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龍谷大学文学史10年分解説

ちょっと諸事情で古巣の大学入試古文の分析をする機会があったので、その際に作ったものをアップしたいと思います。

23一般『落窪物語』とは成立した時代が異なるものを一つ選びなさい。
①『浜松中納言物語』 ②『曽我物語』 ③『宇津保物語』 ④『狭衣物語』

〈難易度〉
1/5
〈解説〉
「落窪物語」と聞いたら、a源氏物語以前に成立したb三大作り物語という情報を思い出したいところ。
三大作り物語は「竹取物語」「宇津保物語」「落窪物語」なので、正解は③
〈ここだけチェック!〉
「落窪物語」が出てきたということで、源氏物語以前に成立した、三大作り物語と三大歌物語は抑えておきましょう。
①三大作り物語
『竹取物語』現存する日本最古の物語。かぐや姫のお話。
『宇津保物語』琴の秘伝に関する物語。
『落窪物語』継母いじめの物語。
②三大歌物語
『伊勢物語』在原業平をモデルにしたとされる。
『大和物語』伊勢物語と違い話ごとに主人公は異なる。
『平中物語』主人公の平中は平貞文を指す。

22一般 『狭衣物語』を説明したものとして最も適当なものを一つ選びなさい。
①『狭衣物語』は平安時代前期に成立した歌物語の一つで、『伊勢物語』に強い影響を及ぼした作品である。
②『狭衣物語』は平安後期に成立した作り物語の一つで、『源氏物語』の多大な影響が認められる作品である。
③『狭衣物語』は鎌倉時代前期に成立した歌物語の一つで、『大和物語』と同じく和歌に関わる物語を収めた作品である。
④『狭衣物語』は鎌倉後期に成立した作り物語の一つで、『竹取物語』と同じく非現実性の高い伝奇的な作品である。

〈難易度〉
2/5
〈解説〉
『狭衣物語』は平安時代に成立した物語で、『源氏物語』の影響を強く受けた作品と言われる。したがって解答は②
『源氏物語』以前の物語として覚えておきたいのは三大作り物語と三大歌物語の6作品。
したがって①は選んではいけない。

〈ここだけチェック〉
『狭衣物語』主人公の狭衣が従妹源氏の宮に恋をする。源氏物語から影響を受けた。

21一般『みやぢのわかれ』は京都から鎌倉へ下る旅を描く紀行文学ですが、反対に地方を出発して京都を目指す旅を描いた紀行文学を一つ選びなさい。
①『土佐日記』 ②『海道記』 ③『十六夜日記』 ④『野ざらし紀行』

〈難易度〉
3/5
〈解説〉
紀行文は旅日記のこと。選択肢のいずれもが旅日記。今回は「地方を出発して京都を目指す」がポイント。『土佐日記』がa紀貫之の作品で、b女性に扮して描かれた、c土佐から京都へ帰る55日間を描いた日記という情報から正解の①を導く。「鎌倉」というキーワードから『十六夜日記』を選ばないように注意。(『十六夜日記』は鎌倉へ向かう日記)

〈ここだけチェック〉
『土佐日記』がa紀貫之の作品で、b女性に扮して描かれた、c土佐から京都へ帰る55日間を描いた日記
『海道記』鎌倉時代の紀行文。『十六夜日記』『海道記』『東関紀行』の3作品で三大紀行文と呼ばれる。
『十六夜日記』鎌倉時代に記された阿仏尼の日記。裁判(所領紛争の解決)のために鎌倉へ向かう日記。鎌倉までの道中と、鎌倉での出来事が描かれる。
『野ざらし紀行』江戸時代中期に松尾芭蕉によって描かれた紀行文。龍谷大学を目指すに当たって、芭蕉の作品としては『おくのほそ道』と『笈の小文』(おいのこぶみ)も覚えておきたい。

2021 2月14日中期
『たまきはる』の作者は女性ですが、作者が女性ではないものを一つ選びなさい。
① 『十六夜日記』  ② 『讃岐典侍日記』  ③ 『とばずがたり』  ④ 『折たく柴の記』

〈難易度〉
2/5

〈解説〉
『とばずがたり』を押さえていないと難しいかもしれないが、③④の二択までは確実に絞りたい。『とばずがたり』は鎌倉中期から後期に後深草院二条(女性)によって記された日記。

