益山亮司|商業アニメ演出

■ブレンド・S(2017年)監督/コンテ/演出/原画 ■Hello WeGo!(201…

益山亮司|商業アニメ演出

■ブレンド・S(2017年)監督/コンテ/演出/原画 ■Hello WeGo!(2019年)若手アニメーター等人材育成事業 監督/コンテ/演出 ■GREAT PRETENDER (2020年) 副監督/コンテ/演出 ■NieR:Automata Ver1.1a(2023年)監督

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自己紹介 アニメーターの知識とは?

■初めまして、商業アニメーションでフリーの監督・演出をしている 「益山亮司」と言います。この場を借りて自分なりの商業アニメーターに知ってほしい共有知識を公開していきます。 日本のアニメーション業界が抱える大きな課題■解決の糸口が見えない賃金問題、増え続ける作品が引き起こす人材不足、 教育を自主性に任せた結果の技術不足によって起こる集団作業上必要な共通言語の消失。 ひと昔前のアニメーターが動画マンを経て原画マンになり、 その工程で「見て・聞いて・描いて」知りえた知識、先輩か

    • 時間と余裕が出来るまで休眠します。

      ■新しい記事をお待ちの方には申し訳ありません。 note記事はTwitterなどで掲載した講習用素材を元にさらに分かりやすくより細分化、解説なしでも分かるように記事を起こしてきました。 レイアウト、タイムシート、原画など書きたい記事は沢山あるのですが、仕事が忙しく記事と素材を作る時間が取れないので一旦休眠とさせて頂きます。 2022.6.29 以下講習用素材 またの機会にお会いしましょう! ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー For the glory

      • レイアウト⑪ 紙の分け方と下タップ

        ■紙の分け方を間違うと後の工程が困るので気を付けたい。 ■下タップとはPANなどのカメラワークで発生するタップ位置。 動画が大変なので可能なら避ける。 ・紙分けはなるだけ見やすく最小限にまとめ、次の工程の人が見やすく。 ・下タップの代わりにフレーム指示すればスタンダード位置で動画は可能。 紙の分け方■紙を分けることの説明の為に例で見てみよう。 このレイアウトを描く場合、これをどう分けるか? ■一例 やや隠れてる部分もあるが、許容内。 分けるとしすれば手前の二人「F

        • レイアウト⑩ コンテバランス

          ■コンテバランスは基礎③の説明であった「絵を組み上げるビジュアル的なイメージ」に含まれる。 コンテバランスとは絵コンテマンが示したコンテに含まれる絵の情報バランスを指す。 コンテからの読み取り ■コンテに含まれる情報をレイアウトを起こす際、コンテに描かれたキャラや物、パースの位置や演出意図を読み解き配置するのだが、ここで間違えるとすべてダメになってしまう。 ・特に気を付けるべきはレイウト②で説明した「観察が甘い」こと。 観察が甘いとレイウトが伝言ゲームのようになってしま

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        • 商業アニメーション作画知識レイアウト編
          11本
        • 商業アニメーション作画知識基礎編
          5本

        記事

          レイアウト⑨ 黒枠と安全フレーム

          ■黒枠はレイアウト用紙の画面部分のみを見えるようにする小道具。 ■安全フレームはレイアウト用紙の90F辺りの線のこと。 (存在しないレイアウト用紙もあります) ・黒枠は画面に映る部分を意識的にみる為の小道具。 ・安全フレームは過去の慣例で残っている物で今ではあまり意味がない。 黒枠の有用性 ■黒枠はとても有用で、アナログ・デジタル関係なく、使ったことがない人はぜひ使用してみてほしい。 では黒枠とはどのような物か説明していきたい。 これだけ?と思うかもしれないが、 こ

          レイアウト⑨ 黒枠と安全フレーム

          レイアウト⑧ 背景原図2

          ■前回の背景原図1から続けてアニメーターが背景に伝えるべき必要な情報について学んでいこう。 背景別紙■キャラクターでレイアウトの背景が大きく隠れる場合、背景は別紙が好ましい。例えば学校廊下で奥から手前に来るレイアウト内容で見てみよう。 ・背景、キャラ、アイレベルが分かりやすい。 では次にキャラで背景が隠れていたらどうか? 背景の奥がどうなっているのかまったくわからない。 これでは美術さんが描けない。動きや内容を考えて背景原図を考えよう。 ただし、後ろが空など単純な物なら

          レイアウト⑧ 背景原図2

          レイアウト⑦ 背景原図1

          ■背景原図は背景美術が背景(BG/バックグラウンドの略)を描くために必要な素材。原図と省略して言われる。 作品において画面を埋めているのは実はキャラクターではなく背景。 背景原図は作品の世界観や空間を作る為の重要な素材。 レイアウトにはアニメーターが背景美術に的確に伝えるべき情報がある。 背景原図には美術さんが必要な情報を描きこもう。 指示書き改めて基礎②レイアウト用紙への指示書きを見て美術にとって重要なポイントを確認しよう。 ①作品名【省略あり】・話数・カットナン

          レイアウト⑦ 背景原図1

          レイアウト⑥ レイアウト作業の流れ

          ■レイアウト(一原)作業はどうやって着手すればいいのか? こなれた人にはそれぞれやり方があるだろうが、分からない人はこれから説明する手順で作業して自分なりのやり方をつかんで欲しい。 大事なことはアニメーターは絵を描くだけが仕事ではなく、担当するシーンの演出も作業に入っているのを忘れてはいけない。 やみくもに作業するのではなくレイアウト作業には一定の作業順番がある。 1.担当するシーンの内容把握 まずは全体把握。これがとっても重要。 その為に一度ざっくり描き起こし「カッ

