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人事・経営支援関連

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私の経営・人事支援関連の記事です。
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「人事課題を解決したい」企業の方に対し、私がお尋ねする観点

 私は、地方企業様の人事課題の解決支援の活動をしています。その際、経営者の方、担当の方とも多くのコミュニケーションをさせていただいています。その際、話題として、人事関係(制度等)の話はもちろんですが、基本的な経営の状況の話もさせていただいています。  最近でこそ、「人事は経営の根幹の一つ」という経営者の方も多くなってきました。総論としては理解されているものの、なかなか深く突っ込んで議論をするのは苦労します。とはいえ、最初から「サーベイシート」のような、こと細かい資料を使って

組織と個人の役割ー健康的な働き方のためのオンオフ切り替え

 従来の第1次産業、第2次産業から、現在はサービス業が主体となってきであり、働き方が大きく変化してきています。この変化は、仕事とプライベートの境界を曖昧にし、働く人々にとって「オン」と「オフ」の切り替えをより困難にしています。さらに、情報通信技術の進化が大きな役割を果たしており、スマートフォンやパソコンを通じていつでもどこでも仕事にアクセスできる環境が整っています。これは、仕事とプライベートの境界線をさらにあいまいにし、多くの従業員が仕事のプレッシャーから逃れられない状態に置

経営戦略と人的資本の融合ー新時代の企業成長戦略

 人的資本経営は、企業が直面する複雑な課題に対応し、変化するビジネス環境の中で競争力を維持するための戦略的アプローチです。従業員の能力開発、キャリアパスの提供、組織文化の構築を通じて、企業の戦略目標達成に貢献するこのアプローチは、私のこれまでの人事経験から見ても、組織の成功に不可欠です。 従業員の能力開発  従業員の能力開発は、人的資本経営の核心をなす要素です。これは、従業員が持続的な学習と成長を通じて、自身のスキルセットを拡張し、新しい技術や手法を身につけることを意味し

未来志向の人事戦略-進化する役割と組織成功への道

 人事の世界に足を踏み入れて四半世紀。私の1998年の社会人デビュー当時、人事といえば管理業務やサポート業務が中心でした。例えば、新入社員の入社手続き、給与計算、社会保険の手続き、年末調整など、従業員の生活を支えるための業務がメインでした。いわば、組織の「縁の下の力持ち」的な存在だったと言えるでしょう。  しかし、現在では戦略的パートナーとしての役割が求められ、組織の目標達成やビジネス成果への貢献が不可欠となっています。この25年間で、人事の役割は驚くほど複雑化し、高度化した

組織安定性とリーダーシップー人事の視点からのバランス戦略

 組織の安定性とリーダーシップをバランス良く維持することは、長年の人事経験から見ても非常に重要な要素です。このバランスを達成することについて、私の人事視点からの考察をしてみたいと思います。 1. ビジョンと明確な方向性を示す  組織の安定性を維持するため、リーダーは組織全体を導くビジョンを掲げ、目標達成に向けた明確な方向性を示す必要があります。人事の視点からは、このビジョンを社員のパフォーマンス管理やキャリア開発に結び付け、個々の目標が組織のビジョンと整合するようにします

世代間ギャップにおけるアンコンシャス・バイアスの考察

 アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)については、私も以前考察をしました。  今日は、世代間ギャップにおけるアンコンシャス・バイアスについて考察してみます。これは、私たちの社会に深く根を下ろしている問題であり、その影響は多岐にわたります。これは単に特定の世代に対して無意識に抱いている固定観念や偏見にとどまらず、職場や社会全体におけるコミュニケーションや協力体制、そして個人の成長やキャリアパスにまで影響を及ぼす可能性があります。  具体的に見ていくと、若い世代に対しては

パフォーマンスと報酬ー企業文化における見返りを求める行動のダイナミクス

 見返りを求める人間の本能は、人事が直面する複雑で微妙な課題を理解し、適切に対応するための鍵となります。私がこれまでの人事経験で学んだことの一つに、個々の社員が感じる見返りの期待は非常に多様であり、それに対する人事施策も同様に多様である必要があるということです。  給与やボーナス、昇進などの明確な報酬は、もちろん重要な見返りです。しかし、それだけではなく、職場での人間関係、仕事のやりがい、専門的スキルの成長、ワークライフバランスの実現など、個々の社員が重視する価値は千差万別

