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VPoE handbook | エンジニア組織のマネジメントに悩んでいた三年前に戻れるなら渡したい。VPoE handbookを書き終えました (目次&サマリ付)

(この記事はVPoE handbookの目次&サマリパートです)

以下で書き始めを宣言してから進捗が悪思わしくなかったhandbookですが、ようやく書き終わりました。

数えるといつの間にか合計30,000字ほどになり、意外とボリュームが増えてしまったので、少しずつ読みやすいように章ごとに記事にしています。

目次はこの記事の目次部分、もしくはこちらのマガジンの一覧からご覧ください。

この記事自体ではその目次と簡単な解説をつけ、ざっくりと全体像を知り、詳しく読みたい気になる記事を見つけやすくするような構成で書いていきたいと思います。

(この7月からは開発マネジメントのキャリアとはまた違った方向に進みだしたので、賞味期限切れギリギリ?!になりましたがなんとか整理も終わりました。)

VPoE handbookを書こうと思った理由

まずはなぜ書こうと思った?の問題意識から。

この記事にあるように、三年前はVPoEという言葉は聞くようになったもの、エンジニアリングマネージャー/VPoEに関する情報はなかなか見つからず、人脈やつてもろくになかったので、わからないことばかりでした。それからはや3年がたつなかで過去の自分に足りなかったことが沢山見えたので、それを一度まとめてみようと思い、始めたのがこのhandbookです。
(githubに書いていたんですが「読みにくい!」との率直ありがたいフィードバックをいただきnoteに引っ越しました..笑)

この理由部分の下書きを書き出したのは、実はもう2年も前のことです。

それからも本当はあのときこうしておけばよかった、という自分の多くの反省や後悔を踏まえたこのhandbookですが、きっとこれからも

- VPoEを目指すエンジニアリングマネージャーの方
- 新米VPoEの方
- VPoEの役割に当たるような人材を登用したいと思う経営者やマネジメントの方々

などは少数ながらこのhandbookを必要とする方はいると思いますので、そんな人にタイミングがきたら思い出して読んでもらえればと思っています。

1. VPoEの歴史

まずはインターネット上の情報をすべて洗うことからはじめました。今のweb業界でのいわゆるVPoEのはじまり、年代ごとのソースをまとめてあるのでこのあとの記事のベースになったものを直接みたいときにこちらをご覧ください。

VPoE (VP of Engineering) って何?ってところからいろいろ調べたい方は個々のリンク集を読み漁ってもらえればいいとおもいます。

2. VPoEに求められる責務

ここからが本題です。最初に一番重要な責務について書きました。

結論、VPoEはExecutionに責任を持つ人とここでは定義しています。

企業活動を続けていく上で戦略と実行ということばはよくセットで使われますが、VPoEはソフトウェアを主軸とする企業においてのその実行の責任者です。

もう少し狭義に「エンジニア組織を良くする人」「組織のピープルマネジメントの統括者」という定義も見かけますし、自分も最初はそう思っていました。

ただそれらは俯瞰してみるとあくまで企業活動として適切に製品をデリバリー(実行)するための一部です。企業としての業績・収益を上げることにより直結することは実行の質・スピードであり、その実行結果に目を向けるべきであるとこのhandbookでは書きました。

大目的のズレはその後の意思決定のすべての質に関わるので、ここだけでも目をとおして各々の組織なりの責務、ゴールを定義してもらうと良いと思います。

このあとの話もまとめた図は↓になります。

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3. VPoEに求められる役割

責務のところでは抽象的な話ばかりになったので、もう少し具体的な内容がここから始まります。
各論に行く前にここでは役割の全体像に触れて、大きく4つの必須の役割

- Project Management
- Process Management
- Team build
- People&Culture Management

があると書きました。ここまで読むだけでもVPoEの全体像が前よりだいぶクリアになると思います。

4. VPoEの具体的な仕事

以下、各役割をこなす上で必ず向き合う仕事について説明していきます。

次章で詳しく書くので急ぐ方は次を見ていてだければと思います。

5. VPoEの仕事はVPoEが決める

説明をしていきますといいつつ、いきなり少し困るかもしれない提案をしています。

タイトルとおり、「VPoEの仕事を決める」という仕事が必要と書きました。

これは常に全社の戦略に合わせて毎期ごとに戦略を練りアクションプランを立てていく事業責任者/マネージャーレベルの人からするとあたりまえかもしれません。ですが初めてこういった立場になった場合に僕が知りたかったなと思ったことも合わせて書いています。

