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ショートショート集

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実話・実話怪談・ちょっと不思議な話、など、創作をまとめました。
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記事一覧

日本は貧しくなった

日本は貧しくなった

「お道具箱をください」

掲示板にあった書き込み。
そんなに高価なものではないので、かえって頭にひっかかった。
そして偶然だが、私の家には未使用のお道具箱があった。男の子は何でも壊すから予備だ。たまたまスペアが残っていた。

未使用だがBサイズ。
今の小学校はプリントはAサイズと聞く。
連絡して、その旨伝えたらそれでいいと。

渡すためにお道具箱を出してながめてつくづくと考えた。
箱だよなぁ。

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人工知能ツールChatGPTalkを使ってラノベを書いてみる②

人工知能ツールChatGPTalkを使ってラノベを書いてみる②

【第2話】

私が明日魔法学園に行くと考えたのは、昨日が学園祭で今日は休みだから。今日は自分の侯爵令嬢としての立ち位置を把握せねば。私は部屋を出た。

館の内部は、高価な家具や装飾品が散りばめられた豪華な装飾が施されている。木製の家具、彫刻、大理石の柱、彫刻の天井、壁の絵画。多数の窓やバルコニーがあり、美しい庭園が見渡せるようになっている。

入口には広いエントランスがあり、座席が用意されている。

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人工知能ツールChatGPTalkを使ってラノベを書いてみる①

人工知能ツールChatGPTalkを使ってラノベを書いてみる①

【第一話】

私は今、転生してしまったような気がする。

私は普通の女子高生だった。ある日自転車に乗っていたときトラックに轢かれてしまった。死んだと思った。だが気づいたら悪役令嬢フリーダだった。自分が悪役令嬢なのはなんとなく記憶にのぼってきた。そして私のおよその状況も。

とはいっても、私は悪役令嬢に転生して本当に混乱している。「異世界転生もの」って異世界の知識があるのが普通じゃない?この世界が乙

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#白熊ぽん:ポケットの手袋(川柳→SS)

#白熊ぽん:ポケットの手袋(川柳→SS)

「焼きいも屋さんは高くて小さいのよ」
そう言って君はドンキの焼きいもを買い、半分を僕に渡した。
あの時は僕らは友人だった。近所が近いだけで親しくなった幼なじみ。高校が同じなのは偶然にすぎない。

けれど、君のお母さんが亡くなって、放課後泣いている君を抱き寄せたときから、僕たちは恋人になった。

大学が同じだったのは偶然じゃない。ふたりで勉強したっけね。

恋人になって最初のクリスマス。君はマフラー

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【つくってみた】教養&高校大学受験古文「方丈記・六・養和の飢饉」意訳「方丈の庵で」動画紹介【初動画】

【つくってみた】教養&高校大学受験古文「方丈記・六・養和の飢饉」意訳「方丈の庵で」動画紹介【初動画】

「方丈記はルポルタージュ文学だ」

大学の講義の「方丈記講読」で聞いたとき、
やっと腑に落ちた気がしました。

日本古典三大随筆といわれる
「枕草子」
「徒然草」
「方丈記」。
ですが、私は「方丈記」が優れた随筆というのには違和感を感じていたのです。

ルポルタージュ文学!

つまり、「報道」なのです。
事実を忠実に叙述するのが本質の文学。
納得した!

講義では、「方丈記」の数字へのこだわりを上

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漱石忌恋する人は月を見る

漱石忌恋する人は月を見る

前世、私は男だった。
現世、私は女である。

別に前世の記憶があるわけではない。
現世のツレが、愛情細やかでしかも深く、まあ、要するに嫉妬深い。
家事全般のスキルが高いし、私との縁がかなり深そうなので、
(この人は前世も私と夫婦だった気がする。焼きもちを焼くのが自分でも苦しくて男に生まれ変わったんだな)と、推測している。

つまり現世、私たちは男女入れ替わり夫婦だが、あれれ?結構大変だぞ?

