ひよこ初心者

フィクションを書く黄色い鳥です。最近は、スキしていただくと、北陸のオススメの品が出てく…

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フィクションを書く黄色い鳥です。最近は、スキしていただくと、北陸のオススメの品が出てくる仕様に。 ひっそりkindle出版してます。 https://note.com/beginnerchick/n/n55220b9286c3?magazine_key=m2753db3f963d

マガジン

  • 連載小説

    約20000字以上のお話です。読みにくいのでいくつかの記事に分けてお届けします。

  • 雑文かエッセイか随筆か

    ノンフィクションを含む雑記帳です。

  • ショートショート

    400~1000字程度のショートショートです。もはや筋トレ。 もっぱら#毎週ショートショートnoteという、たらはかに様の(四角い背中と)企画にのっかっています。

  • 影響を受けた言葉、名言

    今までに出会った、人生で影響を受けた言葉。共感し忘れないようにメモした言葉です。出典元はわかる限り明記します。なんだか最近、普通に読んだ本の紹介になりつつある。

  • 映画鑑賞の記録

    面白かったり面白くなかったりした観た映画をまとめています。

記事一覧

固定された記事

【短編小説】壺中の天#創作大賞2024#オールカテゴリ部門

(読了目安8分/約8,100字+α)  ようこそお越しくださった。どうぞお時間の許す限りごゆるりとご覧ください。  ……おやおや。それが気になりますか。いいえ、それはた…

ひよこ初心者
1か月前
48

【連載小説】第7話 普通の高校生は人形劇の夢を見る #創作大賞2024#ファンタジー小説部門

第7話  (約5400字)  気がついたときにはあたしは職員室の長いすに座っていた。おそるおそる隣を見たが、例のプーさんは消えている。あたしはほっと一息吐くと同時に…

ひよこ初心者
11時間前
11

【連載小説】第6話 普通の高校生は人形劇の夢を見る #創作大賞2024#ファンタジー小説部門

第6話  (約3400字) 「……那! 奈那! ちょっと起きなさいよ!」  目を開けると、怖いものでも見ているような、そんな母さんの顔が見えた。あたしと目が合うと、…

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【連載小説】第5話 普通の高校生は人形劇の夢を見る #創作大賞2024#ファンタジー小説部門

第5話  (約5800字) 「前島! いい加減にしろ!」  頭の後ろの方と、鼻がものすごく痛い。顔を上げるとハゲタンのつり上がった目と、手に持った表紙の堅い名簿が見…

23

連載小説をアップ中ですが、想像を遥かに超える数の方々に読んでいただけで正直ビビっています。創作大賞というお祭りの規模を見誤ってました。はじめましての方も毎度の方も、本当にありがとうございます。
今夜はお話が進展する第5話。ちょっと長いけどお付き合いくださいませ。

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【連載小説】第4話 普通の高校生は人形劇の夢を見る #創作大賞2024#ファンタジー小説部門

第4話  (約2500字) 「ほら! いい加減に起きなさい!」  鼓膜が破れんばかりの大音量。耳元で母さんの怒鳴り声がする。あたしは夢の世界から現実をすっ飛ばして三…

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【連載小説】第3話 普通の高校生は人形劇の夢を見る #創作大賞2024#ファンタジー小説部門

第3話  (約3300字) 「ねえってば。奈那、もう起きてよ」  未紀のよく通るはっきりとした声で、あたしは目を覚ました。白いシーツの中でがさごそと身体の向きを変え…

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【連載小説】第2話 普通の高校生は人形劇の夢を見る #創作大賞2024#ファンタジー小説部門

第2話  (約3500字)  空には筋のように白い雲が浮かんでいる。目を閉じて両手をぐっと広げて伸びた。日の光が最高に気持ち良い。  朝ご飯が食べられなかった分、昼…

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【連載小説】第1話 普通の高校生は人形劇の夢を見る #創作大賞2024#ファンタジー小説部門

第1話  (約1700字)  日常っていうのは、つまり毎日が似たようなものってこと。毎朝同じくらいの時間に起きて、つまらない授業を聞いて、友達とはネットや動画やテレ…

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アリバイ工作終了。明日から毎晩20:30に連載小説がアップ予定です。1話3000~5000程度。ホラーコメディですがファンタジー部門です。
拙さがあちこちにありお恥ずかしい限りですが、まあそれもこの子たちのアジとして。次、がんばります。の前に読むぞー!!