〈ここだけチェック〉
『十六夜日記』
鎌倉時代に記された阿仏尼の日記。裁判(所領紛争の解決)のために鎌倉へ向かう日記。鎌倉までの道中と、鎌倉での出来事が描かれる。
『讃岐典侍日記』
平安時代に讃岐典侍が記した日記。堀河天皇の看護と鳥羽天皇との生活の様子を書く。
『とばずがたり』
鎌倉中期から後期に後深草院二条(女性)によって記された日記。「誰に問われるでもなく自分の人生を語る」という自伝形式で半生を描く。
『折たく柴の記』
江戸時代中期に新井白石が書いた随筆。

2021 1月31日前期
『しのびね』は、擬古物語の一つとされる作品です。擬古物語の説明として、最も適当なものを一つ選びなさい。
① 平安時代に、多くは神話や伝説を題材として書かれた作品群。空想的・伝奇的で虚構性が強い傾向を持つが、徐々に当時の現実の生活習慣や、実在した人物の履歴などを取り込んだ作品が書かれるようになった。
② 平安時代後期に、僧侶によって書かれた短編作品群。当時としては自由な行動をとる人物が出て来たり、素朴な挿絵の入った本や絵巻物の題材となったことで、庶民に多く知られるようになった作品が多い。
③ 鎌倉時代から南北朝時代に、平安時代の物語の影響を受けて書かれた作品群。王朝を回顧する傾向が強く、多くは『源氏物語』を模倣するが、文体や言葉に、室町時代以降の説話文学に共通する要素を含む作品もある。
④ 江戸時代中期に、平安時代の文学作品を模した雅文体で書かれた作品群。当時世間で知られた実話、特に敵討ちや恋愛に関わる事件を題材として脚色したものが多い。

〈難易度〉
2/5

〈解説〉
擬古物語は鎌倉時代から近世初頭に成立した、平安時代の王朝貴族を主人公にする物語のこと。したがって③。擬古文には『住吉物語』(12センター試験)、『松陰中納言物語』(13センター試験)、『小夜衣』(20センター試験)、『石清水物語』(23共通テスト)などが含まれる。

〈ここだけチェック〉
①「平安時代」「空想的・伝奇的」は作り物語の説明。
②「僧侶によって書かれた短編作品群」は説話集を示唆するものか?
④「雅文体」は中古(平安時代)の仮名文に擬した文体のこと。

2021 1月30日前期
『栄花物語』とは成立した時代が異なるものを一つ選びなさい。
① 『後拾遺和歌集』  ② 『金槐和歌集』  ③ 『金葉和歌集』  ④『後撰和歌集』

〈難易度〉
2/5

〈解説〉
『金槐和歌集』が鎌倉時代に成立した源実朝の私歌集であるという具体的な知識を覚えておいて解きたい問題ではあるが、同時に「八代集」が『新古今和歌集』だけが鎌倉時代に成立したという知識をもって、①③④が平安時代の作品という知識からも正解を導きたい。

〈ここだけチェック〉
『栄花物語』
平安時代に成立した歴史物語。藤原家の栄華と衰退を好意的に描く。
『金槐和歌集』
鎌倉時代に成立した源実朝の私歌集。私歌集に関しては西行の『山家集』とともに押さえておきたい。
八代集
古今和歌集から始まる八代によって作られた勅撰和歌集のことで、順に『古今和歌集』『後撰和歌集』『拾遺和歌集』『後拾遺和歌集』『金葉和歌集』『詞花和歌集』『千載和歌集』『新古今和歌集』が含まれる。『新古今和歌集』のみ鎌倉時代に成立という知識を覚えておきたい。

19 1/30『遊角筈別荘記』は江戸時代に成立した作品ですが、同じ時代に成立した作品を一つ選びなさい。
①『閑吟集』 ②『花月草紙』 ③『発心集』 ④『ささめごと』