          レイアウト⑥ レイアウト作業の流れ

          レイアウト⑤ 目線と表情

          ■「目線」はアニメにおいて視聴者に伝える手段の中で重要な記号。 外れると画面の持つ意味が変わって来る。 ■「表情」コントロールするには状況やキャラクター性が大きく関わる。 キャラの目線はなんとなく描くのではなく、はっきりと目的をもたせる。 表情は少しの差で大きくその意味を変えてしまう。適切な表情を探る。 目線は大切■演出チェックする中で重要な「目線」 目線とはキャラクターがどこを見ているのか?ということだが、 これが外れるとカット内の芝居や意図して描いていることがズ

          レイアウト⑤ 目線と表情

          レイアウト④ 上りの順番と連絡

          ■レイアウト上り(提出)の順番は存在する。 演出からするとこの順番が守られてないといくらカットを上げてもチェック出来ない。 担当カット全て同時に出せないならまずはシーンの核となるマスターショットから提出しよう。 同時に仕事において連絡はとてつも重要。 連絡が付かないと制作は動けないと同時に信頼が損なわれていく。 レイアウトはシーンの流れ考えてマスターショットから提出。 同時に制作からの連絡は対応しよう。 あがりの順番は描く順番でもある言ってる意味が分からないと思うので

          レイアウト④ 上りの順番と連絡

          レイアウト③ アイレベルと対比

          ■商業アニメーターは「アイレベル(目・カメラの高さ)」の知識は必須! ま ず は ア イ レ ベ ル を 理 解 ! 知らない人は「か★な★ら★ず」検索して調べて欲しい!! 分かりやすく説明してくれるサイトが沢山あります! 理解出来れば空間設計がとっても楽!! 逆にアイレベルの理解がないと、空間が描けない・キャラクターが空間に立たない・動きが変・とにかく違和感など問題が湯水のごとく溢れてくる。 同じく対比はとても重要な事柄でこれも作業時の基本概念としてないと画面が破綻に

          レイアウト③ アイレベルと対比

          レイアウト② 観察

          ■レイアウトでキャラクターや背景作成時、大事なのは描く対象物をじっくりと「観察」すること。 「観察」と聞くとなんだか軽い印象を持つかもしれない。だが、アニメーション作りではとても重要な事柄で、ここをさぼるとすべてが破綻する。 レイアウト①で紹介した負のループに入らない為にも少しづつ考え方を学んでほしい。 ■アニメにおいての「観察」は設定や実際に在るものを注意深く見て捉えて分解し、その立体や構造、特徴を絵に生かすこと。 仕事のレベルが基準以下の人や新人によく見られるのは「

          レイアウト② 観察

          レイアウト① 負の連鎖のスタート地点

          ■レイアウトとはアニメの制作工程で絵コンテの次にある作業、作画打ち合わせ(作打ち)に従ってアニメーターが自身の担当カットの画面設計をすること。 L/Oとも省略表記され、一原(第一原画)とも言われる。上がったレイアウトは演出、監督、作画監督の元をへて担当者に戻され、原画(第二原画)作業を行うが、レイアウトシステムにより技術レベルは崩壊へと突き進み、業界として止められるすべを私は知らない。 今の主流はレイアウトラフ原 ■基礎③で示した 「絵を組み上げるビジュアル的なイメージ」

          レイアウト① 負の連鎖のスタート地点

          基礎④ キャラクターの頭身

          ■一般的な商業アニメにおいて、アニメーターがキャラクターを描く時、最も重要なのは顔が似てるなどではなく「頭身」である。 守らないと何が起こる? ■作品のバランスが崩れ、キャラクターを壊すことになり、作業としてはリテイクの可能性と繰り返せば演出や制作からブラックリスト入りも考えられる。 ☆もちろん自由度が高く頭身がバラバラでも許される作品もある。 だがそういった作品は少なく、ほとんどの作品において頭身を守ることは必須の事柄であると考えて下さい。 頭身が崩れた上りがりに対し

          基礎④ キャラクターの頭身

          基礎③ 完成画面のイメージ

          ■基礎①でコンテより完成画面をイメージして必要な事柄を把握すると書いたが、では完成画面のイメージとは何か? 完成画面のイメージは以下の二つの意味が含まれている。 ① 絵を組み上げるビジュアル的なイメージ ② 画面を構成する素材の組み方イメージ この「基礎③」では「②」を説明していく。①は別のタイミングで。 素材の組み方イメージに必要な三つの事柄 ■必要なのは画面を構成する素材を「誰がどの作業をするのか」を明確に振り分けできるかで、その時必要な事柄は「撮影」「セル」「美術」

          基礎③ 完成画面のイメージ

          基礎② レイアウト用紙への指示書き

          ■レイアウト用紙とはアニメーション制作工程の一つであるレイアウト(L/Oと省略表記もあり)に使用するフレームが印刷された用紙のこと。 絵を描く以外に必ず書かなくてはいけない指示やお約束がある。 ①作品名【省略あり】・話数・カットナンバー ②場所・時間帯・天候 ③光源 【リアル系な作品はより必要】 ④尺  【レイアウト時に決定したカット尺】 ※この尺の書き込みは美術がカットのクオリティを精査するのに必要 ⑤ピンクの範囲への指示書きはしてはいけない。 コピーで消えたり、タップ

          基礎② レイアウト用紙への指示書き