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東京大学レアアース泥開発推進コンソーシアム 第6年度活動報告会 (2020年12月9日)まとめ私家版 その5

1 開会あいさつ 全体報告 加藤泰浩東京大学工学系研究科教授 その1
2 全体報告その2
3 全体報告その3
4 部会1 調査モニタリング環境 部会2 採泥/揚泥 活動報告
5 招待講演 新藤義孝衆議院議員(元総務大臣・自民党政務調査会会長代理)(本ページ)
6 部会3 選鉱・精錬 部会4 残泥処理 部会5 新素材 活動報告
7 今後の進め方  加藤泰浩教授

全体報告 加藤泰浩東京大学工学系研究科教授 その4 より続く

招待講演 新藤義孝衆議院議員(元総務大臣・自民党政務調査会会長代理 自民党資源確保戦略推進議員連盟幹事長)記念講演「日本の明るい未来 海は資源の宝庫」

皆さんこんにちは。本日はコロナの影響でオンライン開催となりましたが、本コンソーシアム第6回が開催できましたことをとてもうれしく思います。これまで加藤先生を始めとしましてたくさんの研究者の方々、スタッフ、企業の方々のご尽力で続いております。「日本の明るい未来 海は資源の宝庫」これを実際に証明するための大きな作業が今皆さんの手で進められております。世界で初めて、日本にとってもとても重要なプロジェクトです。わたくしは加藤先生とは御縁をいただいておりまして、政府のいろいろな研究会等にも参画をいただいております。そういった御縁からも応援をさせていただいております。
本日は専門家の方々のお集まりですので、私のほうからは政治の観点から、このレアアース泥がいかに可能性に満ちており、日本にとって国益上有効であるか、こういうことをお話しさせていただきます。
では資料を

図新藤0

これはよくご覧になっていると思います。日本は東洋の小さな島国だと学校で聞いてきた人もいるかもしれませんが、6852の島々で囲まれて、人口は世界で15位なんです。国土面積は世界に190カ国を超える中で61位です。決して小さな島国とまではいわなくてもいいんじゃないかと思います。けれども6千以上に分断されてますから効率が悪いかもしれません。そして島国である故に広い経済水域を持つことができます。領海とEEZ、合わせて世界で第六位、深さまでいれたら四位であるとおっしゃる方もいらっしゃいます。ですからこの海をどうやって使っていくか、漁業のような伝統的な使い方に加えて海洋資源を開発することができれば、それは日本の大きなポテンシャルを持った分野になるといえるでしょう。

(図表略)これは見ればわかるように、これはレアアース泥だけではありません。メタンハイドレート、海底熱水鉱床、コバルトリッチクラスト、さまざまな海底鉱物資源が分布しています。今わかっているだけでメタンハイドレートが94年分、120兆円相当が日本の近海にあると。それから海底熱水鉱床だって、80兆円、これはもっと大きくなっているはずですけど、宝の山といわれてます。そしてこのレアアース泥は加藤先生が学説を立てて、探しに行ったわけですね。そして6000メートルを超える海底から高濃度のレアアース泥を発見した。これは今わかっているだけでも陸の800倍のものがあると言われています。これらを採掘して商業化できるならば、これは大きな可能性となるに違いない。こう確信できます。

ただし、(図表略)この広いEEZの北のほう、北方領土はこれは国境線として確定してません。そして日本海を渡り竹島に至る、ここもEEZとして確定してないわけです。そして尖閣諸島、ここも確定してません。それと硫黄島の下のところ、ここもアメリカとの交渉が終わってないところがあるんです。どんなに大きな海があったとしても領土問題が解決しないと海の秩序を維持できないと、尖閣のように実効支配して主権も確立してるけれど、野心を持って入ってくる人たちがいる。このところまた中国の公船がはいってますが。

こういう問題は海洋資源開発と密接に関係してきます。私は領土の問題をずっとながくやってきました。自民党の領土特命委員会の委員長もやっております。これは日本の国家としての基本を整えないと日本の海のポテンシャルを発揮できないと、こういうことが言えると思います。
わたくしの私案です。

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(中略)海洋資源開発はリスクが大きい。ですから最初から民間企業に任せるのはなかなか難しい。ですからこういった資源を確保する観点から法律を作りましょうと。この法案を提案したのが私たちで、これは進んでいるところです。
それから、資源を確保すると、実はこれに関連する産業が出来上がってくる。海の上で作業するには作業員が必要です。それから関連の機械・設備、クレーンからドリル、工具に至るまで様々なものが必要になってきます。いま日本のこうしたものは、ほぼ特注で作っているか、外国製です。これらは日本でも市場が存在するならばすぐにでも作れるものばかりなんです。だけれどもまだ市場とまで行かないので、結局海外からの高いものを入れることになります。海底資源開発というと、メキシコ湾と北海油田、このへんが商業化されているので、このへんに関連する国々が人材も機械も部品も提供していると。