〈難易度〉
1/5
〈解説〉
「江戸時代」ということで花月草子と即答したい。花月草子は江戸時代に松平定信が書いた随筆集。今回は消去法ではなく積極法で一発解答をする問題。
〈ここだけチェック〉
『閑吟集』室町時代に作られた歌謡集。龍谷大学ではしばしば選択肢に出没するので覚えておくと有利。
『花月草子』江戸時代/松平定信というキーワードは抑えたい
『発心集』鴨長明が晩年に記した仏教説話。鴨長明と作品として『発心集』(仏教説話)『方丈記』(随筆)『無名抄』(歌論)はおさえておきたい。
『ささめごと』室町時代の連歌の歌論。特に覚えなくてよい。

19 1/31『石清水物語』は鎌倉時代に成立した作品ですが、同じ時代に活躍した人物を一人選びなさい。
①宗祇 ②紀友則 ③阿仏尼 ④菅原孝標女

〈難易度〉
2/5
〈解説〉
"鎌倉"というキーワードで『十六夜日記』の作者である阿仏尼を選びたい。

〈ここだけチェック〉
宗祇は室町時代の連歌師。室町というワードを覚える。
紀友則は古今和歌集の選者のひとり。紀貫之のいとこ。
阿仏尼は日記作品『十六夜日記』の作者。裁判(所領紛争の解決)のために鎌倉へ向かう日記。鎌倉までの道中と、鎌倉での出来事が描かれる。
菅原孝標女は『更級日記』の作者。更級日記は物語に憧れる少女の日記。なお、菅原孝標女は『浜松中納言物語』『夜の寝覚め』の作者ではないかと言われる(ここまで覚えておくと便利)。

19 2/1「遍照集」は平安時代に成立した作品ですが、同じ時代に成立した作品を一つ選びなさい。
①『懐風藻』 ②『十訓抄』 ③『小倉百人一首』 ④『俊頼髄脳』

〈難易度〉
3/5

〈解説〉
基本的には持っている知識で消去法。
『懐風藻』は現存する日本最古の漢詩集(奈良時代)、『十訓抄』は鎌倉時代の説話集、『小倉百人一首』は藤原定家が作ったもの。

〈ここだけチェック〉
『俊頼随脳』平安時代に源俊頼によって書かれた歌論。
『小倉百人一首』は藤原定家の作品だが、同時に『新古今和歌集』の代表選者であることを押さえておきたい。
『海風藻』は龍谷大学でよく出るので、日本最古の漢詩集というポイントは押さえたい。

19 2/12「業平の中将、都鳥に言問ひける」は、ある物語を踏まえたものですが、その物語として最も適切なものを一つ選びなさい。
①『源氏物語』 ②『伊勢物語』 ③『大和物語』 ④『平中物語』

〈難易度〉
3/5

〈解説〉
文学史としたら知っておくべき知識ですが、龍谷大学の傾向としてはやや珍しい感覚なので難易度を3としました。
「業平」とは在原業平のこと。
在原業平といえば三大歌物語の一つ、『伊勢物語』のモデルになったという説を思い出したい。正解は②。

〈ここだけチェック〉
『源氏物語』全47巻。日本文学の最高傑作とも言われる紫式部の作品。主人公光源氏の恋仲を描く。紫の上の死後、源氏が出家した後の薫君が描かれた巻を宇治十帖という。
『伊勢物語』『大和物語』『平日物語』はいずれも三大歌物語。

19 2/13 『源氏物語』の作者は紫式部ですが、同じく女性の作者による作品を一つ選びなさい。
①『発心集』 ②『山家集』 ③『土佐日記』 ④『更級日記』

〈難易度〉
1/5

〈解説〉
日記文学の基本知識があれば解きたいところ。『更級日記』が物語に憧れる少女の日記という点を押さえていればとける。
『土佐日記』は紀貫之が女性に扮して描いたとされる作品。

〈ここだけチェック〉
『発心集』鴨長明による仏教説話。
『山家集』は西行がしるした私的な詩集。
『土佐日記』は紀貫之が土佐から京都へ戻るまでの55日間を記した日記。「男もすなる日記といふものを、女もしてみむとてするなり。」という書き出しで、女性に扮して描かれた。
『更級日記』は菅原孝標女の日記。物語に憧れる少女の日記で、13歳の時に父の任地上総国から帰京の旅に筆をおこし、 以後40余年に及ぶ半生を自伝的に回想する。

