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【エッセイ】カメムシたちよ(700)

田舎暮らしの方たちには馴染み深いと思うがカメムシという昆虫がいる。背中が亀の甲羅に似ているのでそう呼ばれている。触ると独特の悪臭を放ち外敵から身を守る虫である。

亡くなった祖母は「ヘクサ(ン)ボン」と呼んでいた。「ボン」とは「坊や」のことである。地方によっては「ヘクサ」とも呼ばれる。

触ると臭いがそれ以外は害がほとんどない。坊やと呼ばれるくらいなので愛嬌がある。

眺めていると動きもゆっくりでたまに飛ぶが飛行はあの忌々しいハエのように得意なわけではなく、その硬い体をコツコツと蛍光灯カバーなどにぶつけながらその辺を旋回するのが関の山である。

主に茶色のと緑色のとがいる。その他にもたくさん種類がいるらしい。ヘッダーみたいにハート模様があるのはかわいらしい。ちなみに我が家の周りはほとんど茶色だ。茶色の種類は多いらしい。

そのカメムシには面白い性質がある。

田舎ではカメムシを使い終わった500mlペットボトルに閉じ込めるっていう捕獲法がある。そうすると奴らは酸素不足のストレスか閉じ込められたストレスかまではわからないがガスを産生する。そして自らのガスで失神し、そのまま絶命するのである。自ら発した毒で死ぬとはなんとも滑稽である。

カメムシたちのこの性質は何かに似ている。

SNSなどの閉じられた狭い狭い世界で毒を吐き、自ら吐いた毒や誰かが吐いた毒にやられて精神が蝕まれていく連中と同じだ。

そんなことをしているとやがて本当に精神が病んでしまう。時には死んでしまう。

ヒトの生きている空間はもっと広いはずだ。そんな狭い世界にこだわる必要は全くない。カメムシではないのだから自分でペットボトルのフタを開けてもっと大きな世界へと羽ばたいて行くべきである。

#創作大賞2024 #エッセイ部門

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我がエッセイに度々登場するサラリーマン投資家みかんさんが、私とのnoteコメントのやり取りを記事で取り上げてくれました!この記事も良いのでぜひお読みください✨


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