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エッセイというかなんというか

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日常の中で感じた手触りを残しておく。
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記事一覧

南の島に農業をしに行ったら場末のスナックで働かされることになった話

ひとり南の島の空港に降り立った。機体と空港をつなぐ、あの蛇の腹みたいなもので覆われた通路…

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北海道で外国人技能実習生とさくらんぼを収穫しながら“家族”について考えた話

 南の島から帰ってきて数日、余韻に浸りながらも、私は再びあのインターネットサイトで宿と飯…

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道端に落ちたものから広がる世界①〜はじまり〜

歩くのが好きだ。歩いている時は、大抵足元を見ている。一歩一歩順番に出てくる自分の足を眺め…

下町の薄暗いゲームセンターと、祖母がいた団地④

第一話はこちら ばーばの家に行くたびに、渡される小遣いが増えていった。大人になってからも…

下町の薄暗いゲームセンターと、祖母がいた団地③

第一話はこちら 気づいた頃には、私は一文無しになっていた。代わりに、ゲームセンターでしか…

下町の薄暗いゲームセンターと、祖母がいた団地②

第一話はこちら 子ども時代。正月はいつも、東京の下町にある祖母と祖父の家に行く。母の姉の…

下町の薄暗いゲームセンターと、祖母がいた団地①

小学生を四人連れてゲームセンターに行くこととになった。 今のゲームセンターは、明るく開放的だ。前向きで楽しげなゲーム機がたくさん並び、プリクラ機はきらびやかに装飾され、隣に女優ライトが付いた化粧直し台まである。ゲーセンと言えば、薄暗く、たばこの煙が充満し、ちょっと怖い人たちが集まる場所。そんな過去とは決別したようだ。 今やクレーンゲームには、ご丁寧に攻略法やアドバイスまで書いてある。それを見ると、いかに今までの自分のやり方が間違っていたか、分かる。クレーンはただ掴むだけで

演じることと、それそのものになることと

外は雨が降っている。パソコンを通して相手とのやり取りを終え、ミーティングルームを閉じた時…

母と、私と、抗えない血について

年と共に、どうしようもない事実がつまびらかにされていく。逃げようもない。私は、母に似てい…