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鎮丸~天狗舞ふ~ ⑮
鎮丸は30余り、大小の天狗に囲まれていた。
摩利支天の法を使おうとも、全てを倒すことなどできない。まずは目の前の駒をなんとかせねば…。
その瞬間、鎮丸の頭の中に葉猫の声が聞こえた。「天空坊よ。」
鎮丸は、はっとし、次の瞬間、深く頷いた。
そして駒に刀印を向け、静かに言った。
「天空坊よ。我を取り戻せ。」
一瞬だが、鎮丸の姿は陰陽師の装束に身を包んでいた。もはや初老の男ではなかった。
駒は
鎮丸~天狗舞ふ~ ⑧
翌日、鎮丸は東北新幹線の車内にいた。
今回は一人旅だ。ヒーリングの出張ではない。生まれ故郷へと戻り、かつて参拝していた神社に詣でるためだ。
仙台から小一時間、在来線でとある港町に来た。マグロの良いものが上がる町である。寿司も安くて美味い。
鎮丸がこの地を訪れるのは、20数年振りだ。
故郷にもはや昔日の面影はない。
しかし、目指す神社は東北一の宮、社格、規模ともに指折りの神社だ。昔のままの姿