sae@映画ソムリエ

年間120本映画館で最新映画見るのが趣味の会社員(ジャンル問わず。ただしホラー除く)。…

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年間120本映画館で最新映画見るのが趣味の会社員(ジャンル問わず。ただしホラー除く)。ネタバレなしでおすすめ映画をご紹介します。Amazonアソシエイトに参加中。

記事一覧

映画感想文「ディア・ファミリー」驚きの実話。思い持つ個人が世界を変える

実話だというから、驚きだ。 1970年代の愛知県。町工場を経営する坪井夫妻の次女ヨシミ(福本莉子)は生まれつき心臓に疾患を抱えていた。 そんなある日、20歳まで生きら…

映画感想文「ブルーきみは大丈夫」大人に沁みる泣ける映画。豪華声優陣も見どころ

今年いちばん、泣けた。 残業し疲れ果てた、週明け月曜日。気分を変えようと遅い時間でもやってる映画を選んだら、大正解。 母を亡くし、父が病気で入院。祖母の家に預け…

映画感想文「かくしごと」認知症の父役の奥田瑛二が素晴らしい。タイトルは最後に回収される

人生の最後、これだけは避けたい。 だけど、きっと避けられない。認知症。65歳以上の5人に1人が罹患してるという。 そんな「いかにも」な認知症の老人を見事に演じた奥田…

映画感想文「初恋」豪華俳優陣の中でもベッキーが秀逸

キレキレの演技に見惚れた。 豪華な出演者たち。の中でも群を抜いて目立ってたベッキー。脇役のヤクザの女、なんだがこれがまた凄く個性的。綺麗どころの役ではなくコメデ…

映画感想文「違国日記」あなたと私は違うけどあなたを尊重する、そんなスタンスが心地よい

同性の兄弟は複雑だ。 性別が一緒なこともあり、子供の頃から比較される。お互いに無意識にライバルとなり、時に傷つけ合う。 まさにそんなケースである、小説家の槙生(…

映画感想文「明日を綴る写真館」80歳で初主演の快挙。大御所達の出演に人徳を感じる

80歳で初主演映画。 なんて素敵なんだろう。愛知県出身の平泉成が地方都市で写真館を営む鮫島に扮し、主演。弟子入りしてきた若いカメラマンに気付きを与え彼がそれによっ…

映画感想文「あんのこと」この現実を前に自分には何ができるのだろう

新聞記事に載った事件を下敷きにした作品だという。 そう、これはこの日本のどこかにいる、誰かの物語だ。目を逸らしたくなるほど辛い現実がそこにある。 21歳のあん(河…

映画感想文「キッキンから花束を」50年続く店の秘訣は客とのコラボである

50年に渡り、行列のできる店。 南青山の骨董通りにある、中華風家庭料理の店「ふーみん」のドキュメンタリーである。 日本と台湾のハーフである店主の斉風瑞(さいふうみ…

映画感想文「東京カウボーイ」井浦新主役の米国映画。単身異国に乗り込む主人公の変容が見どころ

やっぱり、うまいな。と唸った。 井浦新を主役に据えた時点で成功。この人は人間の弱さを表現するのがめちゃくちゃうまい。どの作品を観てもそう感じる。これは天賦の才だ…

映画感想文「ドライブアウェイ・ドールズ」20代女子の自分探しドライブ。なかなか良作

観るかどうか迷ったが、観て正解。 だいたいあらすじ読めるしね。コメディタッチのドタバタ劇はお腹いっぱい。と思いきや、主題はそこでなかった(たぶん)。 何気に20代…

映画感想文「ハロルド・フライのまさかの旅立ち」ひとりの行動が周囲を変える。英国の田園風景が美しい

不意に訪れるものだ。 ここで頑張らねばと火がつく時が。 人生の終わりに差し掛かったハロルド。保守的で怖がりで家からほとんど出たこともなかった。そんな彼にも訪れた…

映画感想文「きみに読む物語」何度見ても心を鷲掴みにされる引力のある恋愛映画

ベタだが、心を鷲掴みにする。 いちばん大好きな恋愛映画だ。7月にリバイバル上映するというニュースみて小躍りしてる。絶対みにいく。 20年前、公開時に劇場で観た。す…

