【企業分析】アートスパークHD

●概要

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アートスパークホールディングス㈱は、
傘下に㈱セルシスと㈱カンデラを持つ持ち株会社です。

セルシスは、クリエイターサポート事業を、
カンデラは、UI/UX事業を行っています。

上の図にある㈱エイチアイの株式は、
㈱カンデラジャパンに譲渡されており、
現在は孫会社という位置づけです。


オフィスは、西新宿で、代表取締役社長は野崎愼也氏です。

設立は1991年なので、設立してから約30年ほど経っています。

東証2部への上場は2010年なので、上場して10年程度。

時価総額は177億円(2020年11月15日現在)なので、
小型の成長株に分類される銘柄です。


●事業内容

事業内容は大きく二つ。クリエイターサポート事業と、UI/UX事業です。

<クリエイターサポート事業>

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クリエイターサポート事業では、

「CLIP studio」というイラストや漫画を制作するためのアプリ、
クリエイターを支援するためのWEBサイト、
電子書籍を発行するためのソリューションサービス

の大きく3つをクリエイターに提供しています。

「CLIP studio paintシリーズ」は、全世界で900万本以上売れており、グラフィックソフト分野でシェアNo1です。

<UI/UX事業>

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UI/UX事業では、車(と白物家電)のユーザインターフェースを設計・開発するための、「CGI studio」というソフトウェアを、企業のデザイナーやエンジニアに提供しています。

主に車載向けで、液晶画面やタッチパネルのユーザーインターフェースにおけるグラフィックデザインをするためのソフトというイメージです。

いずれの事業も自社IPソフトを提供しており、
自社IPに重点を置いた経営を行っています。

●株価の推移

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(出典:株探)

8月7日:決算にて、営業利益が56%増。予想を大幅に上回り、株価はストップ高が2日続きました。

11月8日:決算にて、売上、営利、経常が予想を上回り、通期業績予想が上方修正され、さらに新中期経営計画が発表されて株価は再びストップ高になりました。

●新中期経営計画

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2025年には、売上高が2倍、営利が8倍になる見通し。グラフでは、クリエイターサポート事業の売上高の伸びが毎年8%程度伸びる見込みとなっています。2025年の営利率は33.9%となる見通しで、実現できればすばらしい数字ですね。

<クリエイターサポート事業>

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クリエイターサポート事業の売上高は、
世界展開をさらに推し進めることで、年間10~20%成長する見通し。

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全体売り上げに対するサブスク比率は、30%~50%程度へ成長していく見通し。サブスクの売り上げは、図の水色の部分です。


<UI/UX事業>

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UI/UX事業は、コロナウイルスの影響により、厳しい状況にあります。

2018年頃から、車の新車販売数が減少していたのに加え、今回のコロナウイルスの影響が響いています。工場の稼働が中止され、生産台数が減り、人があまり出歩かないので車の需要も減りました。

今後の戦略としては、自動車業界以外にも、産業機器や家電業界にも積極的にアプローチし、体制を固めていくとのこと。

2023年までは、開発・マーケティング活動の投資を先行し、2024年以降の拡大を目指す方針のようです。

●業績予想の修正

売上・営利・経常の3指標の予想は上方修正されましたが、純利益予想を一転赤字に下方修正しています。これは、買収したCandera Gmbhにおけるのれんの減損損失を約10億円計上したためです。

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ただ、のれんの減損損失は、一過性の特別損失ですので、
事業全体としてはそれほど大きな問題ではなさそうです。

むしろ、のれんの減損を終わらせたことで、
来期以降の数字の見栄えがよくなるとの見方もできそうです。


●その他:ZMP株の保有

アートスパークHDは、ZMPの株式を所有しています。

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ZMPは数々の有名企業が提携を持ち掛けるほど、
これからの社会に必要とされるロボットを開発している未上場企業です。


2016年に、一度IPOの話がでたのですが、セキュリティ問題で、上場取りやめとなった経緯があります。しかし、近年またIPOするのではないかとのうわさもあり、多くの投資家に注目されている企業でもあります。

ZMPのIPOが決定した場合、ZMPの株を保有しているアートスパークHDに
注目が集まる可能性があります。

実際、2016年は、株価が3倍程度に急騰しています。

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出典:株探

●その他:需給と機関投資家

2020年11月15日現在、信用買い残が114万7600あります。これを発行済み株式数である、8,157,720株で割ると、約14%。

10%を超えると、返済売りが出やすい状況と言われていますので、
上値は重たいかもしれません。

また、機関投資家のJPモルガンやクレディスイスが空売りしていたりします。


●まとめ

アートスパークHDは、クリエイターサポート事業は順調で、サブスクリプションによるストック収入もありますが、UI/UX事業が足を引っ張っています。

現在、ファイザーのワクチンのニュースが流れ、コロナ収束期待が出てきていますが、車の需要が回復し、UI/UX事業が黒字化してくれると、数字としての安心感が出てきそうですね。

また、ZMPの上場は現在うわさの段階ですが、その点も気になりますね。

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※注意事項

あくまで私個人の分析ですので、投資は自己責任でお願いします。

また、間違いがありましたらすいません。

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