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かんくん、野球やめるってよ / 悩みも、迷いも、答えのない問いも、ぜんぶちゃんと抱えていられるだけの強さをわたしたちは持っている


このnoteを読んでくださっているみなさまにはおなじみ、中2野球少年(ポジション投手・左投げ左打ち)のかんくんが、最近よく

「野球、やめたい」

と口にするようになってきた。
小2から小6までの5年間は、ほとんどそんなこと言ったことがなくて、中学に入ってから年に1、2度、そんなことを言うことがあるな、という感じだった。

それについても、「コーチや監督の怒鳴りや罵声がいやだ」とか「友人たちとの関係がちょっと」といった内容で、野球そのものをやめたいというよりは、野球を取り巻く環境が改善されたらいいのにな、という意味合いでの「やめたい」だったので、見守りつつ様子を見ていた。
わたしからは「やめろ」も「つづけろ」も特にいうことはなかった。

けれども、最近の様子が変わってきたのは、わたしにものすごく言いにくそうに「これを言ったらお母さん、怒るよね」とか「そうなったらお母さん、悲しむよね」と、最初にわたしの心情を慮ってからの、「野球、やめたいんだよね」と言い出すところだった。

あ、これはけっこう本気のやつじゃん。
コーチ陣は2年生になって担当が変わり、穏やかな面々となってきたので罵声や怒号などのパワハラ系が問題ではない。友人関係も、休みや早終わりの後はみんなでボウリングに行ったり、集まって練習したりなど楽しく仲良くしているので、ここも問題ではない。

ほんとうに「おれこれから、野球、どうしよう」と、”野球そのもの”に疑問の目を向け出しているんだな、ということがわかって、にわかに動揺した。

かんくんが「お母さん、怒るよね、悲しむよね」と言っているとおり(怒りはしないけどな!みくびってもらっちゃこまるぜ)、スコアを書く楽しみや、連帯感でつながる母たちとの友情、そしてなによりも、マウンドで投手としてプレイしている彼を眺めていられることの喜びは、わたしにとってなにものにも代え難い経験として、色濃く残っているからだ。

7年間近く、彼とともに夢中になって駆け抜けてきた「野球少年の母」という充実した人生が、ふっとなくなってしまうとしたら、それはわたしにとってのある種の喪失ではあるだろうと思う。

「怒らないよ、好きにしたらいいんだよ」
「でも、悲しいでしょ。他のお母さんたちと飲んだりできなくなるよ」
「いやいやw できるよ。できるし、しなくてもいいし」
「お母さんはおれの野球見るの好きじゃん」
「好きだけど、それはあなたが好きなことをしているっていう大前提のもとでの、”好き”だから」

子どもは、親が子どもを思う以上に、親のことを思っている。特に母親に対しては強くそれが作用する。
ママが悲しそうだったりさみしそうだったり、不幸そうにしていると、自動的に「自分のせいだ。自分が悪いから」と思うのが、子どもなんだと思う。

そんな日々がしばらくつづいていて、わりと毎日のようにため息をつきながら「お母さーん、どうしよう~」と言っている。そのたびにわたしは「どうしようね。迷うよね」とただ聞いている。「毎日、同じ悩みを話してごめんね」とも言うので、「毎日、ずっと同じ悩みを抱えながら生きているあなたのことを、尊敬している」と答えた。
人生、そういうときもあるよ、と。

でも、悩みも、迷いも、答えのない問いも、ぜんぶちゃんと抱えていられるだけの強さも、あなたの中にあるからね、と。

「答えが出なかったらどうしよう」
「ちゃんと、いちばん良いタイミングで、答えがわかるときがくるから」
「それまでは、悩んでいなきゃいけない?」
「うーん。状況も気持ちも毎日少しずつ変わっていくものだから、毎日真剣に悩んでみるのはいいことなんじゃない?」
「スクールカウンセラーさんのところに行ってみてもいい?」
「もちろん。親はさ、当事者の部分ってあるからね。スクールカウンセラーさんみたいな、第三者のひとと話せる機会があるなら、話してみるといいよ」

そんな話をしながら、彼のゆらぎのようなものに触れられたことに静かに感動していた。

そして、わたしはわたしなりに、「野球をつづけてほしい」という本心と折り合いをつけるために、野球をつづけているかんくんと、野球をやめる(かもしれない)かんくん、どちらの彼も同じだけ大切だとあらためて自分で知るために、出さない手紙を書いてみたのだった。


「かんくんへ

小2から今まで、よくがんばったね。
ピッチャーとして、守備の要として、マウンドで輝くあなたが、ママの誇りでした。

あなたが野球に費やした時間は、ざっと計算したら6240時間でした!
これだけの時間をひとつのことに打ち込んできた
あなたの心の強さ、ひたむきさ、自分を信じて進める健全さは
これからずっとずっと、あなたを支えていくでしょう。

野球少年のお母さんとしての、かけがえのない7年間を
わたしに与えてくれたこと、ほんとうにありがとう。
ほんとうにすばらしい時間でした。

でも忘れないでね。
お母さんは、どんなあなたでも、大好きなんだよ。

自分の道を選んで決めたこと、おめでとう。
いつでもわたしたち家族は、かんくんの味方です。」


この手紙を今朝、手書きでノートに書いてみて、なんだかはじめてわたし自身の心のざわざわも浄化されたような気持ちになった。

なにも喪失したりしない。
ただ、わたしたちは、どの瞬間も、家族としてすばらしい景色を共有していただけ。ただ愛があっただけ。そして、これからも愛は変わらず、いつでもいつまでも、あり続けるのだ。



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