映画感想文「マッドマックス 怒りのデスロード」シャーリーズ・セロンの当たり役。ひたすらカッコ良し

胃が波打ってる。 夕食後に視聴。息つく間もないカーチェイス&銃声の連続でふらふら。あっという間の120分。という作品。 なんと公開は、もう9年前。荒廃した荒野で水や…

映画感想文「天使の涙」一世を風靡した香港映画。リバイバル上映で30年を振り返る

公開は30年前。 それなのに、いまだ色褪せない。 ウォン・カーウァイ監督の1995年の作品。当時一世を風靡した香港映画。 煌びやかなネオンまたたく香港の夜。孤独に生き…

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映画感想文「ミラーライアーフィルムズ SEASON5」6作品で90分がなかなか、テンポ良し

6作品を90分で観る。 なかなか面白かった。クリエイター発掘・育成を目指す短編映画制作プロジェクト「MIRRORLIAR FIRM」プロジェクトの第五弾。 無名の監督、製作者や俳…

映画感想文「マッドマックス フュリオサ」アニヤ・テイラー=ジョイの持つ少女性を遺憾なく発揮の作品

ある日、いたいけな美少女が敵に捕まる。 たった10歳で。 こんなに胸を締め付けられ、不安になることはあるだろうか。しかも相手はむくつけき男たち、悪党なバイク集団。…

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映画感想文「ディア・ファミリー」驚きの実話。思い持つ個人が世界を変える

映画感想文「ディア・ファミリー」驚きの実話。思い持つ個人が世界を変える

実話だというから、驚きだ。

1970年代の愛知県。町工場を経営する坪井夫妻の次女ヨシミ(福本莉子)は生まれつき心臓に疾患を抱えていた。

そんなある日、20歳まで生きられないと医者に宣告される。ショックを受ける父(大泉洋)と母(菅野美穂)。しかし彼らはそこで諦めなかった。嘆くだけではなく、行動した。

全国の医者をリストアップし、何か策はないか相談。時には海外まで医者を訪ね歩いた。

そこで見え

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映画感想文「ブルーきみは大丈夫」大人に沁みる泣ける映画。豪華声優陣も見どころ

映画感想文「ブルーきみは大丈夫」大人に沁みる泣ける映画。豪華声優陣も見どころ

今年いちばん、泣けた。

残業し疲れ果てた、週明け月曜日。気分を変えようと遅い時間でもやってる映画を選んだら、大正解。

母を亡くし、父が病気で入院。祖母の家に預けられた12歳のビー。「もう私、子供じゃないから」が口癖。心を閉じて、不安で押しつぶされそうな気持ちを保ってる孤独な少女。

そんな彼女が、祖母のアパートで謎の生き物ブルーやその仲間と出会う。戸惑うビー。

彼らはイマジナリーフレンド(I

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映画感想文「かくしごと」認知症の父役の奥田瑛二が素晴らしい。タイトルは最後に回収される

映画感想文「かくしごと」認知症の父役の奥田瑛二が素晴らしい。タイトルは最後に回収される

人生の最後、これだけは避けたい。

だけど、きっと避けられない。認知症。65歳以上の5人に1人が罹患してるという。

そんな「いかにも」な認知症の老人を見事に演じた奥田瑛二に圧倒された。

どんどん訳わからなくなってくる様が非常にリアルで切なくて。主人公である娘の千紗子(杏)と同じ気持ちになって、何度か脳内で怒鳴りつけたり、涙ぐんだりした。本人も辛いだろうが周囲も本当に本当に辛い。その様がよく、表

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映画感想文「初恋」豪華俳優陣の中でもベッキーが秀逸

映画感想文「初恋」豪華俳優陣の中でもベッキーが秀逸

キレキレの演技に見惚れた。

豪華な出演者たち。の中でも群を抜いて目立ってたベッキー。脇役のヤクザの女、なんだがこれがまた凄く個性的。綺麗どころの役ではなくコメディ要素も含んだ汚れ役。それを身体を張って演じてたし、快演で良かった。

余命宣告されたボクサーレオ(窪田正孝)が、ヤクザに追われるモニカ(小西桜子)をひょんなことから守ることになるお話。

刑事役に大森南朋、ヤクザには内野聖陽、染谷将太。

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映画感想文「違国日記」あなたと私は違うけどあなたを尊重する、そんなスタンスが心地よい

