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映画感想文【MONDAYS このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない】

2022年製作
監督:竹林亮
出演:円井わん、マキタスポーツ

<あらすじ>
小さな広告代理店に勤める吉川朱海は、憧れの人がいる大手広告代理店への転職を目指しながらも、仕事に追われる多忙な日々を過ごしていた。ある月曜日の朝。彼女は後輩2人組から、自分たちが同じ1週間を何度も繰り返していることを知らされる。他の社員たちも次々とタイムループに気づいていくが、脱出の鍵を握る永久部長だけが、いつまで経っても気づいてくれない。どうにか部長に気づかせてタイムループから抜け出すべく悪戦苦闘する社員たちだったが……。

映画.com

観たいと思いながら見逃していたもの。
とても良く出来たタイムリープコメディ、非常に面白かった。
リープする期間はきっちり一週間。最初は全く信じていなかった主人公・吉川(円井わん)だが、動かしがたい事実を突きつけられ信じざるを得なくなる。平の下っ端後輩から先輩の吉川、それから徐々に上役へと真実を知る味方を増やし、ついに最終ターゲット・永久部長(マキタスポーツ)までたどり着く。
それはまさに会社の組織図内で上申書が持ち上がっていく様子そのもの。タイムリープコメディがお仕事映画に仕上がっているのが上手い。
どんなストーリーであっても、困難に立ち向かっていく流れは一緒。一足飛びに問題が解決しては面白くない、ということだろう。

タイムリープとお仕事ドラマとかけ合わせたこの作品の面白いところは、タイムリープを利用して吉川がどんどん難案件に対する要領が良くなるところ。
広告代理店の仕事内容には詳しくないが、厄介なクライアントに無茶な納期やリテイクの連発など、他の業種でもそう異なるものでもない。しかしどんな難案件も繰り返しやっていればクオリティもあがるのは当然。
タイムリープの解決への道筋が進むとともに、吉川の仕事も順調に進んでいく。特に彼女にとってはキャリアアップへの重要な案件らしく、不幸中の幸いといったところか。
永久部長への説得プレゼンのシーンは最高に面白い。社内会議にも関わらず最重要案件のごとく全員戦闘服(=スーツ)を決め込み、プロジェクトXでも彷彿とさせるかのようである。

そして無事、タイムリープの原因と思われるブツの破壊まで漕ぎ着ける。
これにて一件落着、と思いきや目覚めるとまた同じ月曜日で全員が絶望する。
そうそう、そう簡単に終わっちゃつまらない。

それからラストまで、盛り上がった疾走感は失われることなく、今度はお仕事ドラマとしての面が強くなる。
働くって、どういうこと?
私が大事にしてたのって、なに?
働き方改革とは言え、まだまだ作中のようなブラック企業は多いだろう。というか、吉川のように仕事に盲目になってしまう日本人は多いというべきか。
笑いの中に込められた、一度立ち止まって見直してみるべきだ、というメッセージが良く伝わる。

最初は単なるウザい中間管理職という役どころだった永久部長がどんどんカッコよくなるのも良かった。
何故永久部長がタイムリープを起こし得たのかという説明は少し足りないが、彼の描いた未完の漫画がタイムリープを題材にしていたからということで、もう十分だろうか。
チラチラ垣間見させられる漫画自体、おおいに興味をそそられる。この映画を観た後ならきっと楽しめるだろう。
どこかで読めないものかな……。


昨年観に行った『リバー、流れないでよ』と非常に良く似た印象を受けた。
上映時間もともに90分未満ということで、どちらもコンパクトにまとまっていて軽〜いスナック気分で観られるのも良い。
GWのお楽しみとしてはとてもオススメ◎。


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