6. DSTで戦略を立てる

補足的に、私見ですがコラム的に具体的な仕事・戦略の決め方をこちらで触れていますので、今まさに今後の中長期の計画を考えなきゃ、というときに見てみてください。

7. 開発ロードマップ:戦略を最速で実行できる最高の計画を建てる

ロードマップづくりは多くの方が体験したことあることかと思いますが、特にVPoEとしてのどう関わっていくか、20人以下と20人以上のケースにわけて、どんなケースでどんな貢献が求められるかを書きました。

8. 進行管理・デリバリー:見える化と包括的な課題解決アプローチ

プロジェクトマネジメントと聞いてこの部分を一番想像する方も多いと思いますが、次は進捗管理についてです。

細かいプロジェクト管理の方法については触れず、VPoEになったら必須で抑えておきたい「見える化」「標準化/個別最適」「横断的な問題解決」の3つについて書いています。

9. 開発プロセス設計・改善:俯瞰してスケールからくる課題を解決する

開発プロセスについては、エンジニアリングマネージャーのかたなら一番馴染みも自信もあるところかもしれません。ここではVP of Engineering といえど、エンジニアリングにこだわらずより広くものづくりのプロセスすべてに目を向けていきましょうと書きました。
全体に目を向けることでさらにクリティカルな課題を見つけインパクトをだしていくことが求められます。

10. 人員のアロケーション:大きなインパクトと責任の伴う仕事

Team buildにおいて最重要なアロケーションについてです。恥ずかしながら、僕は当初アロケーションとアサインの違いもよく変わらず、アロケーションの意味合いや狙いを理解していませんでした。

今となっては経験・失敗から、大きな成果の出せうる調整ポイントの一つという認識です。リソースの分配はスピード・質に一番直結しやすく、積極的・戦略的にアロケーションの変更は活用しています。

11. 人員のアサイン:より大胆に戦略的に

アサインは馴染みも経験も多くある人が多いでしょう。ここでは単なるアサインではなく、組織全体としての意図をもったアサインや、各チームが適切なアサインを行っていけるような補助線作りの重要性について書いています。

12. 採用:組織の成長に必須の最重要タスク

EMに関わらず、読んでいるすべての人が関心が高いであろう採用についてです。

ここでは採用に苦戦している、もしくはこれから力を入れていきたいというときにどんなことをするべきかを書きました。

実際にVPoEを新設する、CTOから切り離してつくる、というフェーズでは、採用強者で問題なくやれているというところは稀であると思います。そんなときVPoEが採用に手を入れるときに学ぶべきこと、VPoEだからこそできる組織内部へのアプローチなどについて経験も踏まえて書いています。

13. 人と文化:組織づくりの基礎知識とアンチパターン

最後に、people & culture managementについて。

中身は、目標設定・評価・1on1・組織づくりといった分野ですが、大事なポイントを3つ書きました。

VPoEというとやっぱりエンジニア向けの採用、広報、組織づくりといったことがフォーカスされ、それは正しいと思うのですが、またそれぞれに付いては追加していきたいと思います。

最後に

3万字、13章という長編になってしまいましたが、最後まで読んでいただきありがとうございます。

ニッチですが、3年前の自分のような人や、経営、マネジメントの方々の些細なショートカットと行動のキッカケになれば幸いです。

個人的にはエンジニアリングマネジメントに関わる人はぜひ一度VP of Engineeringになることを検討してもらいたいですし、経営の方々もCTOだけでなくVPoEの必要性を一度立ち止まってぜひ考える機会にしてもらえればと思います。

ハンドブックということでちょっと物足りない内容だった方もいるかもしれませんが、SNS等で #VPoEhandbook をつけて感想などぜひ自由に書いてもらえると嬉しいです。

個別のご相談もたまに頂くのですが、実際になにか壁打ち等役に立てることがあれば遠慮なくTwitterのDMで連絡いただければともいます。

ニーズがあれば追記もしていきたいと思います。またコラム的にVPoEについて書かれる方がいましたらぜひマガジンについかさせていただきたいと思います。なるべくVPoEを考える人が一度はみかけるマガジンになればと思います。

このhandbookの最大の目的は同じような立場にある方の実務に生きることですので、読んだ後にVPoEの必要性について話したり、自分たちの組織なりのアレンジをしたジョブディスクリプションなり、オリジナルの責務なりを定義してみてほしいと思います。

終わり。


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エンジニアリングマネジメントにおける重要項目を体系的に13のセクションに分けて解説しています。VPoEを目指す方はもちろん、エンジニアリングマネージャー、開発チームをまとめるリーダー、CxOの方に役に立つ内容となっていると思います。 ご購入いただいた方からの記事追加のご希望や、実務のご相談などにもなるべくお応えしたいと思いますので、遠慮なくご相談ください。

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