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鼻毛との攻防

鼻毛。
鼻毛とぼくを含めた人との関係は非常に複雑だ。

鼻毛、というのは一般的に「はなげ」と読むが、医学的には「びもう」と呼ぶらしい。
鼻の穴の内側にある鼻前庭という場所に密生している毛を指す。
鼻毛が長くなると、鼻の穴からぴろっと出てきてとても体裁が悪い。
言わずもがな。

なんで鼻毛のことを書いているかというと春だからだ。
春になると暖かくなって、気分もアクティブに、オープンになっていくのはいいのだけれど、猛烈に困ったこともある。
花粉症だ。
そして花粉症に付随するのが鼻毛だ。
それはもう本当に著しく関係する。
花粉症の時期になると鼻毛が伸びるのが早いのだ。
ぴろぴろっと出てきてみっともない鼻毛を切りきりして、翌日鏡を見るとまたぴろっと黒くて太くて短いのが出ている。
花粉症の時期はこんなことが頻繁に起きる。

なんでこんなに伸びてくるんだよ、コンチクチョウ! 永久脱毛したろか! と思ったりすることもあるがそれをしてはならんのである。
なぜならば、鼻毛にはしっかりとした役割があるからだ。

鼻毛はいわゆるフィルターの役割を果たしている。
鼻の穴から埃やら小さな異物が体の中に入らないようにする役割、それから鼻の中の湿度を保って乾燥しないようにする役割だ。
花粉症の季節に鼻毛の伸びが早いのは、花粉が体内に入らないようにブロックを強化するため、ということになる。

うん、鼻毛確かに偉い。
鼻毛があるからこそ排気ガスやらたくさんの花粉やらが舞い飛んでいるこの世界でもぼくらは生きていくことができる。
しかし、人は見た目も大事である。
鼻毛はぼくら生き物を生活環境的に守ってくれているかもしれないが、大事な場面で鼻毛が出るというのは社会的にダメージを与えていることに等しい。
鼻毛がばんばん伸びるのは環境からの防護という意味では有効だが、社会生活という観点からは厄介ごとである。

だから複雑なのだ。
憎むにも憎み切れない。
人間社会にも「鼻毛的なもの」というのがいたりあったりする。
非常に重要な役割を果たしていてそいつがいないと困る、しかしそいつがでしゃばりすぎるとそれはそれで別の問題が発生する。

例えば、製品の品質管理とかだ。
品質管理はやらなければいけない、非常に重要や役割だ。
やらなかったら不良製品ができあがってしまう。
品質管理はすればするほど製品の不良率を下げることができる。
ところが、品質管理を多大にやると管理上の面倒が増えて製造部門やら他の部門からクレームや不満が上がってくることになる。
これは品質管理が悪いのではない。けれど、やりすぎることが他の問題を引き起こす。
製品の不良率を低いところで保ちつつ、製造その他の面で負担にならないようにする。
絶妙な出入りを求められる。
適度にやる、ということが必要になってくる。

どうして自然界はこんなやっかいな仕様で生き物を作ってくれたのか。
例えば、鼻毛の伸びを鼻毛の中に留めるとか、認知的に鼻毛がでていても気にならないとか、そんな風にできなかったのか。

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