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せとものについて話しましょう

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「せともの」の語源は「瀬戸で作られたり焼き物」。 その瀬戸市で代々陶器屋をやっています。 瀬戸焼について知ってほしいこと、楽しむためのヒント、瀬戸の街のことなど、ぼちぼち書い… もっと読む
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#01 初めまして せとものについて話しましょう

#01 初めまして せとものについて話しましょう

note始めます

 2006年からメールマガジンを続けてきました。せともののこと瀬戸のことなど、毎週1回土曜日配信「瀬戸だより」として、17年間で870回を超す配信を行ってきました。我ながらよく続いたものだと感心します。
 ひとまず、当初書きたかったこと、やりたかったことは済んだんじゃないかと思い、そのメールマガジンは定期配信を終了することにしました。残された大量の過去の文章は何かの形で活かしな

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#27 年パスを買おうかいつも悩む

#27 年パスを買おうかいつも悩む

 ゴールデンウイークはいかがでしたか?

 近場で豊田市美術館に出掛けて来ました。「未完の始まりー未来のヴンダーカンマー」。展示のタイトルを見てもよくわからず、行くのを先送りにしていましたが、なんとかギリギリ見に行けました(5月6日で終了)。ヴンダーカンマー(驚異の部屋)は15世紀のヨーロッパで世界中のめずらしいもの、不思議なものを集めた部屋。美術館・博物館の原型とされています。
 豊田市美術館と

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#26 「織部」って織部さんの好みです

#26 「織部」って織部さんの好みです

 さて、織部と言えば瀬戸焼や美濃焼を代表する人気の釉薬です(唐突ですが異論はないとは思います)。
 緑色の釉。銅を含む釉を酸化焼成することで得られる色合いです。
 前回書いた春岱の織部もとてもステキでした。

 織部……もともとは釉というよりも織部好みの器全体を指していたようです。織部好み……この織部というのは戦国大名、古田織部のこと。武人であり、茶人であり、利休の高弟。その織部好みというスタイル

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#25 なんと春岱展は約60年ぶりだって!

#25 なんと春岱展は約60年ぶりだって!

 土曜日から始まった瀬戸市美術館の「春岱 稀代の名工」展を見てきました(6月2日まで)。

 春岱は幕末から明治に活躍した瀬戸の名工として知られる方。尾張藩の御窯屋の家に生まれ、明治10年に没するまで製作を行っています。その作品は「瀬戸焼」の歴史を振り返るような展示では必ず見かけます。

 当店を始めた祖父は古陶器にとても目の効く人だったようです。戦後独立した当時は骨董商に近いような仕事だったよう

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#24 陶祖まつり。陶彦社まで案内しましょうか。

#24 陶祖まつり。陶彦社まで案内しましょうか。

 4月は「せと陶祖まつり」となります(令和6年は20日21日の土日となります。
 陶祖というのは加藤四郎左衛門景正で鎌倉時代に瀬戸に中国の進んだ製陶技術を伝えたとされる人です。瀬戸では藤四郎と呼ばれたりもします。
 その陶祖伝説については昨年ここに書きました。

 陶祖藤四郎は神さまとして瀬戸の中心「深川神社 陶彦社」に祀られています。瀬戸でせとものを扱っているからには陶祖まつりにここに参拝せずに

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#23 「となりのセトシ」…にも来てね。

#23 「となりのセトシ」…にも来てね。

 今週はジブリパークが全面開業するということで(令和6年3月16日)、先週あたりから地元テレビでもその話題が多くなっているようです。部分的なオープンからやっと全体が完成したということです。

 部分オープン以来、瀬戸市も尾張瀬戸駅周辺ではジブリパーク関連の飾り付けなども行われています。と言っても、ジブリパーク自体は瀬戸市のすぐ隣、長久手市の愛・地球博記念公園内にあって瀬戸にはないわけです。そこで「

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#22 わかりやすく釉薬について語ってみたい…あっ、色つけるの忘れてた(4)

#22 わかりやすく釉薬について語ってみたい…あっ、色つけるの忘れてた(4)

 釉薬について何度か書きました。

 ふと、気がつきました。釉に色を着けるのを忘れていました。
 染付の磁器に掛けられている透明な釉薬。釉薬の下に呉須で描かれた絵がきれいに見えます。でも多くの陶器に施されているのは何らかの「色」が着けられています。
 古くから、赤津七釉と呼ばれる灰釉、鉄釉、織部、黄瀬戸、志野、御深井、古瀬戸(赤津地区は瀬戸でも作家や窯元が多い地区)などはもちろん、他にも瀬戸は釉薬

