# ワクチンハラスメント~特に医療系の学生さんへ~

 医科系や看護系の学生さんで、ワクチン接種の判断を悩まれている方は多いと思います。

 大学側に「接種をしなければ実習に行けない」などと言われ、やむなく接種したという方も少なくないでしょう。

 このようなワクチン接種を実習の必須要件とする大学の運用に、学生さんは絶対に従わなければならないのでしょうか。

 新型コロナワクチンの接種は予防接種法上も努力義務とされており、接種は強制ではありません。
接種の判断は国民自らの判断に委ねられるものであり、ワクチンを接種していない者に対する差別やいじめ、職場や学校等における不利益取扱等は決して許されません(同趣旨の衆議院・参議院の附帯決議も存在しますし、内閣官房の基本的対処方針にもその旨記載されています。)。

https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_rchome.nsf/html/rchome/Futai/kourou95509A0BDB55A3044925862400328414.htm
https://www.sangiin.go.jp/japanese/gianjoho/ketsugi/203/f069_120101_02.pdf

https://corona.go.jp/expert-meeting/pdf/kihon_r_20220317.pdf

内閣官房基本的対処方針↓

 医科系や看護系の学生の場合は、一般の学生とは異なり、ワクチン接種が実習や卒業の条件となったとしても問題ないという意見もあるかもしれません。しかし、そのような見解は、少なくとも国の方針とは異なります。
 まず、令和3年4月20日に行われた参議院厚生労働委員会において、田村憲久国務大臣(当時)は、医科系や看護系の大学の学生であっても、接種の判断は個人に委ねられること、ワクチンを接種しなければ大学を卒業できないといった事態は国の方針とは異なるということを認めた上で、留年をちらつかせてワクチン接種の同調圧力を掛けるような事案が存在することを文科省にも伝え、大学等の各教育機関にも国の方針に依拠した対応をしていただけるようにお願いする、という趣旨の発言をしました。
 この田村国務大臣の発言を受けて、文科省及び厚労省は、
令和3年5月14日、大学等の医療関係職種等の学校養成所等に対して、
①ワクチン接種が実習の受け入れの必須要件にならないよう、受入れ機関との対話を積極的に行うよう努めてください
②ワクチン接種は、あくまで任意のものであるので、学生等に強制することのないよう実習先に説明し理解を求めてください

という内容の事務連絡を出しています。

https://www.mext.go.jp/content/20210518-mxt_kouhou01-000004520_1.pdf

 このような取扱については、大学等の学校養成所等だけでなく、実習施設側の理解と協力が不可欠であることから、厚労省は、令和3年6月10日、
実習施設側に対しても、
①ワクチン接種を実習の受入れの必須要件としないようご協力ください
②ワクチン接種は、あくまで任意のものであるので、学生等に強制することのないようご理解をお願いいたします

という内容の事務連絡を出しています。

https://www.mhlw.go.jp/content/000791159.pdf

 さらに、文科省及び厚労省は、令和4年4月14日、大学等の学校養成所等及び実習施設側に対して、本年4月以降も従前の事務連絡と同様の対応とすることを確認するとともに、学生の教育を受ける機会を最大限確保するように学校養成所等に求める、という内容の事務連絡を出しています。同事務連絡では、「ワクチン接種を実習の受入れの必須要件としないよう再度周知するとともに、関係者の理解と協力を得られるようご協力をお願いします。」と記載されており、やはり医科系や看護系の学生であっても、ワクチン接種が実習や卒業等の必須要件となってはいけないというのが国の見解であるといえます。

https://www.jaot.or.jp/files/news/covid19/mhlw_info/kourou-220414-1.pdf

 令和4年4月14日付事務連絡においては、「実習時期の変更や学内実習に代える等、教育を受ける機会を最大限確保していただく よう、国公私立大学におかれましては適切に対応いただくとともに、各都道府県及び地方厚 生(支)局におかれましては、学校養成所等に周知徹底をお願いいたします。」という記載もあり、実習先の確保が困難である場合においても、学内実習等で代替することで単位取得を認めてもらえる可能性があります(ワクチン接種が始まる前のものではありますが、令和2年6月1日付事務連絡も、そのような可能性を示唆しています。https://www.nurse.or.jp/nursing/practice/covid_19/faculty/pdf/demand_nurseschool0601.pdf)。

 このように、国は再三、医療系の教育機関・実習施設に対して、医療系の学生であってもワクチンは強制ではない、ワクチンを実習受け入れの必須条件としないように、という通達を出しています。 

 もしワクチン接種の同調圧力に悩んだ場合は、これらの事務連絡等の資料をもとに、国の方針を大学側に説明し、ワクチンを接種せずに実習に行けないか交渉してみてください。

 それでもどうしても実習受入れ先が確保できない場合は、事務連絡に記載されている文科省・厚労省の担当部署にも適宜相談の上、大学側に対して、学内実習等の代替手段を用意してもらうことはできないか、再度交渉してみてください。

参考リンク
https://note.com/nakamuraclinic/n/n5eef2179e00e
https://note.com/jinniishii/n/n3f21933db6bc



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