仁の音

大分在住の、人生の秋を迎えた翁です。今は、非常勤講師として中学生・高校生から刺激と活力…

仁の音

大分在住の、人生の秋を迎えた翁です。今は、非常勤講師として中学生・高校生から刺激と活力をもらっています。種々の雑感と、たまに古典のコラムです。さて、どんな音を奏でることが出来るか?

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六十路の手習い

人生の秋の今頃になって、ささやかなブログを開設。 すべて息子の手引きによるもので、感謝一入です。 終活には少し早いので、せめて脳活・脳シャンのつもり。 「仁の音」とは「仁note」のダジャレです。スミマセン。 どんな人生の音を紡いで行けるか、私にとっても未知数。 お暇な時に、覗いていただける部屋にしたいと思います。 【翁のプロフィール】 1953年(昭和28年)大分県杵築市山香町の生まれ。山香中学、日田高校を卒業。1972年(昭和47年)日本大学文理学部国文学科

    • No.1233 大人と子供の十七音

      大分県には、全国の大人や子どもの心の風景を望める五七五の大会があります。 父親が宇佐市出身というゆかりの作家・横光利一(1898年~1947年)の生誕100年を記念して、1999年(平成11)年から開催している「横光利一俳句大会」は、今年で第26回目を迎えます。 横光利一は、1898年(明治31年)3月17日に、父・梅次郎(大分県宇佐市出身)と母・こぎく(三重県伊賀市出身)の長男として福島県北会津郡東山村で生まれました。土木関係の仕事に就いていた梅次郎は、夫婦で東山温

      • No.1232 どんな筋だか?

        私の記憶が確か(?)なら、今年99歳を迎えられるのではないでしょうか。 一昨日、こんなお手紙とお品が届きました。 「大変ご無沙汰致しました  今年も蕗の季節が訪れました 佃煮作りに挑戦したいと頑張ってみました  出来栄えが如何か自信はありませんが 私の挑戦も今年限りかと思いお送りします  召し上がって下さい  これからの季節の変化には 充分 お気をつけ下さい  乱筆お許しください」 乱筆どころか、覚えのある達者な筆の跡は、とても百歳間近の人のそれとは思われません。送り

        • No.1231 あっぱれなマブダチの1周忌

          「マブダチ」なんて70歳を過ぎた爺さんのお里が知れそうな言葉遣いです。 「まぶ」とは「本当・真実」の意味、「だち」は「ともだち」の略称のことで、テキ屋(香具師)の隠語を不良少年が使って知られるようになったとありました。一般的には、1970年代(昭和50年代)後半に若者の間でツッパリブームの流行があり、特別仲が良い友達を意味する言葉として普及した言葉だそうです。ハイ。私は、不良爺さんです。 しかし、我が愛犬チョコは、まさにそんな「マブダチ犬」でした。そして、去年の今日、

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        六十路の手習い

          No.1230 心誘いの…

          5月に入り、ようやく重い腰を上げたようです。 久しぶりにDコースを散歩すると、20年近く廃墟同然となっている団地に取り壊されそうな防護ネットがかけられています。トップは、主の居なくなって永い団地の1葉です。 東西約90m×南北約105mの広い土地に、40戸5階建てのアパートが3棟並んでいます。因みに、佐藤孔亮著『歌舞伎にみる日本史』(小学館、1999年、P106)に拠ると、江戸は本所松坂町にあった吉良上野介邸は、東西約130m×南北約60mだったとか。かなり大きな屋敷

          No.1230 心誘いの…

          No.1229 四昔の男

          みなさん、人の夢をご覧になることはありますか? 「我妹子(わぎもこ)に 恋ひてすべなみ 白袴(しろたへ)の 袖返ししは 夢(いめ)に見えきや」  (あなたが恋しくてどうにもならず白袴の袖を折り返して寝ましたが、こんなに恋焦がれている私の姿を、あなたは夢に見たでしょうか?) 『万葉集』巻11・2812番・作者未詳の歌ですが、こちらが恋い慕っているから相手の夢に現れるのだ、(あるいは、相手が強く思っているからこちらの夢に現れるのだ)という発想です。 一方、こんな歌もあります

          No.1229 四昔の男

          No.1228 たとえばの君

          ♪ たとえば君がいるだけで  心が強くなれるから  何よりも大切なことを  気づかせてくれたね~ ご存知、米米CLUBの名曲「君がいるだけで」(1992年)の歌詞です。 大学時代に、親しい友人が出来ました。北海道出身のN君、新潟出身のAさん、東京出身のSさん、埼玉出身のM君、神奈川出身のK君、名古屋出身のY君、静岡出身のF君、そして、大分の私です。 大学1年の時の同じクラスだったり、途中から仲間になった他クラスの人だったりしましたが、気の置けない間柄になれたのは、研

          No.1228 たとえばの君

          No.1227 はじける心

          大分県玖珠町で毎年5月5日に開催される「日本童話祭」の一環として「全国児童生徒俳句大会」の表彰も行われています。 私が在職中、5年間生徒作品を応募しました。その「入賞・入選句集」5冊は今も保管してあります。今日は、5年間の久留島賞、文部科学大臣賞、朗人賞(選者:有馬朗人)、紘文賞(選者:倉田紘文)をそれぞれご紹介しましょう。素直な歌いぶりに、口角を上げ、目尻を下げて頂けたら幸いです。 2009年(平成21年)…14,187句 「第26回全国児童生徒俳句大会」 久留島賞

