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Web制作業界に就職するあなたへの手引き(その5)Webサイトのコンテンツにはどのようなものがあるか

未経験や他業種からWeb制作業界で働き始める方を対象に、基本的な知識を身に付けていただくための座学連載、たいへん間が空いてしまいましたが、第5回です。

前回は話題を広げて、Webそのものの素晴らしさについてお話ししました。今回は、Webサイトのコンテンツにはどのようなものがあるか、についてお話ししようと思います。

Webサイトに載せるコンテンツについて意識しよう

これまでに「企業が費用をかけてWebサイトを整備するのはなぜか」についてもご紹介してきました。その中でWebサイトの価値とは、情報であるとご紹介しましたが、それでは、その情報にはいったい、どのような形態があるのでしょうか。ここのイメージがついていないと、Webサイトの力を活用することはできないと断言してもいいくらい、重要なポイントです。

というのも、多くの方はWebサイトに何が掲載されているのか、あまりイメージを持たれないままにWeb制作業者に発注してしまうことが多いのです。Webサイトは持ちたい。なぜ持ちたいのか、社内的な動機もはっきりしている。それなのに、「何を載せたいのか」は考えていないまま発注してしまう。「何を載せるべきかは、業者が提案するものだろう」と思っている方も多くいらっしゃいます。

確かに、広告代理店に相談すると、何を載せるべきかから提案してくれることと思います。しかし、個人的な経験ですが、目的なく広告代理店に相談しても、その年の広報予算を消化することが目的化した特設サイトの制作でお茶を濁されて終わるという結果になることも多いのではないでしょうか?

ITバブルで景気の良かったときには、大企業のホームページには特設サイトのバナーがずらっと並んでいたのが当たり前の時代がありました。流石にITバブルも終わり、そのようなサイトも減りましたし、昨今のコロナ禍での経済状況の悪化も伴い、今そのような賑やかしのための特設サイトの制作を発注される企業も少ないと思いますが…。

広告代理店に文句を言ってしまっているような形になっていますが、一方「Web制作のプロであれば適切なコンテンツを提案できるか」というと、それも実は難しい。もちろん、プロとしてさまざまな案件に関わっている経験から「世間の皆さんはこういうものを載せていますよ」「他社はこうしていますよ」という情報は提供できますが、あなたやあなたの所属する企業にどのようなコンテンツがあるのかは、結局は「中の人でないとわからないこと」なのです(広告代理店ほど、アイディアマンでないというのもあります)。

中の人でないとわからない社内のコンテンツを見つけるのに、まずはTwitterやFacebook、noteなどのSNSから始めてみるというのも良い手です。しかし、多くの方にとって「そもそもコンテンツってどういうもの?」というのイメージがついていないのも、そこを業者に丸投げしてしまう大きな一因なのではないでしょうか。

そのような方に私がお打ち合わせの際、必ずお見せする図があります。この図を見れば、一目でどのようなコンテンツがあり、自社で作れるコンテンツのアイディアがふくらむ優れものです。それがこちらです!

コンテンツマトリクス

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https://www.smartinsights.com/content-management/content-marketing-strategy/the-content-marketing-matrix-new-infographic/

こちらは Smart Insights というサイトで公開されている図で、さまざまなコンテンツの種類を、認知度を横軸、情動度を縦軸としてまとめたものです。

左側に行くほど、あなたやあなたの会社について知らない人向けのコンテンツ、右側に行くほどよく知っていて購入一歩手前の方向けのコンテンツです。そして、上の方が感情的なコンテンツで、人の興味や興奮を呼び起こす力のあるもの、下の方が合理的なコンテンツで、冷静に比較検討する際に役立つコンテンツです。

この図の見方として最重要なのは、右の方がいいとか、下の方がいいとか、そのような良し悪しを判断するものではないということです。むしろ、この図の全体をまんべんなくカバーできているかが重要です。

企業のWebサイトで必要なのは小綺麗なトップページとニュースだけではない、ということが一目瞭然になりますので、私はたいへんこの図が好きです。また、自社サイトに現在あるコンテンツに印をつけていくと、バランスの偏りが明らかになります。

冒頭で広告代理店に特設サイトを頼むのがよくないことのように言ってしまいましたが、このマトリクスに印をつけてみて、自社サイトは右下ばかりに偏っていて、左上のコンテンツがなんにもないじゃん!ということになれば、むしろクチコミを誘発するような面白いバイラルコンテンツや動画を依頼すべきということもできるわけです。

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コンテンツマトリクスの優先度

私の個人的な意見としては、限られた予算の中でWebサイトのコンテンツの優先度をつけるとすれば、右下→左下→左上→右上の順番でコンテンツを作っていくことをおすすめします

自社製品の性能の説明や事例、わかりやすいデモ、導入時のチェックリスト、簡易見積もりツール、これらのコンテンツはマーケティングの出口、購入の一歩手前の方向けのコンテンツですので、成果がまず出やすいといえます。意外と情動的なコンテンツばかり揃え、これらの購入を後押しするためのコンテンツがすっぽり抜け落ちているサイトも多いのです。

次に手がけるべきは、まだ自社製品に強い興味を持っていない方向けのコンテンツです。弊社に例えて言えば、「他のCMSと比べてconcrete5にどのような優位性があるのか」を具体的に表したのが右下のコンテンツで、CMSをどれにしようかの比較に入る前の、「そもそもCMSってどういうものがあるの?」「なんでいろんな製品があるわけ?比較する意味がわからない」という疑問を解消するためのコンテンツが左下のコンテンツに当たります。

具体的な形態としては、トレンドレポートやインフォグラフィック、それに単にブログ記事もこれに該当します。対面での営業であれば「つかみのトーク」に該当する部分といえばわかりやすいでしょうか。ここがないと、難しい詳細なスペックや簡易計算ツールなど、面倒で見向きもされないことでしょう。

ここまで出来てから、より感情に訴える動画やクイズなどのエモーショナルなコンテンツ、有名人による紹介など広く一般にアピールするようなコンテンツへと広げていくのが良いでしょう。

また重要なのは繰り返しになりますが、一部に偏らないことです。右下をコンプリートしてから左下に移るのではありません。あくまで万遍なく、を心がけましょう。

今日のまとめ

Webサイトにはどういったコンテンツの種類があるのかについて、Smart Insights 様が公開されているコンテンツマトリクスの表を引用しながらご紹介しました。Webサイトの新規開設やリニューアルをお考えの際に、コンテンツを整理するのにぜひご活用ください。

次回はWebサイト制作の見積もり項目について解説してみたいと思います。

告知

株式会社mgn代表取締役の大串肇さん、通称「めがねさん」とYouTube配信をおこないます。2021年01月27日水曜日、夜21:00からを予定しています。ぜひご覧ください。


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前回の記事を振り返りたい方は、こちらからどうぞ。

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