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僕の心はサイボーグ

心のサイボーグ化

 僕は早急に、心をサイボーグ化する必要があると思っている。
 
 人間の心をサイボーグ化するという概念は、一見すると未来的であり、不自然に感じられるかもしれないが、近未来ではAI技術の進歩により脳とコンピューターを直接接続することもできるようにもなるかもしれない。
 その為、今の時点では脳科学的な論理的思考と、人間の感情的な洞察力を組み合わせて行動することが、心をサイボーグ化するという感覚かもしれない。
 なぜなら、時代的に大きな転換点を迎えていると考えているからだ。今までの思考パターンを変えて冷静な感情のケアをできないと、人間性が保たれないケースが多いように感じているのだ。
 
 パンデミックの影響で、多くの人の精神が疲弊している。そこに精神的な命を脅かす戦争の報道やなどショックな映像が日々流れ続いる。
 戦争とは、本質的には精神の戦いなのである。そして、敵国に「負けたと」思わせた方が勝ちなのである。戦争では従来から様々な心理戦がおこなわれてきた。最近では核の脅し、フェイク動画、SNSの活用や制限、サイバー攻撃など巧みに運用されている。
 本来は直接には関係ない人々でも、こういった情報を受け取ると一層不安が惹起され最悪思考に流れやすくなる。さらには全ての人が関わるだろう、第3次世界大戦が始まるイメージまでに不安が発展しこの不安でおびえてしまう。さらにうつ状態になると不安は通常の2倍から3倍大きく感じるのだ。
 
 さらに人間の心は、どれくらいの期間で限界を感じるか知っているだろうか?
 もし、僕たちが住んでいる場所に、砲弾が雨あられと落ちてくる戦場になれば、人の心の限界は1ヶ月くらいと言われている。つまり1ヶ月たらずで、人としての正常な判断や思考ができなくなってしまうのだ。
 
 次に戦争や大地震などで、今までとは全く違う環境で生活を始めなければいけないとなった場合はどうだろう。言葉も文化も違う異なる環境の中で生活を続ける場合は、人の心は3ヶ月くらいで限界がくると言われている。
 
 そんなこと、自分に関係ないと思っている人がいるかもしれない。しかし住み慣れた日本でいつもの居場所にいて、残業などの無理が続く場合は1年が限界の目安と言われているのだ。
 
 さらには、最近の震災や事件など心を痛めるような報道は、単に不安イメージだけを膨らませ、自分の心が消耗するだけの結果に陥りやすくなってします。実は不安とは、身の回りの危険から生命を守ろうとする感情だ。例えば、近くに泥棒やストーカーがいる時、それに見合う防衛体制を為の動機となって不安を感じるのだ。
 しかしパンデミックや戦争などは、どんなに不安になっても自分自身を守る態勢は作れない。戦争報道などに触れすぎると、単に不安イメージに膨らませ、不安暴走で自分自身が消耗するだけの結果になりやすい。
 
 では、心をサーボーグ化する初めの行動とは何か?
 これは、動物本来に戻る、「逃寝」というスイッチを押すことだ。具体的には、とにかく「そこから逃げて寝る」ことが大切なのだ。メンタルヘルス的に理想の睡眠時間は8時間を目安に睡眠を確保し、うつ状態の時は9時間を目安にしてみるといいと言われている。

 僕は何か困ったらとにかく、「逃寝」スイッチボタンを押して心をサイボーク化し、僕という人間性を保っている。
 それでは、おやすみなさい・・・。


 

救急なのか教育なのか

 実はメンタルヘルスには救急メンタルヘルスと、教育メンタルヘルスがある。メンタルヘルスの基本は同じ長期的な成長を目指している。
 しかし教育と救急では短期的には方向性が違うのだ。教育には我慢や努力や継続が必要である。そして、救急のためには一時的に休養や避難が必要なのだ。つまり「逃寝」である。
 
 多くの場合、カウンセリングに訪れるクライアントには救急が必要なのだ。ところが教育の態度が染み付いているカウンセラーは、どうしても教育的なアプローチをしてしまうようだ。怪我をしてる人にトレーニングさせるという、身体の不調に関しては絶対やらないようなことを、メンタルの不調に対してはしてしまうのだ。

 これに対してクライアントが明確に嫌な態度を取ればいいのだが、現実的はそうでない場合も多いようだ。「辛い時こそカウンセラーの言うことをよく聞いて、我慢して努力して乗り越えるべき」という教育的な態度は、クライアントにとっても慣れ親しんだものであり、また成長のためには理論的に正しい態度だと感じてしまうのだ。つまりこの問題は、クライアント自身の問題でもあるのだ。

