『美人すぎる歴史学者』
歴史学者である私が、先日発見された平安時代の文書に食いつかないわけが無かった。
私は歴史学者として本を出版したりテレビに出たりしたことが無く、周りからは「大学の歴史の先生」としか思われていないだろう。私は歴史学者として有名になりたかった。そして、新たに発見された文書が私にチャンスを与えてくれた。
それは、当時の「美人になれる薬」のレシピだった。材料は自然に生えているものばかり。現在は食用となっていないものもあるが、調べてみたところ、どれも毒は無さそうだ。この薬を作って飲むところを動画で公開すれば、「体を張った女歴史学者」として有名になれるかもしれない。そして、仮に薬に効果があれば、「美人すぎる歴史学者」として話題になるかもしれない。
私は早速材料を集め、煎じて飲んだ。するとどうだろう。みるみるうちに私の体はふくよかになり、丸い眉がおでこの上の方に……。そうだ、これは平安時代のレシピだった。
作:田中エイドリアン
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