          No.1227 はじける心

          No.1226 短くも濃く生きる

          携帯電話が鳴りました。 固定電話の調子が悪く、団地内の連絡網用に携帯電話の番号を登録しているからです。 「あら、Оさん、どうされました?」 「訃報です。〇〇さんが亡くなりました。連絡網で回してください。」 電話は、私の誕生日の昼過ぎのことでした。Оさんは、お通夜の日時、葬儀の日時、そして斎場の名前と場所を淡々と述べて電話を切りました。 どうしたんだろう?私よりずいぶん若いご主人の筈だが…。 その日の夕方、お通夜に参列しました。現役の勤め人でしたが、お人柄と顔の広さもあって

          No.1226 短くも濃く生きる

          No.1225 これも大リーグ級!

          「惚れてまうやろ!」 そう思った笑劇のシーンでした。 昨日の大谷翔平選手がスタメン出場するドジャーズ対ダイヤモンドバックス戦(敵地球場)は、BSで10:30(日本時間)から放映されるはずでした。しかし、TV画面は「蜂の大量発生」のシーンから始まりました。試合開始の20分ほど前にミツバチの群れが飛来し客席近くのネットに陣取ったのです。 10分待っても20分待っても30分待っても、一向に試合の始まる気配がありません。観客が蜂の被害に遭ったら大変と、業者を呼んで排除するまで

          No.1225 これも大リーグ級!

          No.1224 Oneゲス運動!?

          その奇抜な発想に酔ってしまいました。 先日のサンドイッチマンの「病院ラジオ」(4月29日・月曜日)は、福岡のがん専門病院から生放送されました。どの患者さんのお話も胸にグッときて身動きできませんでしたが、中でも心に突き刺さったのは、大腸がんにかかった47歳の女性のお話でした。 11年前に夫をクモ膜下出血で突然亡くしてしまったこの女性は、 「子供2人を抱え、一生懸命頑張って生きていたら、何があっても神様は助けてくれるだろうから、真面目に生きよう。」 と思って励んでいたそう

          No.1224 Oneゲス運動!?

          No.1223 根アカの志

          もう一度、聴きたかった! 何をか? 財津一郎さんが切々と語る、地主の子ども時代の壮絶な虐め体験談を! 何十年か前のTV番組で拝聴したその彼の実感の籠った体験談は、画面の中で聴いていた人々だけでなく、画面を観ていた私たちもハンカチを濡らさずにはおられませんでした。 数日前に放送されたNHKアーカイブス「あの人に会いたい」は、財津一郎さん特集でした。私の記憶していた話ではありませんでしたが、子ども時代に彼がいじめられていた時に恩師から学んだという思い出話をしました。

          No.1223 根アカの志

          No.1222 希い望む心もて

          久留島武彦(1874年~1960年)は大分県玖珠郡森町出身の児童文学者です。 口演童話に力を入れ、1903年(明治36年)に日本初の童話会を開いたり、1907年(明治40年)には専門児童劇団の東京お伽劇協会を設立したりするなど、児童文化運動を全国に広めた人物です。 久留島武彦記念館は玖珠町森の三島公園内にあり、「日本のアンデルセン」と呼ばれた武彦翁を顕彰する博物館です。2017年(平成29年)に開設されたその記念館の初代館長に就任されたのが、久留島武彦や巖谷小波などを研

          No.1222 希い望む心もて

          No.1221 お宝発見!?

          昨日、一念発起(?)して部屋の掃除をしました。 「掃除なんかせんでん、死にゃあせん。うちはホコリ高き家じゃからな!」 冗談なのだか、本気なのだか、歳をとってからの母は、よくそう言いました。そのDNAを正統に受け継いだ私は、母の言いつけをよく守り、死なない程度にしか掃除をしません。四角い所も丸く掃くことの出来る老人です。 しかし、ここへ来て、「死んだら困るな!」という状況になったので、ねじり鉢巻きをした次第です。なにせ、勉強部屋兼、応接間兼、寝室兼、物置き兼、ウォークインク

          No.1221 お宝発見!?

          No.1220 ツーン!

          小説家・随筆家の内田百閒(ひゃっけん、1889年~1971年)の「木蓮忌」から1週間が経ちます。裕福な造り酒屋の一人息子として生まれ、何の不自由もなく育ったために、頑固我儘・無愛想な性格だったということが、その写真のお顔にも見て取れるような気がします。 一方で、ユーモアのある人物であり教え子たちから親しまれ愛されたことが映画「まあだだよ」(黒澤明監督、大映映画、1993年)でみごとに描かれています。 その百閒は、狂歌が好きだったようです。江戸時代後期の文人・太田蜀山人(1

          No.1220 ツーン!

          No.1219 春山そ 我は!

          「金蘭・銀蘭をご存知ですか?今は、絶滅危惧種に指定されている花だそうです。T子さん家の近くにあるので見に行きませんか?」 親切さんから電話をいただいて、昨日「ひきつりひっぱり5人衆」(90代1人、70代2人、60代2人)が再会しました。「ひきつりひっぱり」とは「縁による繋がり」をいう宇和島方言だそうです。私たちメンバーの呼称として有り難く戴いています。 メンバーの1人のお宅は「樹間の楽園」とでも呼びたくなるような山の中の開けたところにあります。近くの雑木林には、クヌギ

          No.1219 春山そ 我は!