私は

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笑顔の街には

笑顔の街には

   あの人の名の意味を知らない

あの人の家は
100万番地と少し
仮想の街に
今も残る

あの人の家に行くと
笑顔のアバターが
きれいに化粧して
お気に入りの青い薔薇を持って
迎えてくれる けれど

この世界のリアルに
あの人はもういない

最後の日記が12月
何度季節を繰り返したか
闘病に専念します
忘れません と 書かれた日記

リアルのあなたの苦しみを
架空の街には残さずに
優しかったあ

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蠍座の男

亡き父は昭和一桁生まれの無口な男だった。
母とは見合い結婚。
母は五人姉妹の三女、陽気なおしゃべりで、
女子校育ちのせいなのかなんなのか天然なところがあった。

母の姉妹は母以外はみな祖母に似て
ひき目かぎ鼻うりざね顔、いわゆる「日本美人」でキツネ顔
母だけがどんぐりまなこの丸顔でタヌキ顔
そのため「お前だけが不器量」と言われ続けて育ったらしい。

見合いするときも
「お前は不器量なんだから相手が

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仏の中にあの人を探す

仏の中にあの人を探す

京都、三十三間堂。

「ここの仏像の中に必ず自分と同じ顔がある」と、教えてくれたのはあの人。私はあの人の顔を探す。自分の顔はどうでもいい、見つけたらあの人に近づける気がして。
ゆっくり歩きたいのに修学旅行生の歩く速度。みな仏像も見ずに話しながら歩く。何をしにあなたたちは来たの。
修学旅行先が京都なのに、どうしてあの人と同じ班じゃないんだろう。どうしてこんなに離れて歩いているんだろう。同じクラスなの

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松は守られた~小さな政治~

松は守られた~小さな政治~

まさか自分の経歴に「議員」なんて入るとは思ってもみませんでした。

きっかけは、地域のボランティアサークルです。
30人くらいだったでしょうか、活動していたのは。
活動していると、どうしても「地方自治体」やら「条例」やら
無関係ではいられなくなりました。

ねぇ、変わるんですって
ええ?困ったわねぇー

で、済むことが多かったのですが

ねぇ、私たちが使っている会館、老朽化で取り壊しですって!

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取っーた!

取っーた!

その晩私は幽体離脱を楽しんでいた。そのころは“夢”と呼んでいたが。

 夜空を飛ぶ夢は気持ちがいい、思うまま飛んで自分の体にストンと落ちる夢。
そこから深い眠りに入り、翌朝目覚めるのだ。
 で、いつものように、ストンと落ちようとしたら。

 “私”がかっ!と目を見開いて、言ったのだ。

「取っーた!」

 それから私はまだ飛んでいる。

 空の肉体の器はまだ見つからない。

その家の人は何も知らない

その家の人は何も知らない

由来のわからない祠が、どうしてここに?というところにあることがある。これはそんな話。

どんどん宅地化される新興住宅地にそれはあった。
「お稲荷さん」とよばれていたが、本当にそうなのかどうかは不明。
その土地の持ち主が代替わりして、手放すことになった。
その祠に「魂ぬき」という行事をした。あろうことか「もう魂はぬいたのだから」とその祠をゴミの日に捨ててしまったのである。
そして更地にして、見知らぬ

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病院の入り口で

病院の入り口で

気が付くと私は、病院の入り口に立っていた。
立っていたのは、傘立ての中だ。

なぜ?

よく見ると、他にも、傘立てに立っている人がいる。
傘立てだけじゃない。
観葉植物の鉢の上。金魚の水槽の上。たたんだ車椅子の上にいる人もいる。
中年のおばさんもいれば、若い人もいる。
それらが、病院の中に向かって、じーっと立っている。

と。

たたんだ車椅子の上にいた青年が、くるっと振り向くと、車椅子を降りて病

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夢の話4

 蒸し暑い日だった。それが急の夕立で、すっきりするかと思ったら、しのつく雨に変わってしまい、むっと湿度だけが息苦しい。

私は道を急いでいた。ズボンが湿って足にからみ、砂利道の小石が左の靴に入ったらしい。右の靴は裏の溝に小石がはまったらしく、歩くたび「ギャリッ、ギャリッ、」と、嫌な音をたてる。

 とうとう我慢が出来なくなって、傘を背中に腰を曲げ、首で柄を押さえながら、私は左の靴を脱いだ。小石を出

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