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天むす一武闘会、開催。 私が天むすの魅力を全人類に知らしめる。

私は天むすが大好きだ。
名古屋めしといえば、天むす。誰がなんと言おうと私は天むすを最推ししたい。

みんな大好き、えびの天ぷら。それを、あろうことかおむすびの具材にしてしまったという、贅沢なのか質素なのか一体どっちなんだい? という独特の立ち位置にいる天むす。

えび天の旨みがご飯にぎゅっと閉じ込められており、ひとくち頬張ると幸せが口の中いっぱいに広がる。

一口サイズでいつでもどこでも食べられ、冷めても美味しく、お土産にもとても喜ばれるので、地方に行く際にはバカの一つ覚えのように必ず名古屋駅で天むすを買い込んでいる。

しかし、天むすはそんな最高の名古屋めしなのに、名古屋人の間でさえ意外とその全容は知られていない。

私の友人(名古屋在住)は天むすをエビフライのおむすびだと思っていたし、私の夫も、天むすは酢飯で握られていると思っていた。なんて次元の低い......! 私は「天むす、どこのお店が好き?」という、もっと先の会話をしたかったのに!

いいかげんにしてほしい。名古屋に住んでいるくせに天むすのことを知らないなんて……。こんなに気軽に手に入れられる距離で暮らしている幸運をもっと噛みしめるべきだ。そしてどの天むすが一番おいしいか、ああでもないこうでもないとワーワーキャーキャーしようよ!

天むすを知らない彼らに、もっとその魅力を知ってもらう必要がありそうなので私が責任をもって紹介していくことにした。こうなったらもう、しこたま買って、食べて、一番美味しいのはどれか決めて、1人でワーキャーしたいと思う。

今回、アドビさんのコンテンツ企画「みんなの資料作成」に参加させてもらうことになったので、いい機会だ、もういっそのこと全人類に向けて天むすをプレゼンしていこうじゃないか!

記事の最後に私が作った天むすパンフレットも用意したので、ぜひダウンロードして活用してみてほしい。

天むすのはじまり ーなぁんだ、ただの愛かー

まず、天むすのことを知っていただこう。

さっきから名古屋めし名古屋めしと、さも名古屋発祥のような言い方をしているが、実は天むすの発祥は三重県の津市だ。
流れのついでに告白すると、実は私も名古屋市民ではなく、その近くの三河の民だ。

でかい顔して名古屋めしがどうのこうの言ってると本物の名古屋人からは「近所の三河のやつがうちの食卓についてなんかいってんなぁ? うらやましいんだね……クスクス」と思われそうだ。

ちくしょう、いいじゃない。そこは大目に見て欲しい。

話を天むすに戻そう。

昭和34年。津市にある天ぷらの定食屋さん「千寿」の初代女将、水谷ヨネさんが、昼食を作る暇もないほど忙しかったものの、せめて夫には栄養のあるものを……と車海老の天ぷらを切っておむすびに入れて出したことが始まりだった。

それを食べた夫が「おまえ……こ、これ、うまいやないか!」と言ったかどうかは定かではないが、それが好評でお店の裏メニューとなり、その後、天むすの専門店となったのだった。

天むすの付け合わせとして添えられている「きゃらぶき」(ふきの佃煮)も、ヨネさんの夫が沢庵が苦手で、きゃらぶきが好きだったからという理由で付け合わせになったそうだ。なぁんだ。ただの愛じゃないか。尊い。
それに倣ってほとんどの店でも天むすにはきゃらぶきが添えられている。

その十数年後、千寿の天むすを食べて惚れ込んだ藤森晶子さんという時計屋の女性が、水谷夫妻になんとか頼み込んで作り方を教わり、暖簾分けをしてもらって昭和56年に名古屋で開店したのが、名古屋の千寿だ。

この名古屋千寿の天むすを、当時名古屋によく来ていた噺家の笑福亭鶴瓶さんが気に入り、手土産としてあちこちに持ちこむようになったそうだ。それをきっかけに明石家さんまさんやビートたけしさんなど、様々な業界人の知るところとなり、日本全国にその名が轟いたということらしい。

鶴瓶師匠、天むすを見つけてくれて本当にありがとう……!