一般C 『落窪物語』と同じジャンルの作品を次のうちから一つ選びなさい。
①『宇津保物語』 ②『今昔物語』 ③『曽我物語』 ④『正徹物語』

〈難易度〉
1/5

〈解説〉
この問題は落としたく無い。『落窪物語』は『竹取物語』『宇津保物語』と並ぶ三大作り物語のひとつ。したがって正解は①

〈ここだけチェック〉
『今昔物語』は平安時代末期に成立したと見られる説話集。
『曽我物語』は南北朝時代から室町時代にかけて成立したとされる曽我兄弟の仇討ちを描いた軍記物語。
『正徹物語』は室町時代の歌論。龍谷大学では選択肢に頻繁に出てくるので、時代とジャンルを押さえておきたい。

18 1/30『窓の教』は室町時代に成立した作品ですが、その成立より後の時代に活躍した人物の名を一つ選びなさい。
①菅原道真 ②藤原俊成 ③与謝蕪村 ④兼好法師

〈難易度〉
1/5

〈解説〉
一見すると難しそうに見えるが、冷静に見れば与謝蕪村があるので確実に得点したいところ。
与謝蕪村は江戸時代中期の日本の俳人。松尾芭蕉と合わせて押さえておきたい。

〈ここだけチェック〉
いずれも重要なワードなので他の人物も押さえておきたい。
菅原道真:日本の平安時代の貴族。宇多天皇に重用されて、寛平の治を支えた一人であり、醍醐朝では右大臣にまで上り詰めたが、藤原時平にハメられ大宰府へ太宰府へ左遷され現地で死んだ。
藤原俊成:八代集のひとつ、『千載和歌集』の撰者。
兼好法師:鎌倉時代末期から南北朝時代にかけての官人・遁世者・歌人・随筆家。代表作に『徒然草』がある。

18 1/31『愚管抄』と成立時代が同じ作品を一つ選びなさい。
①『大和物語』 ②『発心集』 ③『曽我物語』 ④『懐風藻』

〈難易度〉
2/5

〈解説〉
『愚管抄』は慈円による鎌倉時代初期の史論書。龍大の選択肢ではよく出てくるので押さえておきたい。
大和物語は選んではいけない。『鎌倉』というキーワードから『発心集』を選ぶ。

〈ここだけチェック〉
『大和物語』
三大歌物語のひとつ。源氏物語以前に成立ということから時代も確実に覚えたい。
『発心集』
鴨長明による随筆。
『曽我物語』
曽我兄弟の仇討ちを描く軍記物語。内容自体は鎌倉のものだが、成立は南北朝から室町とされる。
『懐風藻』
現存する最古の日本漢詩集。しばしば選択肢に上がるので押さえておきたい。

18 2/1『夜の寝覚』の作者は一説に菅原孝標女とされますが、菅原孝標女の作品を一つ選びなさい。
①『更級日記』 ②『蜻蛉日記』 ③『十六夜日記』 ④『土佐日記』

〈難易度〉
1/5

〈解説〉
菅原孝標女という言葉で『更級日記』は即答したいところ。

〈ここだけチェック〉
各日記文学の整理に役立つのでここで復習したい。(日記文学は作者と内容を同時に押さえる)
『更級日記』
菅原孝標女の日記。物語に憧れる少女が描いた作品。田舎から京へ来て結婚し、晩年までの姿を描く。
『蜻蛉日記』
藤原道綱母の描いた日記。当時の一夫多妻制に悩む女性の苦悩を描いた作品。
『十六夜日記』
阿仏尼の描いた日記。裁判(所領紛争の解決)のために鎌倉へ向かう日記。鎌倉までの道中と、鎌倉での出来事が描かれる。
『土佐日記』
紀貫之が土佐から京都へ戻るまでの55日間を記した日記。「男もすなる日記といふものを、女もしてみむとてするなり。」という書き出しで、女性に扮して描かれた。

5

17 1/30『弁内侍日記』は鎌倉時代の宮廷を描いた日記文学ですが、同じ時代の作品を一つ選びなさい。
①『とばずがたり』 ②『今鏡』 ③『讃岐典侍日記』 ④『正徹物語』

