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恋愛掌話

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ふと気晴らしに恋愛小説を書いています。
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記事一覧

おたくさの旅 2

 旅先では早朝に目覚めてしまいます。  連日で疲れているはずなんですけど。  生来の晴れ男…

百舌
22時間前
15

おたくさの旅 1

 梅雨☂️がもう一歩に来ています。  離島のメロン🍈を佳い女子に届けたくて。  また叔母や…

百舌
1日前
21

蠱惑の赤 1 #いやんズレてる

 かつて、すれ違いも愉しみでもあった。  携帯もスマホもない時代は、女子の家に電話をかけ…

百舌
3日前
13

男爵のヴィラ 2 #いやんズレてる

 普段通りの時間が流れている。  のは内面だけだ。  閉ざされた空間で全裸で過ごしている。…

百舌
8日前
15

男爵のヴィラ 1 #いやんズレてる

 後ろ手に鍵を掛けられた。  堅牢なドアに相応しい重い音。  複数の鍵をひとつひとつ丁寧に…

百舌
9日前
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ホワイトシチュー #いやんズレてる

 あたしさぁ、と乗ってきた。  裸の胸に彼女の髪がさらりと触れる。  その感触をなぞる様に…

百舌
10日前
16

甘い冒険

 最初はね。  やってみたかっただけ。  でも男子ってすぐにいないし。  それに一歩進んだら、立ち止まるどころか。  戻ってくれないって、加奈が言うから。  だからこわいんだって。    でも。  ちょっと強引にしてくれないと。  加奈も逃げちゃったかもってゆってた。  じゃあさ。  ちょっと教えてくれない?  触られたらどんな気分なの。  自分の指でするとは違うの。  重なる掌の、体温は違うね。  何だか汗ばんできたね。  ああ。  kissって同じ味がするんだね。  さ

夜を疾走する

 もう10年も昔のことだ。  初めて横須賀を訪問した。  その街の何所かに、縁遠くなった女性…

百舌
2週間前
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繭玉祀り 1

 私は存在していたのかしら。  記憶さえ曖昧な乳白色の闇に包まれている。  時間の流れでさ…

百舌
2週間前
7

Showroom ♯腐れ縁だから

 アームチェアで膝を組んでいる。  イームズのシェルアームチェアで、座面は織地で肌触りが…

百舌
3週間前
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郷愁のひと皿 3 ♯帰りたい場所

 早世した両親に代わってなのでしょうかね。  親戚でもないのに、40年余りも親しい家族がい…

百舌
4週間前
22

郷愁のひと皿 2 ♯帰りたい場所

 早朝から峠を走る。  明治の空気が残るこの道に、愛車を連れていきたかった。  佐賀の鹿島…

百舌
4週間前
22

郷愁のひと皿 1 ♯帰りたい場所

 法事のために島を出ます。  片道3時間弱は毎回、新作を書く時間に充てていて。ただし今日は…

百舌
1か月前
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帰りたい場所、還りたい刻

 還暦という区切りまでもう少し。  生後すぐに母親を。  二十歳そこそこで父親を。  早くに失ってからの、根無し草のような生活で、アルバイトの傍らで廉価な原稿と写真ばかりで暮らしていた頃。小説家の道は細くて険しいものでした。  まだ自分の可能性を、無自覚に確信していた時代でしたね。  それでも家族への渇望があり、家庭を持ったのが30年も前。  きちんとそれぞれに誕生日ケーキが用意された日々でした。  妻との時間を楽しみ、鳩を追って走っていく娘を見守る日々。妻が珈琲を淹れてくれ