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【雑記】雨の庭#シロクマ文芸部

 雨を聴くのは何年ぶりでしょう。最後に聴いたのはCDなので10年くらいぶりかもしれません。私にとって「雨を聴く」と言えば、クロード・ドビュッシーの「雨の庭」です。 …

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noteプレミアムに加入。あと数日で創作大賞用の長編がアップできます。毎日1話のつもり。はやく解放されて他の人のが読みたい。大量買いした漫画が読みたい。この間の文フリのも読んでないのがある。6月は書くより読むメインにしたいです。

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【ショートショート】てるてる坊主のラブレター#毎週ショートショートnote

「去年もらったのがあるよ」  彼女から手渡されたてるてる坊主。僕はカバンにつけた去年のを持ち上げてみせる。 「こういうお守りは一年って決まってるの。今年も心を込…

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【名言と本の紹介と】『表現を仕事にするということ』

 今までにも何度か書いたことがあるが、私は小林賢太郎のファンである。  今、ノート街では秋谷りんこ著『ナースの卯月に視えるもの』、せやま南天著『クリームイエロー…

ひよこ初心者
2週間前
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【感想ではなく記録のための雑文】4月に観た映画他17作品(2024/4/1~2024/4/30)

昨年からはじめた視聴した映画の記録です。 本を読むのは実はあまり得意ではないので、映画を観ようという流れです。 基本的にはアマゾンプライムを観ていますが、先月十角…

ひよこ初心者
2週間前
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【掌編小説】金魚鉢#シロクマ文芸部

(読了目安4分/約3050字+α)  金魚鉢の向こうからのぞくあの子に、私はどう見えたのだろう。ほんの一瞬だけ目を合わせ微笑んだあの子の笑顔を吹き消すように、私は煙草…

ひよこ初心者
2週間前
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固定された記事

【短編小説】壺中の天#創作大賞2024#オールカテゴリ部門

(読了目安8分/約8,100字+α)  ようこそお越しくださった。どうぞお時間の許す限りごゆるりとご覧ください。  ……おやおや。それが気になりますか。いいえ、それはただの筒でございます。宝石の輝く時計も、とある宮殿を飾った燭台も、水の涸れない水差しも、禁書とされた歴史書も、かくも珍しい角のある頭骨も、どれでも手に取りご覧ください。  ……それがよろしゅうございますか。いかにも、それは万華鏡。ああ、お待ちなさいまし。それはわたくしの大切な思い出の品。どうかわたくしの話をお聞

【連載小説】第7話 普通の高校生は人形劇の夢を見る #創作大賞2024#ファンタジー小説部門

第7話  (約5400字)  気がついたときにはあたしは職員室の長いすに座っていた。おそるおそる隣を見たが、例のプーさんは消えている。あたしはほっと一息吐くと同時に頭をかきむしった。  あたしってば何で寝てるんだろ。いっそのこと動かずに、母さんが起こしてくれるまでここでじっとしているほうが安全な気がする。  ただただぼーっと椅子に座っていた。ここには時計なんてものはないらしい。だから何分何時間経ったのかは全然検討もつかない。でも感覚的に、そんなに時間は経っていないと思う

【連載小説】第6話 普通の高校生は人形劇の夢を見る #創作大賞2024#ファンタジー小説部門

第6話  (約3400字) 「……那! 奈那! ちょっと起きなさいよ!」  目を開けると、怖いものでも見ているような、そんな母さんの顔が見えた。あたしと目が合うと、やっと安心したように息をつく。 「いつまで経っても起きてこないから心配になって起こしに来たはいいけど……あんた、死んだように寝てて。本当に心配したんだから」  上半身を起こすと、よほど揺さぶられたのか、頭がくらくらする。押さえて治るものじゃないけど右手で頭を押さえたら、手首に髪の毛が張り付いた。ねっとりとし