〈難易度〉
2/5

〈解説〉
『とばずがたり』が鎌倉時代の中後期に後深草院二条(女性)が書いた日記ということを知っていれば解けるが、知らない場合でも、対応できるようにそれぞれの知識を応用させておきたい。
『正徹物語』は室町時代の歌論、『讃岐典侍日記』は平安時代に讃岐典侍(女性)が書いた日記なので除外。
迷うのは『今鏡』だが、「大根水増し」の語呂合わせのうち、大根(大鏡、今鏡)は平安時代の作品であることを思い出せば消去法でも答えられる

〈ここだけチェック〉
『とばずがたり』
鎌倉時代の中後期に後深草院二条が書いた日記。時代と共に女性が書いた日記という所を押さえておきたい。
『今鏡』
『栄花物語』及び残りの四鏡(『大鏡』『水鏡』『増鏡』)と合わせて歴史物語というジャンルであることを押さえておく。
大根水増しの語呂合わせの前半「大根」部が平安時代の成立という点まで覚えておくと応用がきく。(『水鏡』は鎌倉、『増鏡』は南北朝時代に成立)
『讃岐典侍日記』は平安時代に讃岐典侍が記した日記。堀河天皇の看護と鳥羽天皇との生活の様子を書く。
『正徹物語』
室町時代の歌論

16 1/30
『更級日記』の作者の名前を次のうちから一つ選びなさい。
①額田王 ②菅原孝標女 ③藤原道綱母 ④和泉式部

〈難易度〉
1/5

〈解説〉
これはストレートに菅原孝標女を選びたい。

〈ここだけチェック〉
額田王
『万葉集』に「君まつと...」の和歌が掲載。
菅原孝標女
『更級日記』の作者。同作品は物語に憧れる少女の日記。菅原孝標女は『浜松中納言物語』『夜半の寝覚』の作者ではないかとされる。
藤原道綱母
『蜻蛉日記』の作者。同作品は一夫多妻制に悩む平安時代の女性の胸中が記される。
和泉式部
『和泉式部日記』の作者。為尊天皇と敦道天皇との恋の様子を描く。

15 1/30『源平盛衰記』と同じジャンルに属する作品を一つ選びなさい。
①『土佐日記』 ②『日本霊異記』 ③『太平記』 ④『神皇正統記』

〈難易度〉
1/5

〈解説〉
こちらも確実に正解しなければならない。『源平盛衰記』は「源平」とあることからも軍記物語(リード分を読めば分かる)ということで、『太平記』を選ぶ。

〈ここだけチェック〉
『土佐日記』
紀貫之の作品。女性に扮して土佐から京都へ帰る55日間を描いた日記。
『日本霊異記』
平安時代初期に書かれた現存する日本最古の説話集。
『太平記』 
南北朝時代の動乱を描いた軍記物語。室町時代に成立。
『神皇正統記』
南北朝時代の歴史書。

6

14 1/31この『とばずがたり』を読むと、作者が各地を旅して回ったことが知られますが、次のうち、自分(作者)の記述を含まないものを一つ選びなさい。
①『紫式部日記』 ②『更級日記』 ③『海道記』 ④『笈の小文』

〈難易度〉
2/5

〈解説〉
それぞれの情報から少し洞察をしなければならないので難易度は2。
『紫式部日記』は紫式部が宮中の様子を描いたものなので、「自分の記述を含まない」に合致するのではと見当をつける。
そして他がそれぞれ旅の道中を記録していることから自分の記述が描かれていると考えるのが妥当と見当をつけ、正解は①

〈ここだけチェック〉
『紫式部日記』
平安時代に紫式部が記した日記。宮中の様子と手紙からなる。
『更級日記』
菅原孝標女が記した日記。同作品は物語に憧れる少女の日記。菅原孝標女は『浜松中納言物語』『夜半の寝覚』の作者ではないかとされる。
『海道記』
鎌倉時代に成立したと考えられている紀行文。主人公が京都から鎌倉まで向かう間を描いた旅日記で、『十六夜日記』と『東関紀行』と合わせて中世三大紀行文とされる。
『笈の小文』
江戸時代に松尾芭蕉が記した紀行文。

15 C
「かの序に書きたりし( A )より初めて代々の歌仙ども」の空欄を補うのに適切な人名を一つ選びなさい。
①業平 ②貫之 ③俊成 ④定家
※かの序とは『古今和歌集』の仮名序のことを指す

〈難易度〉
3/5
〈解説〉
注釈にある通り「かの序」は古今和歌集のことを指し、「書きたりし(書いた)」と連体形で繋がることから、Aに入るのは仮名序を記した人物であることがわかる。したがって答えは②
また、「代々の歌仙ども」とは「六歌仙」のこと。

