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記事一覧
AIは猫にとって理想の家族となり得るか?第8話
《悪夢の襲来》
どうしよう。
小さな体と心が押しつぶされるような不安の中で、真希は何時も部屋の片隅で小さく自分を折りたたんで固まっていた。
どうしよう。また、百点を取れなかった。お母さんに怒られる。
『どうしてあの人と私の子なのに、こんなに出来が悪いのかしら』
母は怒鳴ったり叩いたりしない。怒ると、静かにため息をついて、そのまま。背中を向け、真希など空気か何かのように見なくなる。ひょ
AIは猫にとって理想の家族となり得るか?第7話
《素敵なプレゼント》
毎日の日課内に、午前中の家事を終えたらチナツとの特訓が加わった。猫として少々鈍い所のあるチナツに合わせて、ゴローは丹念にトレーニングコースを組んでいる。
「チナツさん。トレーニングを開始シマス」
「うる!」
すでに臨戦態勢のチナツは姿勢を低くして長い尻尾を振りながらタイミングを計っている。
「トレーニングモード起動。初級、瀕死のげっ歯類」
ふわふわの猫じゃらし
AIは猫にとって理想の家族となり得るか?第6話
《天才達の日常》
地球救済計画保護法(Earth Salvation Plan Protection Act)。それは、進退窮まった世界各国のトップが「このまま行くと全人類が滅びる」との計算を受けてようやく重い腰をあげ、国と言う柵を超えて手を取りあった証。
一先ず、公式発表では、そう言う事になっている。
保護法が守っているものとは、現在の定義では「人類を存亡の危機から救う力のあるもの」
AIは猫にとって理想の家族となり得るか?第4話
《モノタリナイ?》
診察時間の十分前、病院前に到着したゴローは、早速入り口から安全確認のスキャンを行った。
「入り口に異物発見。スキャンスタート、完了。カエルの置物、無害」
「るおーん!るおぉおおん!るぁああああん!」
「チナツさん、ここは安全デス。何があっても、ワタシがお守り致しマス」
ここからの手順についても、完璧に予習してきた。ゴローは入り口を開いて、内部のスキャンを行い、受付の窓
AIは猫にとって理想の家族となり得るか?第1話
《初めマシテ、ゴローデス》
毎朝、午前七時に起床。時間外業務すら厭わない主人は直ぐにメールチェックを行い、緊急の案件が無いか確認する。
朝食は軽く焼いたトーストにコーヒー。主人の健康の為にも少しでも野菜を食べて頂きたいが、その進言は「そんな時間無いわよ」の一言で却下される。
しかし、主人の健康管理もワタシ……家事専門AI搭載ロボット、通称ゴローの役目。入念なシミュレーションを重ねた結果