 「逃寝」という休みが必要な時なのに、どうしても鍛えようとしてしまう。また、そのサイクルをなんとか緩めないと回復は進まない。しかし、真面目なクライアントほどそれが難しいようだ。救急が必要な時、「離れなさい。休みなさい」と言うことは容易いことだが、それができないクライアントがいる。それをどっしりと構えて支援するのが心をサイボーグ化する役割だ。
 
 また、現代人のうつのほとんど原因は、「蓄積疲労」である。
 そのことを理解して逃寝を取ったとしても、うつのリハビリをしているうちに、今の自分の不調の原因が「蓄積疲労」であるということを、すぐ忘れてしまう。
 例えば、いつもよりちょっと不安になったり、眠れなくなったり、頭痛や吐き気が強くなったりすると、どうしても3日前のあの人との言い争いのせい、あの配慮のない同僚のせいと考える。あるいは同時に自分の根本の性格や能力のせいと考える場合も多い。我慢がたりないせい、生い立ちのせい、考え方が甘いせい、努力が足りないせい、弱いことから逃げているからなど考えてしまうのだ。
 
 しかも、それらのことを必死に考えたうえで、結論づけてしまう。確かにそのテーマについて悩んだかもしれないが、実は「考え方の方向性」から間違えているのだ。既にうつ状態になっているので自分に自信がなく、自分と過去に悪いところを見つけようとするバイアスで、検索、推論しているに過ぎない。さらに、いわゆる頭のいい人ほど、自分の結論には確信を持ってしまう。
 
 蓄積疲労も疲労がどう蓄積されたかどうかはあまり問題ではなく、どう回復するかに意識を向けるのが理性的な判断だ。そして疲れているのだから、何かプラスの活動をするのではなく、何もしないという行動を取るのが本当の問題解決になるということを、きちんと理性的な頭で整理しておくことが必要である。

 しかし理解していても、うつ状態の症状として、どうしても自分を責め、自信がなくなり不安が強くなる。ちょっと気を許すと、今抱えている問題や自分の内側の問題に意識が向き始めるが、これも仕方がないのである。
 それは受け入れつつ、実際に不必要な活動をしてしまわないように、自分も気をつけながら、周囲もブレーキをかけてあげるのが理想である。特に体力が落ち始める35歳からは、心のサイボーグ化が必要になる。
 

優秀な人ほどメンタルヘルスに理解がない理由

 立派な人なのに、メンタルヘルスにはどうも理解のない人が多い。なぜなら、人は、「自分を基準に他者の内面を考察する」癖があるからだ。そして、この癖は案外自覚されていないようだ。
 社会で成功している人がメンタルヘルスに関しては、「目標があればうつにならない」とか「逃げるからうつになるのだ」と、偏った価値観を持っていることがあるのも、この癖を自覚できていないことが多いのかもしれない。
 成功している人は、自分の内面に自信を持っている。自分のデータや分析や勘が正しいことが多かったからだ。ただそんな人でも人の心に関しては、自分と自分の周りの人という非常に限られたデータしか持っていない。ところが自信があるからこそ、限られたデータで結論を出してしまうという重大なミスに気が付かない。
 

自分の為に感謝をしよう

 感謝とは、自分の為にするものだ。
 感謝することで、僕たちの脳では「感謝できる」という状況は、「当面の間、自分に大きな危害がない」という認識になる。そうなると感情は、不安や恐怖などを不必要に発動しない。
 そのことから僕は、日頃は見逃しているような小さなことにでも感謝の意識を向けるのは、他者のためでなく、僕のためにとても良いことだと感じている。
 
 何気ないことでも感謝の気持ちを持てば、僕自身のリラックス度が3倍になる。不安などによる余分なエネルギー消費が少なくなり、心地よく過ごせるようになるのだ。
 そうなると自然に表情が緩み、笑顔が浮かぶようになる。それを見て周囲の人も僕に好意的に近づいてくるのだ。さらに外界への警戒も緩み、世の中に嫌なことが少なくなってくる。そうすることで、僕には居場所があるという感覚に補強されるのだ。

 そんな僕が世界に感謝の表現をし、感謝で動くと僕自身のリラックス度が27倍になるのだ。僕が感謝の気持ちを言動で表せば相手に伝わり、相手も優しい気持ちになる。
 そうすれば僕に好意を感じた相手から、親切や配慮などのお返しを受ける可能性も高くなる。そういう人や機会が増えると、僕の周りの環境が一層穏やかなものに感じられるようになる。なぜなら1人に愛されるより、多くの人に愛された方がパワーは高いことは間違いないからだ。

 世の中に少しでも感謝できることがあれば、それを「意識」する癖をつけると良いのだ。そしてさらにそれが他者からのものであれば、それを言葉や行動に移していくことで、僕は初めて心のサイボーグ化を終わらせ、血のかよう温かい僕の心に戻せるのだ。


 

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