映画感想文「違国日記」あなたと私は違うけどあなたを尊重する、そんなスタンスが心地よい

同性の兄弟は複雑だ。

性別が一緒なこともあり、子供の頃から比較される。お互いに無意識にライバルとなり、時に傷つけ合う。

まさにそんなケースである、小説家の槙生(新垣結衣)と、専業主婦の姉。ほとんど没交渉である。ところがある日、そんな大っ嫌いな姉の訃報が届く。

残されたのは、一人娘の中学生3年生の朝(早瀬憩)。そして両親を亡くし行く当てのない朝に思わず手を差し伸べ、一緒に暮らすことになった槙生

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映画感想文「明日を綴る写真館」80歳で初主演の快挙。大御所達の出演に人徳を感じる

映画感想文「明日を綴る写真館」80歳で初主演の快挙。大御所達の出演に人徳を感じる

80歳で初主演映画。

なんて素敵なんだろう。愛知県出身の平泉成が地方都市で写真館を営む鮫島に扮し、主演。弟子入りしてきた若いカメラマンに気付きを与え彼がそれによって変わっていく、という様を描く映画。

正直、いろいろ気になった。ベタで安易な展開とか、演出の既視感とか。あと主演より登場場面多いカメラマン役の存在とか。

それでも、おそらく主演の平泉成に対する友情出演的な意味合いで出演したのであろう

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映画感想文「あんのこと」この現実を前に自分には何ができるのだろう

映画感想文「あんのこと」この現実を前に自分には何ができるのだろう

新聞記事に載った事件を下敷きにした作品だという。

そう、これはこの日本のどこかにいる、誰かの物語だ。目を逸らしたくなるほど辛い現実がそこにある。

21歳のあん(河合優実)。身体が不自由な祖母とホステスで生計を立てる母との女3人暮らしだ。

酔っ払って団地の狭い家に男を連れ込み嬌声をあげる母。彼女は連日あんに対し殴る、蹴るの暴力を振るう。自分の人生への絶望を実の娘への暴力で憂さ晴らしするかのよう

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映画感想文「キッキンから花束を」50年続く店の秘訣は客とのコラボである

映画感想文「キッキンから花束を」50年続く店の秘訣は客とのコラボである

50年に渡り、行列のできる店。

南青山の骨董通りにある、中華風家庭料理の店「ふーみん」のドキュメンタリーである。

日本と台湾のハーフである店主の斉風瑞(さいふうみ)氏が女手ひとつで立ち上げた中華料理や。舌の肥えた近隣の著名人たちに鍛えられ磨かれた味。

そういう意味では「ふーみん」は今で言う、コラボレーションがうまく行った事例である。ある種、素人であると言うスタンスのママの人柄も素晴らしかった

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映画感想文「東京カウボーイ」井浦新主役の米国映画。単身異国に乗り込む主人公の変容が見どころ

映画感想文「東京カウボーイ」井浦新主役の米国映画。単身異国に乗り込む主人公の変容が見どころ

やっぱり、うまいな。と唸った。

井浦新を主役に据えた時点で成功。この人は人間の弱さを表現するのがめちゃくちゃうまい。どの作品を観てもそう感じる。これは天賦の才だと思う。

そして脇役の國村隼。この人も凄い。何しろ人間のやらしさを嫌味なく表現できるところが秀逸。腹黒さを表に出しても嫌いになれない。人間たらし的な才能。

ふたりの演技と設定の新しさで、シンプルなストーリーながら魅せる。

食品メーカ

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映画感想文「ドライブアウェイ・ドールズ」20代女子の自分探しドライブ。なかなか良作

映画感想文「ドライブアウェイ・ドールズ」20代女子の自分探しドライブ。なかなか良作

観るかどうか迷ったが、観て正解。

だいたいあらすじ読めるしね。コメディタッチのドタバタ劇はお腹いっぱい。と思いきや、主題はそこでなかった(たぶん)。

何気に20代女子の自立の話であった。

保守的なエリアで育ったジェイミー(マーガレット・クアリー)はレズビアン。ひょんな経緯で友人のマリアン(ジェラルディン・ヴィスワナサン)とフロリダ州タラハシーまでレンタカーでドライブすることになる。

そこに

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映画感想文「ハロルド・フライのまさかの旅立ち」ひとりの行動が周囲を変える。英国の田園風景が美しい