【連載小説】第5話 普通の高校生は人形劇の夢を見る #創作大賞2024#ファンタジー小説部門

第5話  (約5800字) 「前島! いい加減にしろ!」  頭の後ろの方と、鼻がものすごく痛い。顔を上げるとハゲタンのつり上がった目と、手に持った表紙の堅い名簿が見える。名簿で思いっきりあたしの頭を叩いて、それで机で鼻を打ったってわけか。さいわい鼻血は出てないけど、また5ミリくらい鼻がつぶれた気がする。 「何度呼ばせる気だ! 大体、どうして授業中にそんな体勢で熟睡出来るんだ!」 「才能ですかね」  あたしは欠伸をかみ殺しながら答える。ハゲタンは血管が切れそうなほど顔

連載小説をアップ中ですが、想像を遥かに超える数の方々に読んでいただけで正直ビビっています。創作大賞というお祭りの規模を見誤ってました。はじめましての方も毎度の方も、本当にありがとうございます。 今夜はお話が進展する第5話。ちょっと長いけどお付き合いくださいませ。

【連載小説】第4話 普通の高校生は人形劇の夢を見る #創作大賞2024#ファンタジー小説部門

第4話  (約2500字) 「ほら! いい加減に起きなさい!」  鼓膜が破れんばかりの大音量。耳元で母さんの怒鳴り声がする。あたしは夢の世界から現実をすっ飛ばして三途の川の手前で何とか踏みとどまった。  目を開けると、腰に手を当ててあたしを見下ろしている母さんが見える。顔には古語でいうところの「あさまし」って文字が書いてある。驚き呆れる、だっけ。あたしってば博学。 「って、何で勝手に人の部屋入って来てんのよ! 最低! エッチ! プライバシーの侵害だわ!」 「あんたが

【連載小説】第3話 普通の高校生は人形劇の夢を見る #創作大賞2024#ファンタジー小説部門

第3話  (約3300字) 「ねえってば。奈那、もう起きてよ」  未紀のよく通るはっきりとした声で、あたしは目を覚ました。白いシーツの中でがさごそと身体の向きを変えると、オレンジ色に染まった外の風景と未紀の呆れた顔が見える。 「あ、おはよ」 「おはやくはないでしょう。夕方だよ夕方」  彼女は大きくため息をついて、窓にもたれかかる。 「終礼するから連れてこいって、後藤先生に頼まれたの。お腹の調子はいかがでしょうか?」 「それはご親切にどうも。腹具合は大変結構でござ

【連載小説】第2話 普通の高校生は人形劇の夢を見る #創作大賞2024#ファンタジー小説部門

第2話  (約3500字)  空には筋のように白い雲が浮かんでいる。目を閉じて両手をぐっと広げて伸びた。日の光が最高に気持ち良い。  朝ご飯が食べられなかった分、昼に取り返したらお腹が満足しすぎて、なんだか眠くなってきた。そもそも昨日は色々あって、なかなか寝付けなかったのだ。ここは欲望に身を任せるのが道理ってもんだろう。 「ねえ、奈那。そろそろ帰らないと、昼休憩終わるよ?」  日向でまどろんでいると、未紀の声で一気に現実世界へと意識が引っ張り上げられる。 「あのさ、

【連載小説】第1話 普通の高校生は人形劇の夢を見る #創作大賞2024#ファンタジー小説部門

第1話  (約1700字)  日常っていうのは、つまり毎日が似たようなものってこと。毎朝同じくらいの時間に起きて、つまらない授業を聞いて、友達とはネットや動画やテレビや恋の噂話で盛り上がって、下校時間になったら友達と買い物に行って、家に帰ってご飯食べて風呂入ってネットや動画やテレビ観ながらチャットやライブでグダグダ語りながら寝落ち。その繰り返し。もちろん、少しくらいの変化ならある。 「ええ確かによくあることだよ、話のネタにもならないね。でも当事者はマジで困るっつーの!」

アリバイ工作終了。明日から毎晩20:30に連載小説がアップ予定です。1話3000~5000程度。ホラーコメディですがファンタジー部門です。 拙さがあちこちにありお恥ずかしい限りですが、まあそれもこの子たちのアジとして。次、がんばります。の前に読むぞー!!