〈ここだけチェック〉
六歌仙は紀貫之が古今和歌集の仮名序で当時の和歌の隆盛に大きく貢献したとして名を挙げた6人の歌人。
僧正遍照、在原業平、文屋康秀、喜撰法師、小野小町、大伴黒主が含まれる。
紀貫之は『土佐日記』の作者であり、『古今和歌集』の代表撰者。また『古今和歌集』の仮名序を記す。
藤原俊成は八代集のひとつ、『千載和歌集』の撰者。八代集とは古今和歌集から始まる八代によって作られた勅撰和歌集のことで、順に『古今和歌集』『後撰和歌集』『拾遺和歌集』『後拾遺和歌集』『金葉和歌集』(きんようわかしゅう)『詞花和歌集』『千載和歌集』『新古今和歌集』が含まれる。
『新古今和歌集』のみ鎌倉時代に成立という情報を覚えておくと応用がきかせやすい。

15 2/13
『小鳥のくちずさみ』は南北朝時代を舞台とした作品ですが、南北朝より後の時代に成立した作品を一つ選びなさい。
①『蜻蛉日記』 ②『栄花物語』 ③『野ざらし紀行』 ④『大鏡』

〈難易度〉
1/5

〈解説〉
積極法、消去法のどちらからも解きたい。
積極法でいくのなら『野ざらし紀行』が松尾芭蕉の作品ということで江戸時代成立と判断し、これが答え。
消去法でも『蜻蛉日記』が平安の話、『栄花物語』『大鏡』が平安時代に記された歴史物語(『大根水増』の四鏡のうち「大根」の部分は平安時代に成立したことは覚えておくべき知識。藤原氏の栄華を肯定的に描く『栄花物語』が大鏡よりも前に成立というところから判断)なので、それらを消去しても正解は③

〈ここだけチェック〉
『蜻蛉日記』
藤原道綱母によって記された平安時代の日記。一夫多妻制に悩む平安時代の女性の胸中が記される。
『栄花物語』『大鏡』
藤原氏の栄華と衰退を描いた歴史物語。ともに平安時代に成立しているが、『栄花物語』は藤原氏の権力がまだ大きかった時代に記されたのに対し、藤原氏の衰退が始まった頃に成立した『大鏡』には、藤原氏の行った出来事がやや批判的・客観的に記される。

7

15 2/12

『今物語』は鎌倉中期成立の説話文学ですが、これと同じジャンルの作品として最も適当なものを一つ選びなさい。①『伊勢物語』 ②『十六夜日記』 ③『宇治拾遺物語』 ④『平治物語』

〈難易度〉
1/5

〈解説〉
「説話文学」という時点で宇治拾遺物語を選ばなければいけない。『伊勢物語』は歌物語、『十六夜日記』は日記文学、『平治物語』は軍記物語に含まれる。

〈ここだけチェック〉
『今物語』
藤原信定が書いた鎌倉時代の説話集。
『伊勢物語』
三大歌物語のひとつ。この作品と『大和物語』『平中物語』をあわせめ三大歌物語と呼ぶ。
三大作り物語(『竹取物語』『宇津保物語』『落窪物語』)と合わせ、源氏物語に影響を与える。
『宇治拾遺物語』
鎌倉時代に成立した仏教説話集。
『十六夜日記』
阿仏尼の描いた日記。裁判(所領紛争の解決)のために鎌倉へ向かう日記。鎌倉までの道中と、鎌倉での出来事が描かれる。

15 2/1
『鳥部山物語』は室町時代に成立したと考えられますが、同じ室町時代に成立した作品を一つ選びなさい。
①『春雨物語』 ②『とりかへばやものがたり』 ③『山家集』 ④『閑吟集』

〈難易度〉
2/5

〈解説〉
直接『閑吟集』が室町時代後期の歌謡集であると知っているというよりは、他の作品の時代を覚えていて消去法で解きたい。
『春雨物語』は江戸時代、『とりかえばや物語』は平安時代、『山家集』は鎌倉時代ということで正解は④

