けながらタイトル戦で藤井聡太さんの挑戦者になる。
…と言う「現在進行形」の流れを追いながら、羽生善治さんに影響を受けた棋士たちを取り上げて、彼らの目から「羽生善治」と言う存在を見ることによって、

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お馴染みのキャラの大競演が楽しい:読書録「アンデッドガール・マーダーファルス 1・2」

お馴染みのキャラの大競演が楽しい:読書録「アンデッドガール・マーダーファルス 1・2」

・アンデッドガール・マーダーファルス 1・2
著者:青崎有吾 ナレーター:坂本悠里
出版:講談社タイガ(audible 版)

「地雷グリコ」が評判になっている青崎有吾さんの作品です。
青崎さんの作品は以前「体育館の殺人」をAudibleで聞いていて、
「確かによくできてるんだけど、個人的には乗り切れるかどうか…」
て感じだったんで、
「地雷グリコ」には興味が湧くものの、さてどうしたものか…
と言

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家重と忠光に影響された人々:読書録「まいまいつぶろ 御庭番耳目抄」

家重と忠光に影響された人々:読書録「まいまいつぶろ 御庭番耳目抄」

まいまいつぶろ 御庭番耳目抄
著者:村木嵐
出版:幻冬舎(Kindle版)

号泣モノだった傑作「まいまいつぶろ」の続編といいますか、番外編といいますか。
吉宗の御庭番・万里の視点を絡めながら、徳川家重・大岡忠光の周りにいる人物たちが、2人の関係性にどのような思いを抱いていたかを描いた作品になります

・2人での静かな暮らしを願った吉宗の母(将軍の母)
・吉宗の右腕として改革を支えつつ、忠光の変貌

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シミュレーションはGPTとやっとけって話?:読書録「努力革命」

シミュレーションはGPTとやっとけって話?:読書録「努力革命」

努力革命 ラクをするから成果が出る!アフターGPTの成長術
著者:伊藤羊一、尾原和啓
出版:幻冬舎(Kindle版)

もうChatGPT なんかの生成AIに関する本は読まなくていいかなぁと思ってたんですけど、
GPT4oが出て、ちょっと気分が上がっちゃって、ついついポチっとしちゃいました
尾原さんは「DX進化論」「アフターデジタル」なんかを読んでて、ちょっと興味深い作者さんだと思ってたっていうの

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「書店も当たり前の小売店にならなきゃいけない」と言う話かな:読書録「2028年街から書店が消える日」

「書店も当たり前の小売店にならなきゃいけない」と言う話かな:読書録「2028年街から書店が消える日」

2028年街から書店が消える日
・著者:小島俊一
・出版:プレジデント社

書店で見かけて、気になってついつい購入してしまった本。
さすがにこの内容ですからね。
電子書籍にはなってないようです。

買ってから知ったんですが、作者は松山の明屋書店の社長をされておられた方でその立て直しの手腕を買われて、コンサルティングを今されておられる方のようです。
明屋書店の社長をしたのはトーハンからの出向だったら

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メディアへの告発と期待:読書録「書いてはいけない」

メディアへの告発と期待:読書録「書いてはいけない」

・書いてはいけない 日本経済墜落の真相
著者:森永卓郎  ナレーター:芽守紘一
出版:フォレスト出版(Audible版)

森永卓郎さんの意見にはピンと来ないことも多いんですけど、Audibleの中にあったのでつい…
まぁ興味深く読むことはできました
賛同するかどうかは別ですけどね。

とりあえているテーマは3つ
ジャニーズ問題
財務省問題
日航機墜落問題
これらの点について自分の経験も踏まえて色

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晩年はまぁ上田秀人さんの小説でフォローしていると言うことで:読書録「生きて候 本多正信の次男・政重の武辺」

晩年はまぁ上田秀人さんの小説でフォローしていると言うことで:読書録「生きて候 本多正信の次男・政重の武辺」

・生きて候 本多正信の次男・政重の武辺<上・下>
著者:安部龍太郎
出版:朝日文庫(Kindle版)

戦国武将の中では、結構好きな方になる「本多正信」の息子「本多政重」を主人公とした小説。
上田秀人さんの「百万石の留守居役」では、後半ほとんど主人公化していた前田家の筆頭家老です。
あの小説では、年老いて父親の正信のような清濁合わせ飲む政略家になった姿でしたが、本書では、その前半生、戦さ人として駆

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一歩引いて論理的に考えましょうよ…って感じでしょうか?:読書録「世界は経営でできている」

一歩引いて論理的に考えましょうよ…って感じでしょうか?:読書録「世界は経営でできている」

・世界は経営でできている
著者:岩尾俊兵
出版:講談社現代新書(Audible版)

ちょっと本屋の店頭なんかで見かけることがあって、気になってたんですけど、Audibleの中にあったので聞いてみました。
なかなか面白かったですよ。

作者の主張は作者自身がまとめてくれています。

1 本当は誰もが人生を経営しているのに、それに気づく人は少ない。
2 誤った経営概念によって人生に不条理と不合理が

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エピローグとしての前日譚:読書録「受験生は謎解きに向かない」

エピローグとしての前日譚:読書録「受験生は謎解きに向かない」

・受験生は謎解きに向かない
著者:ホリー・ジャクソン 訳:服部京子
出版:創元推理文庫(Kindle版)

爽快な青春推理小説だった第一作から、予想もしなかったダークサイドに足を踏み込み、苦悩の末に、ようやくそこから抜け出した第三作。
驚くべき三部作の前日譚となる番外編です。

推理ゲームをするために仲の良い友人たちと集まったピップ。
あまり乗り気になかった彼女もゲームが進むうちに、徐々にのめり込

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ゴールデンウィークの宿題に取り組みました:読書録「ピカソは本当に偉いのか?」

ゴールデンウィークの宿題に取り組みました:読書録「ピカソは本当に偉いのか?」

・ピカソは本当に偉いのか?
著者:西岡文彦
出版:新潮新書(Kindle版)

ゴールデンウィーク倉敷の美観地区に行った時に息子と娘は大原美術館に入りました。
思ってたよりも面白かったらしくて、1時間以上ぶらぶらしていたのですが、帰りの車の中で
「ピカソのどこがええんか、よう分からん」
とありがちな疑問が出てきましたw。
その時は「僕もようわからんけど」と言いながら、キュービズムの美術史的な位置づ

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立ち直るきっかけっていうのは、そんなにドラマチックじゃなくてもいい:読書録「月の立つ林で」

立ち直るきっかけっていうのは、そんなにドラマチックじゃなくてもいい:読書録「月の立つ林で」

・月の立つ林で
著者:青山美智子 ナレーター:川﨑芽衣子、松本章太郎
出版:ポプラ社(Audible版)

青山美智子さんの作品は、人生の中で立ち止まってしまった人が、ちょっとしたきっかけでもう一度歩み出す姿を描くパターンが多いです
そのちょっとしたきっかけか、図書館でもらったオモチャだったり、公園にあるカバのアニマルライトだったりw。
本書の場合は、それが「podcast」と言うことになります

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