【雑記】雨の庭#シロクマ文芸部

 雨を聴くのは何年ぶりでしょう。最後に聴いたのはCDなので10年くらいぶりかもしれません。私にとって「雨を聴く」と言えば、クロード・ドビュッシーの「雨の庭」です。  ……あ、待って! 待って!  なんだクラシックかよ。俺、BPM180無いとアガんねぇんだわ、という方も是非。この曲は3分半から4分くらいのピアノ曲です。短いよ。聴けるよ、大丈夫。なんならBPMも高めです。  ここでクラシック音楽の歴史とかを語る気は毛頭ありませんが、一言だけ。  ドビュッシーは、ほぼ画家です

noteプレミアムに加入。あと数日で創作大賞用の長編がアップできます。毎日1話のつもり。はやく解放されて他の人のが読みたい。大量買いした漫画が読みたい。この間の文フリのも読んでないのがある。6月は書くより読むメインにしたいです。

【ショートショート】てるてる坊主のラブレター#毎週ショートショートnote

「去年もらったのがあるよ」  彼女から手渡されたてるてる坊主。僕はカバンにつけた去年のを持ち上げてみせる。 「こういうお守りは一年って決まってるの。今年も心を込めてつくったんだから」  彼女はお揃いのてるてる坊主を笑顔の横で振ってみせる。 「今年の大会も晴れるといいね」  僕は真っ白なてるてる坊主を受け取り、そうだねと笑う。  去年の大会の前日、彼女はてるてる坊主を差し出し告白してくれた。それからちょうど一年になる。  帰宅すると新しい方をカバンにつける。古い方

【名言と本の紹介と】『表現を仕事にするということ』

 今までにも何度か書いたことがあるが、私は小林賢太郎のファンである。  今、ノート街では秋谷りんこ著『ナースの卯月に視えるもの』、せやま南天著『クリームイエローの海と春キャペツのある家』の感想文で溢れている。さらには5月29日発売、霜月透子著『祈願成就』と商業デビューが続いている。にもかかわらず、お前はそっちかよ、と言われそうだ。はい。こっちです。  本書は、2021年より書かれ始めたnoteの有料記事を取捨選択&修正&書き下ろし、体裁を整えたものである。例によってファン並

【感想ではなく記録のための雑文】4月に観た映画他17作品(2024/4/1~2024/4/30)

昨年からはじめた視聴した映画の記録です。 本を読むのは実はあまり得意ではないので、映画を観ようという流れです。 基本的にはアマゾンプライムを観ていますが、先月十角館の殺人を観たいがためにHuluを1か月(1050円)だけ登録し、せっかくだからHuluをひたすら観る生活に。でもアマプラが観れなかったからそれはそれでどうなんだと後から思う。 例によってアウトプットする準備は一切なく書いています。観てない人から見れば(観た人もかも)意味不明かもしれません。 どうぞすっ飛ばしてくださ

【掌編小説】金魚鉢#シロクマ文芸部

(読了目安4分/約3050字+α)  金魚鉢の向こうからのぞくあの子に、私はどう見えたのだろう。ほんの一瞬だけ目を合わせ微笑んだあの子の笑顔を吹き消すように、私は煙草の煙を大きく吐いた。  あの子が邪魔だった。自分一人だって生きていくのがやっとだというのに、私が寝たい時も、遊びたい時も、風呂に入っている時も、当然のように泣いた。男には子どもを大切にしろと拒否られて、女には離乳食になるまで酒と煙草を止めろと命令される。チルする時間はあの子の寝てる時だけ。それもチルってるんじ