〈ここだけチェック〉
『春雨物語』
江戸時代に上田秋成が記した物語。
『とりかへばや物語』
平安後期に成立した作り物語。『源氏物語』以後に成立した作品として、『浜松中納言物語』『堤中納言物語』『夜半の寝覚』『狭衣物語』などを合わせて覚えておきたい。
『山家集』
平安末期の僧侶西行の私歌集。(詳しい成立年は不詳)

15 1/31
『菅笠日記』の筆者本居宣長と同じ時代の文学者の名前を一つ選びなさい。
①大伴家持 ②菅原道真 ③鴨長明 ④与謝蕪村

〈難易度〉
1/5

〈解説〉
これは解けなければいけない。本居宣長は江戸時代の国学者。同じ江戸時代ということで正解は④

〈ここだけチェック〉
本居宣長は江戸時代の国学者。中学の歴史では『古事記伝』が出てきたが、古典の文学史としては『玉勝間』を覚えておきたい。また、「国学」ということで昔の文章の研究をしたという点を覚えておくと、消去法の判断基準に使いやすい。
大伴家持は『万葉集』の代表選者。
菅原道真は日本の平安時代の貴族。左遷された太宰府で没した。
鴨長明は平安末期から鎌倉初期に活躍。三大随筆のひとつ『方丈記』(残りは清少納言の『枕草子』と兼好法師の『徒然草』、説話集である『発心集』、歌論の『無名抄』の著者。
与謝蕪村は江戸時代の俳人。江戸時代の俳人としては、松尾芭蕉、与謝蕪村、小林一茶を覚えておきたい。

8

15 11/30『平中物語』は平安時代中期に成立した作品と言われています。これと同じころに成立した作品を一つ選びなさい。
①『徒然草』 ②『雨月物語』 ③『保元物語』 ④『大和物語』

〈難易度〉
1/5

〈解説〉
これは典型問題として解けなければいけない。
『平中物語』は三大歌物語のひとつなので、同じく三大歌物語に含まれる『大和物語』④が正解。

〈ここだけチェック〉
『伊勢物語』と『大和物語』『平中物語』をあわせめ三大歌物語と呼ぶ。三大作り物語(『竹取物語』『宇津保物語』『落窪物語』)と合わせ、源氏物語以前に成立した6作品は必須で覚えたい。
『徒然草』
鎌倉後期に兼好法師が書いた随筆。三大随筆のひとつで、時代と合わせて、『枕草子』(平安/清少納言)と『方丈記』(鎌倉前期/鴨長明)とともに覚えておく。
『雨月物語』
江戸時代後期に上田秋成が書いた。
『保元物語』
1156年に起こった保元の乱を描いた軍記物語。

15 11/29『発心集』と同時期に成立した作品を一つ選びなさい。
①『枕草子』 ②『沙石集』 ③『奥の細道』 ④『玉勝間』

〈難易度〉
1/5

〈解説〉
『発心集』は鎌倉時代に鴨長明が書いた説話集。『沙石集』が鎌倉時代の説話という知識から解きたいが、仮に知らなくても『枕草子』が平安、『奥の細道』『玉勝間』が江戸という所から消去法で正解したい。

〈ここだけチェック〉
『発心集』
鎌倉時代に成立した鴨長明の説話集。鴨長明の作品では他に三大随筆のひとつ『方丈記』(残りは清少納言の『枕草子』と兼好法師の『徒然草』、歌論の『無名抄』を覚えておく。
『枕草子』
平安時代に清少納言が記した随筆。三大随筆のひとつ。
『沙石集』
鎌倉時代に無住によって書かれた説話集。
『奥の細道』
江戸時代に俳人の松尾芭蕉が記した紀行文。
『玉勝間』
江戸時代に国学者の本居宣長が書いた随筆。『古事記伝』とともに覚えておきたい。『源氏物語玉の小櫛』や『うひ山ぶみ』なども書いた。

13 1/30
「この院」(後白河院)が撰集を命じた『千載和歌集』と同じく、勅撰和歌集に分類される歌集を一つ選びなさい。
①『金槐和歌集』 ②『文華秀麗集』 ③『詞花和歌集』 ④『新撰菟玖波集』