映画感想文「ハロルド・フライのまさかの旅立ち」ひとりの行動が周囲を変える。英国の田園風景が美しい

不意に訪れるものだ。

ここで頑張らねばと火がつく時が。

人生の終わりに差し掛かったハロルド。保守的で怖がりで家からほとんど出たこともなかった。そんな彼にも訪れたその時。

きっかけはホスピスにいる、かつての同僚からの手紙。返事を書くうちにかつての彼女との思い出がよみがえる。

そして、歩き始める。イギリスを横断する800キロ。彼女のいるホスピスまで。

彼自身の変化もそうだが、彼の行動で妻のア

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映画感想文「きみに読む物語」何度見ても心を鷲掴みにされる引力のある恋愛映画

映画感想文「きみに読む物語」何度見ても心を鷲掴みにされる引力のある恋愛映画

ベタだが、心を鷲掴みにする。

いちばん大好きな恋愛映画だ。7月にリバイバル上映するというニュースみて小躍りしてる。絶対みにいく。

20年前、公開時に劇場で観た。すぐDVDも買った。擦り切れるほど何回も繰り返した。それでも映画館のスクリーンはまた違うはずだ。

1940年のアメリカ南部。お金持ちの娘アリー(レイチェル・マクアダムス)は17歳。家族で避暑地に訪れた夏休み。地元の青年ノア(ライアン・

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映画感想文「マッドマックス 怒りのデスロード」シャーリーズ・セロンの当たり役。ひたすらカッコ良し

映画感想文「マッドマックス 怒りのデスロード」シャーリーズ・セロンの当たり役。ひたすらカッコ良し

胃が波打ってる。

夕食後に視聴。息つく間もないカーチェイス&銃声の連続でふらふら。あっという間の120分。という作品。

なんと公開は、もう9年前。荒廃した荒野で水や燃料、女たちやバースコントロールまでを支配しようとする権力者。反吐が出る。何人たりとも支配される、を喜ぶ人はいない。

それに対し、反旗を翻し女たちを救うシャーリーズ・セロンが、ひたすらカッコいい。180センチ近い大柄の彼女のアクシ

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映画感想文「天使の涙」一世を風靡した香港映画。リバイバル上映で30年を振り返る

映画感想文「天使の涙」一世を風靡した香港映画。リバイバル上映で30年を振り返る

公開は30年前。

それなのに、いまだ色褪せない。

ウォン・カーウァイ監督の1995年の作品。当時一世を風靡した香港映画。

煌びやかなネオンまたたく香港の夜。孤独に生きる殺し屋(レオン・ライ)、殺しのエージェント(ミシェル・リー)、口のきけなくなった男(金城武)、そこに2人の女が絡み、繰り広げられる男女5人の恋愛物語。

20代でこれを観た時、こじゃれた恋愛映画と思ってた。恋愛ってうまくいかな

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映画感想文「ミラーライアーフィルムズ SEASON5」6作品で90分がなかなか、テンポ良し

映画感想文「ミラーライアーフィルムズ SEASON5」6作品で90分がなかなか、テンポ良し

6作品を90分で観る。

なかなか面白かった。クリエイター発掘・育成を目指す短編映画制作プロジェクト「MIRRORLIAR FIRM」プロジェクトの第五弾。

無名の監督、製作者や俳優が集って作り上げる15分前後の短編ストーリー。それを繋げた90分。

もちろんいくら素晴らしい作品でも、それじゃ人は集まらない。だから有名どころも協力。

今回は竹中直人監督作品あり。他作品での演じ手は横浜流星、山田

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映画感想文「マッドマックス フュリオサ」アニヤ・テイラー=ジョイの持つ少女性を遺憾なく発揮の作品

映画感想文「マッドマックス フュリオサ」アニヤ・テイラー=ジョイの持つ少女性を遺憾なく発揮の作品

ある日、いたいけな美少女が敵に捕まる。

たった10歳で。

こんなに胸を締め付けられ、不安になることはあるだろうか。しかも相手はむくつけき男たち、悪党なバイク集団。リーダーは血も涙もない暴君のディメンタス(クリス・ヘムズワース)だ。

一体、少女はどうなってしまうのか。ざわざわと不安定な気持ちになる。

舞台は何年も先の地球。進化の果てに資源は枯渇。農作物の生きる土地、水や石油をめぐり、争い殺し

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