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#21 今年も「おこしもの」を作った。

#21 今年も「おこしもの」を作った。

 1ヶ月以上の会期があった「陶のまち 瀬戸のお雛めぐり」のイベントもいよいよ今週末までとなります。

 瀬戸のひな祭りというと「おこしもの」をお供えする習慣があります。これは瀬戸周辺になるのでしょうか。うちの母は同じ愛知県内でも三河の出身ですが、まったく知らなかったようです。
 おこしものという名前は型を使って形を作る作業を作業を「型起こし」と呼ぶので、それから来ているかと思います。
 具体的な作

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#20 まだ寒いけど、瀬戸の「お雛めぐり」は始まりました。

#20 まだ寒いけど、瀬戸の「お雛めぐり」は始まりました。

 今週、尾張瀬戸駅前のパルティせとに福よせ雛の展示を見つけました。
 福よせ雛は役目を終えた雛人形を使って、いろいろな日常風景を表現するものです。自由で楽しそうなお雛飾りですね。毎年この季節に瀬戸のパルティせとに展示されます……えっ、なぜって?それは瀬戸の街が雛であふれる「第23回陶のまち瀬戸のお雛めぐり」が開催されているからですよ。

 毎年、1月の末から3月のひな祭りまでの期間(令和6年は1月

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#19 門松代用紙って知ってますか?

#19 門松代用紙って知ってますか?

 クリスマスが終わり、いよいよ年の瀬という今週、今年も自治会の回覧で「門松代用紙」が届きました。門松代用紙(かどまつだいようし)って何、と思われる人も多いと思います。その名の通り、正月に門松の代わりに玄関先に飾る紙になります。
 「正月の飾り物作りなどで山の緑が損なわれないようにはじめた瀬戸市の伝統事業です」と以前瀬戸市の広報に説明が添えられていました。
 門松代用紙は瀬戸市のホームページからダウ

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#18 大きさは尺と寸と分

#18 大きさは尺と寸と分

 実は先月、この歳(58だ)になってバイクの免許を取りました(と言っても、小型AT限定ですが)。
 バイクの免許をお持ちの方はわかると思うのですが、自分は教習所の一本橋には苦労しました。30センチの幅しかない15メートルの橋を渡るという課題。狭いと思うと緊張するわけです。ただ、それはちょっとした気持ちの問題で、これは1尺の幅だと気づいたら「尺皿って大きいよなあ、うん大きいよ、そうかぁ一本橋も広いじ

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#17 今年の御題茶碗…反省もいっぱい

#17 今年の御題茶碗…反省もいっぱい

 バタバタと12月は過ぎていきます。毎年のことです。ずいぶん更新の間隔が開いてしまいました。繁忙期というやつです。

 干支と御題茶碗。無事にそれぞれのお客さまの元にお届け出来たようです。
 例年のお客さまへ(古くからの)とにかく早くお届けして、余裕があればネットショップで販売とか思っていましたが、そんな余裕も(時間的にも入荷数的にも)出来ずに終わってしまいました。
 まあ、主に時間的にギリギリだ

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#16 そうか、もう干支や御題茶碗の季節か。

#16 そうか、もう干支や御題茶碗の季節か。

 毎年この季節になると(つまりは年の暮れ)、干支置物と御題茶碗にいそがしくなります。
 干支置物は文字通りの干支の置物。よく見かける小さなかわいいものから、作家さん手作りの迫力あるものまで、いろいろ取り揃えております。

 来る年の干支は辰。龍ですね。
 地元の中日ドラゴンズがもし今シーズンしっかりした成績を残してくれていたら、龍の置物も注目されて……ねぇ…(意外とあるんですよ、こういうの。トラ年

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#15 瓶子ってとても好きな形です。

#15 瓶子ってとても好きな形です。

 名古屋の爲三郎記念館(古川美術館分室)の「瀬戸陶芸協会百年への挑戦 古今無双 瀬戸陶芸物語」を見てきました。

 ずっと気になっていたんです。「せともの祭が終わったら、やりたい(行きたい)リスト」の上位にリストアップしてあったんですが、結局先週やっと行くことが出来ました。10月1日が会期末でしたので、ギリギリでの鑑賞でした。 
 瀬戸陶芸協会は瀬戸の陶芸家の集まりで、日本でも最も歴史のある陶芸家

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