名古屋ではこの「千寿」と、もう一つ「地雷也」というお店が、2大天むすと呼ばれている。

地雷也は、名古屋の千寿から少し遅れて開業。名古屋のみで食べられる千寿に対して、地雷也は全国へと店舗を展開し、その魅力を日本全土へと行き渡らせたブランドだ。名古屋以外の皆様が見かける天むすは、そのほとんどが地雷也の天むすのはず。

日本中へ名古屋の宝を広めてくれてありがとう……地雷也!

天むす一武闘会、開催すっぞ!

さて、ここからが本題だ。

千寿や地雷也の他にも名古屋にはまだたくさんの天むすがある。
……で、一体どれが一番美味しいんだい? もう天むすうんちくはいいから、早く食べさせてくれ!

ででーん!
とくと見よ。この神々しい絵を。

名古屋の天むすの名品たちが、天むすー武闘会の会場(我が家のダイニングテーブル)にズラリと集まっている。そうそうたる顔ぶれだ。じっちゃん、オラわくわくすっぞ!

さぁ、これら珠玉の一品たちを全種類一口ずつという貴族みたいな食べ方で比べていこう!

天むす界の重鎮の貫禄! 元祖めいふつ天むす千寿(三重) 5つ入 750円 

まずは発祥のお店、元祖千寿の天むす。
こちらの千寿は外袋が若草色だ。えび天はお米の中に隠れている。

海苔の巻き方が独特で、初代女将、水谷ヨネさんが、当時の皇后美智子様のストールの巻き方をヒントにして考案した「真ん中でななめに折る」巻き方が採用されている。

見よ。このつやめくお米を! さぁ実食だ。

他の候補者には申し訳ないけれど、一口食べて「はい、優勝」とつい言ってしまった。
知ってる。これがめちゃくちゃおいしいことはもう知ってるんだ。

ご飯が本当に美味しい。
口の中でほろほろとほどけるお米は、一粒一粒がふっくらしていて旨みがすごい!

ご飯に隠れ、中で静かに鎮座していた宝物(えび天)は、とても口当たりが軽い。
明るい黄色の薄い衣に、品のあるほんのり甘い天つゆの味がしみている。微かに感じる爽やかな三つ葉の香りが、より白米とえび天の旨さを引き出している気がする。

最高級のコーン油が使われているらしく、天ぷらなのに本当にあっさりしていて、何個でも食べられてしまう。魔法かな……?

「元祖めいふつ天むす千寿」公式サイト

コロンとしててかわいいね! めいふつ天むす千寿(名古屋) 5つ入 810円

続いて、暖簾分けされた名古屋の千寿。こちらは、外袋が橙色。

竹模様の包みやアルミホイルなどの仕様は一緒で、形は元祖千寿より丸く、おむすびの形に近い気がする。コロンとしていてかわいい。

こちらもえび天がご飯に隠れていて奥ゆかしい。君たちはみんな恥ずかしがり屋さんなんだね。かわいいね!

やはり、ご飯がおいしい!

元祖千寿と同じく、2升炊きのガス釜で半分の1升炊きをすることで、お米の一粒一粒がふっくら炊けるそうだ。本当にお米にこだわっています! というのがお米たち本人から、ひしひしと伝わってくる。愛おしい。

ただ、えび天の味が違う。名古屋千寿の方がコショウの味がする。後味がスパイシーで、元祖のものより味付けが華やか。しっかりした食べ応えがある。

ぜひ元祖千寿との食べ比べをしてみて、その違いを楽しんでみてほしい。

オラ、ガツンと強えぞ! 地雷也 5つ入 756円

お馴染みのグレーの外袋に、インパクトある「雷」のロゴが大きく書かれているのが地雷也の天むすだ。忍者っぽい。好き。

千寿が竹模様のプリントがしてある紙で包んでいるのに対し、地雷也はなんと本物の竹を使って包んでいるので、アルミホイルがない。

本物の竹の皮で包まれているってだけで100倍おいしく感じる。おむすびの余分な水分は吸収しつつ、程良く保湿をしてくれて、冷めてもおいしいという最高の包装材だ。

天むす本体の味が、パッケージやロゴにそのまま現れている。

えび天の味がガツンと濃い。油がしっかり感じられて、コクが深い。こしょうもしっかり効いていて名古屋千寿よりもさらにスパイシーだ。戦闘力が高い。本当に忍者なのかも。(?)