DESC法を用いた効果的なアサーティブコミュニケーション

 DESC法は、アサーティブなコミュニケーションを促進するための効果的なフレームワークであり、問題解決や人間関係の改善に役立ちます。この手法は、Describe(描写する)、Express(表現する)、Specify(提案する)、Consequences(結果を伝える)の4つのステップから構成され、それぞれのステップで具体的な行動をとることで、より円滑なコミュニケーションを図り、良好な人間関係を築くことができます。 1. Describe(描写する)  このステップでは、

【書籍】フィードバックの力ー部下のモチベーションを引き出す方法ー『フィードバック入門』(中原淳氏)

 中原淳著『フィードバック入門 耳の痛いことを伝えて部下と職場を立て直す技術』(2017年、PHP研究所)を取り上げます。特に忙しいマネジャーを対象に、部下育成にとっても重要なプロセスでもあるフィードバックの技術を詳細に解説しています。以下に、本書の内容を確認・考察してみます。  フィードバックとは、部下の成長を促すために行うもので、問題行動の改善と成長を目的とした「情報通知」と「立て直し」の2つの要素から成り立ちます。  日本ではこのフィードバックが軽視されてきた背景に

組織の結束力を高める戦略ー社員間のつながりを深めるアプローチ

 社員間のつながりを深めるための取り組みは、組織の生産性とイノベーション、そして社員の満足度とエンゲージメントを向上させるために重要です。私の長年の人事経験から学んだことを踏まえ、以下に詳細な考察を展開します。 組織構造と文化の再考  組織構造と文化が社員間のつながりに大きな影響を与えます。一般には、フラットな組織構造は、コミュニケーションの障壁を減少させ、部門間の協力を促進します。クロスファンクショナルチームを積極的に活用することで、異なる専門知識を持つ社員同士の交流が

退職者フィードバックの力ー持続可能な発展への道

 退職者へのインタビューを実施することは、人事管理の実践において非常に価値のあるプロセスです。組織が退職者からのフィードバックを真摯に受け止め、それを成長と改善の機会として活用することは非常に重要です。このプロセスは、組織文化、リーダーシップ、報酬制度、キャリア開発プログラムなど、多岐にわたる領域での洞察を提供し、組織の持続可能な発展に寄与します。 退職者インタビューの重要性組織の「鏡」としての退職者フィードバック  退職者からのフィードバックは、組織が自己の現状を「鏡」

内省を促し、エンゲージメントを向上ー人事における質問の芸術

 質問の技術は、人事の分野において中核的な役割を果たします。私のこれまでの人事経験を通じて、私は質問が単に情報を得る手段以上のものであることを理解してきました。質問は、相手の内省を促し、思考を深め、組織全体のエンゲージメントと成長に貢献します。以下では、質問の力を最大限に発揮するための具体的な方法と、それが人事業務においてどのように機能するかを詳細に説明します。 1. 質問による内省の促進  人事業務では、個々の従業員が自己の能力、価値観、キャリアの方向性を深く理解するこ

経営と人材方針を変えるニューロダイバーシティの力ーKaien鈴木慶太氏より

 Aoba-BBTの番組『組織人事ライブ703』のテーマは「ニューロダイバーシティで考える経営・人材方針(鈴木慶太氏(株式会社Kaien 代表取締役))」でした。  株式会社Kaien代表取締役の鈴木慶太氏をゲストに迎え、高橋俊介氏と、ニューロダイバーシティの観点から経営・人材方針について議論しています。発達障害の強みを活かした就労移行支援・自立訓練(生活訓練)を実施している企業です。人事にとっても極めて重要な、興味深いテーマでもあります。 人的資本経営とニューロダイバー

管理職の新たな地平ー効果的なリーダーシップと組織成功の鍵

 管理職の役割と効果的なリーダーシップは、組織の成功において決定的な要素です。管理職に求められるのは、単に専門知識や技術力の高さだけではなく、人材の育成、チームの統率、そして組織文化の形成といった幅広いスキルセットです。これらの要素を深く掘り下げ、さらに詳細な分析を行い、効果的なリーダーシップのさらなる側面を考察します。 管理職の役割  管理職の役割を詳細に考えていくと、その責任範囲の広さと重要性が浮き彫りになります。人材育成においては、管理職は部下一人一人の能力と可能性