『清史稿』明瑞伝①

【原文】
明瑞、字筠亭、富察氏、満洲鑲黄旗人、承恩公富文子。自官学生襲爵。乾隆二十一年、師征阿睦爾撒納。明瑞以副都統銜授領隊大臣、有功。擢戸部侍郎、授参賛大臣、於公爵加「毅勇」字。号承恩毅勇公。二十四年、師征霍集占。復有功、賜双眼花翎。加雲騎尉世職。師還、図形紫光閣、擢正白旗漢軍都統。二十七年、出為伊犁将軍、進加騎都尉世職。
【語釈】
・富察氏 満州大八姓の一つ。(baidu)
・官学生 八旗官学生。(baidu)
・阿睦爾撒納 ジュンガルの領侯。アムルサナ。乾隆二十年のジュンガル遠征に味方したが裏切り、二十二年に敗れた。
・副都統 八旗の副官。
・銜授 不明
・領隊大臣 清朝の官名。新疆に派遣され屯田を司った。 
・戸部侍郎 財政を司る官庁の副官。
・霍集占 ウイグル族。清朝に反乱を起こしたが敗れた。
・双眼花翎 清朝で使われた装飾品。
・雲騎尉 世襲される官職。
・図形 不明
・紫光閣 北京にある建物。
・伊犁将軍 新疆の最高軍事長官。
・騎都尉 有功者に与えられる官職。
【書き下し】
明瑞、字は筠亭、富察氏、満洲鑲黄旗人、承恩公富文の子なり。官学生より襲爵す。乾隆二十一年、師阿睦爾撒納を征す。明瑞副都統を以て領隊大臣を銜授し、功有り。戸部侍郎に擢され、参賛大臣を授けられ、公爵に「毅勇」の字を加う。承恩毅勇公と号す。二十四年、師霍集占を征す。復た功有り、双眼花翎を賜る。雲騎尉の世職を加う。師還り、紫光閣を形することを図り、正白旗漢軍都統に擢さる。二十七年、出でて伊犁将軍と為し、進みて騎都尉の世職を加う。
【現代語訳】
明瑞、字は筠亭、富察氏、満洲鑲黄旗人、承恩公富文の子である。官学生の時に爵位を襲名した。乾隆二十一年、軍がアムルサナを征服した。明瑞は副都統の位にあり領隊大臣を授与され、武功があった。戸部侍郎に抜擢され、参賛大臣を授けられ、公爵名に「毅勇」の字を加えた。承恩毅勇公と号した。二十四年、軍が霍集占を征服した。また武功があったので、双眼花翎を賜った。雲騎尉の世襲される官職を加えた。軍が帰還し、紫光閣を建てることを計画し、正白旗漢軍都統に抜擢された。二十七年、出陣し伊犁将軍となり、さらに騎都尉の世襲される官職を加えた。

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