千寿の天ぷらの衣がフリッターのように口当たりが軽く、淡い色だったのに対して、こちらは唐揚げのように茶色く、しっとりしていて存在感がある。

衣に青のりが入っていて、えび天の磯の香りが増している。
こちらは”おむすび”というより、えび天が主役! えび天を楽しんでね! という天むすだと感じた。

「地雷也」公式サイト

えびに溺れたい日に! 名古屋だるま「海老めし 天むす」 5つ入 750円

続いて名古屋だるまの「海老めし天むす」だ。
なぜこんな風に斜めから写真を撮ったのかわからない。見にくいことこの上なく、本当に申し訳ない。

名古屋だるまは、天むすの他にも、名古屋コーチンやひつまぶしなど名古屋めし中心のお惣菜やお弁当を作っている会社だ。

なんとこちらはご飯が白米ではなく、味ご飯だ。
愛知県が発祥の地といわれる海老せんべいの風味豊かな味ご飯「えび飯」の中に、さらにえび天が入っているという、えびづくし。そこに抹茶塩がかかっている。サービス精神旺盛!

えび飯からは、しっかり小エビの味がする。そして抹茶塩がえびの磯の香りをより引き立てている気がする。これはこれで、美味しい。
しかし「天むす対決」として考えると、やっぱりシンプルな白いお米がいいかなぁ〜、私は。

ただ、「えび天inえび飯」の天むすなんて、天むすフリークとしては食べないわけにはいかないだろう。

「名古屋だるま」公式サイト

き、気にしてなんてないんだから! 美濃味匠「黄金 夢天むす」 6つ入り 1260円

最後が、美濃味匠の「黄金 夢天むす」だ。

レジでびっくりした。こちらは6個で1260円だ。何か間違えたのかと思った。

ここの天むすにはきゃらぶきが入っていない。なんでや。1260円なのに。パッケージも一番安っぽい。なんでや。1260円なのに。

「値段が高いし、きゃらぶき入ってないし、なんか変な名前だし……。でもまぁ高いからにはおいしいんだろうね? いやいや、興味ないとは言っていないよ」と、都会から来た転校生を表立っては歓迎していないけど本当は興味津々な面倒臭い田舎の学生みたいな気持ちで一口頬張った。

え、えびがうまい! プリップリだ。
なんだか見るからにえび天の主張が激しいなと最初から思っていた。やはり値段が高いだけある。

それから、他の天むすと違ってここの天むすはおむすびが柔らかくふわっと握られている。このふわっと感がこの天むすの最大のポイントだろう。サイズ感も一回り大きく、一個の満足感がすごい。

ご飯は「はつしも」という天皇杯を受賞しているお米で、炊飯に適した大垣市の湧水で炊いているそうだ。さらに、鳴門の海水をつかった国産の焼塩と、三河産の香りゆたかなやわらかい海苔を使用しているとのことだ。つまり、とことん素材にこだわっているからこの価格、ということだろう。

えび天は、地雷也タイプのスパイシー系で、まぶされている青海苔の味が濃い。お米の塩加減もちょうどよく、全体的にバランスの良い天むすだと感じた。海苔の面積も大きく、崩れにくく食べやすい。

「美濃味匠」公式サイト

結果発表! 一番強ぇやつはおめぇだ!

あぁーおいしかった!

そりゃあおむすびの中にえび天が入ってるなんて、どう作ったって美味しいでしょうよ、と言いたいところだが、戦わせた以上は責任をもって優勝を導き出したいと思う。

どるるるrrrrrr……  でん!