私たちは世界で第六位のEEZを持つ国として、この分野に様々な開発を行うことで、まず資源の少ない日本が資源をキープすると。これに加えて、関連の産業の新たな市場を作ることができるだろう。例えば海底熱水鉱床は沖縄の周辺に有望な鉱床がたくさん見つかっています。すると沖縄にプラントを作るチャンスができる。そこから沖縄の雇用が発生する。そして沖縄から国内および世界に供給する、そういうルートが作れないかと思います。
メタンハイドレートにおいては日本海側に表層型のものがあるということが分かってます。そうすると日本海側の沿岸の県の皆さんがそれぞれ開発をしながらプラントを作ったら、それも地域の産業になるし活性化になると考えています。
ですから加藤先生や研究者の皆さん、企業の皆さんが資源をどうやって実用化し商業化するかという研究に大変な努力をいただいき情熱をそそいでいただいています、これを私どもとしましては国家戦略として、産業となり、地域の活性化につなげていきたいという思いがあるわけです。海は資源の宝庫であって、資源小国から海洋資源大国への道が開かれていく、それは日本の明るい未来につながっていく、こういう夢を持って私はやっています。

それからもう一つ大事なことは、やはり資源問題は安全保障にかかわってきます。経済安全保障ということでは、やはり様々な国際リスクに対して、自前のものを持っていくということはとてつもなく重要なことはいうまでもありません。それから海は日本だけではなくて、世界中に広がっているわけで、それぞれの地域にそれぞれの資源があります。それら海底資源の探査、開発、そして商業化、こういったものに対して、私たち日本が世界に出かけていって、相手の国に貢献しながらより大きな経済を日本に引き込んでくることができます。

たまたまですが今日は私はデンマーク大使館に行ってまいりました。それは北極の協議会というものがありまして、デンマーク、フィンランド、スウェーデン、それからアイスランド、こうした国々の大使と懇談をしてきました。北極にも海底に様々な資源があって、深海でも様々な開発がされる。私達人類共通のフロンティアとして、北極の資源開発というものも出てまいります。そのときに日本がノウハウを提供し、技術や人材を提供し、そうして世界のために貢献することができればと、私はそんな夢を持ちながら加藤先生のプロジェクトにお手伝いをさせていただいております。

(図表略)これは令和元年参議院選挙の公約です。自民党の参議院選挙の公約の中で、経済再生エネルギー部門の中に、レアアース泥等の海洋資源戦略を加速する、こういうことが明記されております。そしてその下に政策集なんですけれど、ジェイファイブと名付けておりますが、そこにもレアアースをはじめとして、コバルトリチウムレアメタル、メタンハイドレート、熱水鉱床、さまざまものを党として進めていくということを公約にしております。そして党として公約を掲げ、選挙を戦い、皆様のご信任をいただいて、いま菅内閣ができております。私たちは内閣を支える与党として、これらの公約を政府に実現を迫り、政府と力を合わせながらこれらの公約を強力に推進していく、こうしたバックグラウンドがあるということをご理解いただきたいと思います。

(図表略)「レアアース泥に関する閣議決定」これは海洋基本計画2018、それから骨太の方針2020、こういったものにも反映されています。これらは、いま、書いてあるのが当たり前の状態になりました。しかし、加藤先生がレアアースの存在を発表されたのが2011年、日本のEEZに存在を発表されたのが2013年ですが、以前の骨太の方針にはレアアースの一文字もありませんでした。いまは、今年の予算の中にも文言が出てくるようになりました。このようにいろいろなところに海洋資源の話が出てくるようになった、しかもレアアース泥と明示されている、これはとても大きなことでして、2015年までは一文字も書いてなかったんです。これは私たちの運動により盛り込まれました。私は安倍第二次政権の時に安倍首相とともに政権を担いましたが、その最初の時の海洋資源開発の予算は60億円ちょっとでした。これをどんどん増やそうということで今年度は約89億円です。これに加えてSIPのプロジェクトがありまして、こちらのほうにも海のものが入っているんです。そのように格段に大きな流れができている。その中でこのレアアース泥をなんとしても実用化させたい。しかしもちろん簡単ではありません。いまだに6000メートルからきちんと泥を採泥して、それを商業ベースに乗せられるコストで処理できるかという大きな問題が出てきます。これを達成するためには研究者の方々に頑張っていただかなければなりませんが、これを我々は徹底的に支援するつもりです。
(図表略)海底熱水鉱床とコバルトリッチクラスト、これもいま目覚ましい展開が出てきています。特にコバルトリッチクラストは海で初めて掘削回収をすることに成功したと、こういうことが出てきました。これら海洋の技術開発がレアアース泥のほうにも反映される、また、レアアースのほうで確立された技術がこれらの資源開発にも反映される。このように期待をしております。

ぜひ皆さんで厳しい状況の中頑張っていただいてますけれども、この海洋資源開発についてはとても大勢の方が関心を持っておられます。私も海洋資源についてもっとやれという声をいつもいただいております。国民の応援団がたくさんいるということを背中に受けて頑張っていただきたい。加藤さんの情熱には敬服いたします。常に前向きのお姿を敬意を持って拝見しております。私どもの夢が実現しますように頑張って支援してまいりたいと思っております。
本日はオンラインでたくさんの方々に見ていただいていると思います。これを機会にさらに応援をお願いします。

東京大学レアアース泥開発推進コンソーシアム 第6年度活動報告会 (2020年12月9日)まとめ私家版 その6 に続く

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