〈難易度〉
2/5

〈解説〉
八代集は苦手な人が多いが、龍谷大学を受けるのであれば覚えておきたい。八代集に含まれるのは③の『詞花和歌集』。

〈ここだけチェック〉
八代集
『古今和歌集』から始まる八代によって作られた勅撰和歌集のことで、順に『古今和歌集』『後撰和歌集』『拾遺和歌集』『後拾遺和歌集』『金葉和歌集』(きんようわかしゅう)『詞花和歌集』『千載和歌集』『新古今和歌集』が含まれる。『新古今和歌集』のみ鎌倉時代に成立。
奈良時代に成立した『万葉集』(代表撰者は大伴家持)、平安時代に成立した『古今和歌集』(代表撰者は紀貫之)、鎌倉時代に成立した『新古今和歌集』(代表撰者は藤原定家)の三大集とともに覚えておく。
『金槐和歌集』
鎌倉時代に成立した源実朝の私歌集。私歌集に関しては西行の『山家集』とともに押さえておきたい。

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12 1/29 『成尋阿闍梨母集』は私家集(個人の歌集)ですが、次のうちから歌集(和歌を集めたもの)を一つ選びなさい。
①『沙石集』 ②『山家集』 ③『菟玖波集』 ④『閑吟集』

〈難易度〉
1/5

〈解説〉
「私歌集」という言葉から『山家集』と即答したい。私歌集としては合わせて源実朝の書いた『金槐和歌集』も押さえておきたいところ。

〈ここだけチェック〉
『沙石集』
鎌倉時代に無住によって書かれた説話集。
『菟玖波集』
南北朝時代に作られた連歌の撰集。勅撰和歌集のようなスタイルをとる。
『閑吟集』
室町時代後期の歌謡集
11月21日 13:53

仙仁 透
仙仁 透
12 1/29 『成尋阿闍梨母集』は私家集(個人の歌集)ですが、次のうちから歌集(和歌を集めたもの)を一つ選びなさい。
①『沙石集』 ②『山家集』 ③『菟玖波集』 ④『閑吟集』

〈難易度〉
1/5

〈解説〉
「私歌集」という言葉から『山家集』と即答したい。私歌集としては合わせて源実朝の書いた『金槐和歌集』も押さえておきたいところ。

〈ここだけチェック〉
『沙石集』
鎌倉時代に無住によって書かれた説話集。
『菟玖波集』
南北朝時代に作られた連歌の撰集。勅撰和歌集のようなスタイルをとる。
『閑吟集』
室町時代後期の歌謡集

2021後期日程
「光源氏」とありますが、「光源氏」を主人公とする物語の注釈を著した人物として、最も適当なものを一つ選びなさい。
① 松尾芭蕉  ② 井原西鶴  ③ 本居宣長  ④ 式亭三馬

〈難易度〉
3/5

〈解説〉
本居宣長の『源氏物語玉の小櫛』を知っていれば解けるが、やや難しい。知らなかった場合合焦らずに本居宣長が国学者であることから、過去の作品の研究をしている可能性を検討して、③を選ぶという思考をしたい。

〈ここだけチェック〉
松尾芭蕉
江戸時代の俳人。『奥のほそ道』『笈の小文』『のざらし紀行』あたりを覚えておきたい。
井原西鶴
江戸時代の『好色一代男』をはじめとする浮世草子の作者として知られる
本居宣長
江戸時代の国学者。『古事記伝』『源氏物語玉の小櫛』『うひ山ぶみ』などを記す。
式亭三馬
滑稽本『浮世風呂』『浮世床』などで知られる江戸時代後期の作家。

2021 2月15日中期
『太平記』とはジャンルが異なる作品として、最も適当なものを一つ選びなさい。
① 『落窪物語』  ② 『平治物語』  ③ 『義経記』  ④ 『平家物語』

〈難易度〉
1/5

〈解説〉
これは確実におさえたい。『落窪物語』は三大作り物語の一つであるため正解は①。

〈ここだけチェック〉
『落窪物語』
継母いじめの物語。『源氏物語』以前に成立した三大作り物語(『竹取物語』『宇津保物語』『落窪物語』)のひとつ。
『平治物語』『義経記』『平家物語』
共に源平のやりとり周辺について描かれた軍記物語。

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