はい、元祖千寿が優勝です。
1秒も迷わなかった。本当はもう一口で優勝だった。

あまりのご飯の美味しさに「そうだ、これは”おむすび”なんだ!」と、頬を引っぱたかれて目を覚まさせられた気分。

元祖千寿のえび天の、品のある佇まいが本当に好きだ。あくまでえび天はおむすびの具材。主役はやはり、この一粒一粒がふっくらした絶妙な塩加減のおいしいお米であって、えび天はあっさりしているくらいがちょうどいいのだ。

元祖千寿のえび天から「なぁに、心得ていますよ。私はお米を引き立てるために存在しているのですよ……」と聞こえてくる。

なんなら、えび天を最初の一口で全部いってしまってご飯だけ残ってしまっても全然まだ嬉しい。
あぁ。いつまでもこの美味しいお米を口の中に満たしておきたい。飲み込むのがもったいない、とまで思った。

続いて、2位が名古屋の千寿。そして3位が地雷也、とさせてほしい。

うーむ。やはり「千寿」と「地雷也」なのか……という結果に落ち着いた。

もちろん私の独断と偏見なので異論は認めよう。というか、異論大歓迎。異論のある天むす好きのそこのあなたと朝まで語り合いたい。

みなさんにも名古屋に来た際には、天むすを食べてみていただきたい。

そしてその時には、ぜひこの「斉藤ナミオリジナル天むすパンフレット」をダウンロードしてみてほしい。イラレでめちゃ頑張って作りました。

それぞれの天むすが名古屋駅のどこでゲットできるのかを記した「名古屋駅天むすマップ」も作って巻末に加えたので、印刷して駅をウロウロしていただけると、私も頑張って作ったかいがあるってもんだ。

どの天むすも時間によっては売り切れていることがあるので、もしなかったらごめんなさい。

特にグランドキヨスクの千寿の天むすはすぐに完売することも多いので、私は最初から実店舗のあるエスカ地下街や近鉄パッセに直行することにしている。どちらも名古屋駅に隣接しているのでそう遠くないし、タイミングがいいと作りたてのホカホカがゲットできることもあるのでオススメ。

しかし、これで満足してはいけない。当然のことながら、私がここで紹介したものだけが名古屋の天むすではないし、今回の優勝者である元祖千寿を超える新しい天むすだって、今この瞬間、この世に生まれているかもしれない……!

そんな新たな天むすに出会ったとき、あなたはお店の情報を覚えておきたくなるだろう。写真で匂いまで残したくなるだろう。
「でもPDFで書き出したあとのパンフレットにまた新しいページを追加するの、めちゃくちゃ面倒じゃん……!」
「写真が多すぎたらファイルが重くなってそもそもPDFをひらけないじゃん……!」

と、思ったそこのあなたに朗報!

Adobe Acrobat オンラインツールを使うと、これが簡単にできるのだ。
使った機能はコレ。

PDFにページを挿入

追加したいファイルをドロップするだけで、簡単にPDFにページを挿入できるので、新たな天むすを食べた時にも、ささっとページを増やせて便利。
これからもどんどん新しい天むすを開拓して、思う存分ページを追加しよう!

PDFを圧縮

おいしい天むすの写真を高画質で撮って、たくさん貼って、イラレでどんどん加工していくと、容量がかなり大きくなってしまってPDFが開けないほどに……。でも、この圧縮のページにPDFファイルをホイッとドロップしたら、なんと自動的に圧縮して容量を小さくしてもらえた!

これなら今後どれだけ天むすの写真が増えても大丈夫! 
なんなら、天むす以外の「名古屋めし」パンフレットも作っちゃう?

さーて、私もさっそくこのAdobe Acrobat オンラインツールで作ったパンフレットを印刷して、天むすのえび天をエビフライだと勘違いしていた友人と、酢飯で握られていると思っていた夫に、熟読するよう押し付けてこようっと。

みんなに天むすをもっと好きになってもらえるといいな!

おしまい


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