後手角換わり腰掛け銀 新構想△9三歩型+一手パス

世間では、角換わりは先手必勝になったみたいなことが言われている。今回はそんな現状に抗うために後手の新構想を思いついたので、良ければ最後まで見てほしい。角換わりの定跡にに精通している人は、「角換わりの現状は先手良し」の部分は読み飛ばしていただいて結構である。

※49期棋王戦▲遠山ー△松尾戦で前例があったようです。大変失礼しました。

角換わりの現状は先手良し

その構想を紹介する前に、先手はどういった方法で勝てるかを紹介していく。今回はこれが趣旨ではないため、詳しい手順はカットする。

後手は9筋の端歩を受けるかどうかが重要。

まずは受ける場合から見ていこう。△9四歩 ▲6六歩

ここから△4四歩、△3一玉、△4一飛、△6五歩などあるが、どれも先手から手段がある。

現在最も有力とされているのが△5二玉の待機策だ。以下、▲7九玉 △4二玉 ▲8八玉 △6三銀と進める。これは後手の不満がない局面とされている。

ここから▲4五桂と仕掛けるか▲6七銀と引くかという将棋。

この局面にならないように、先手は工夫する必要がある。そこで用いるのが、「一手パス」という手法だ。

△5二玉以下、▲6九玉 △4二玉 ▲7九玉 △6三銀 ▲8八玉

先手の陣形は先ほどと同じだが、ここで後手の手番になっているのがポイント。

上図から、△5四銀でも△5二玉でも先手良しというのが現在の結論だ。

後手の二手パスに対して先手も一手パスをすることで、後手満足の局面から一手ずらすことができた。後手としては、さらに一手パスをすることができたら、後手満足の局面にすることができるが、そうは問屋が卸さない。

△5二玉以下、▲6九玉 △4一玉 ▲5八玉 △4二玉 ▲4五銀

△4一玉としてさらに一手ずらそうとしたが先手はこの局面に誘導する。▲5八玉として△4七銀の筋を消してから銀をぶつけて先手満足。

このように△5二玉から待機するのは、先手から打開策がある。9筋を突き合う将棋は現状先手良しの結論である。

では後手が9筋を受けない場合を見ていこう。

この形のメリットは、後手が先攻する形に持ち込めるところ。

ここからは、新構想に関係しているので少しだけ手順を解説する。ここから後手に手段が2つあり、一つが△7五歩、もう一つが△6五銀だ。

△7五歩以下、▲同 歩 △6五桂 ▲6八銀 △8六歩 ▲同 歩 △同 飛 ▲8七歩 △8一飛 ▲6六歩
△3五歩 ▲5八角 △7七歩 ▲同 桂 △同桂成
▲同 銀 △3六歩 ▲同 角 △9四歩 ▲同 歩
△9六歩 ▲同 香 △9七角▲6八玉 △7五角成
▲9三歩成 △7六歩 ▲8六銀と進む。

まだまだ続くが、ここから千日手以上に持ち込めないというのが現在の見解。

また、△6五銀だと▲5五銀 △4三角 ▲6六歩 △7六銀 ▲同 銀 △同 角 ▲6八玉という展開。

△6五角を消して、次に▲7七銀 △4三角 ▲4五歩の狙い。後手は△7五歩か△3五歩かといったところだが、どちらも難解ながら先手持ちのようだ。

この変化以外は相当後手もやれるのだが、この変化が強敵で後手が苦戦している。以上が先手角換わりの現在の見解である。

新構想△9三歩型+一手パス

それでは、今回の新構想を紹介していこうと思う。まだ浅い研究ということだけ理解していただきたい。

9筋の位は取らせる。このままだと先手満足の局面になってしまうが…。

△8三飛 ▲4八金 △5四銀 ▲2九飛 △8一飛
▲5六銀 △4四歩 ▲7九玉

△8三飛と一手パスしたことで後手玉の位置が△3一玉→△4二玉になっている。これがどう影響するのか。

先ほどは△7五歩も△6五銀も先手満足になったが、ここでは△7五歩として同様に進めてみる。手順は先ほどと同じである。

ここで後手玉の位置が違うことにより、後手満足になる変化がある。

△同 飛 ▲同 歩 △同 馬 ▲7七歩 △8五桂

この時に▲7一飛と打たれてもまずくならないのが△4二玉型のメリット。△3一玉型で▲7一飛と打たれて、△2二玉 ▲2四歩となるとすぐに潰れ形になってしまう。

△8五桂以下、▲7一飛 △7七歩成 ▲5八玉
△7八と ▲3五歩

△3五歩や△3五銀の筋を防ぐ。

△6八と ▲4九玉△ 5一金 ▲2六桂 △3四歩 ▲同 歩 △2二銀 ▲3三歩成 △同 銀 ▲3五歩 △3四歩という珍しい手順の千日手になる。

△3四歩 ▲同 歩 △2二銀とすることで、次の△3五銀を狙う。先手はそれを嫌って▲3三歩成 △同 銀 ▲3五歩と埋め直すという攻防。

このように、△9三歩型で一手パスをすることで先手有利だった局面が千日手に持ち込めるというのがこの構想の一番のポイントである。

一手ずらしたことによるメリットはいま述べたばかりである。そしてここが重要なのだが、①一手ずらしたことによりこれまで後手が満足になっていた局面が後手不利になる可能性が出てくる ②一手パスが本当にできるかどうかが怪しい というデメリットが出てくる。この穴を潰さない限り、この作戦は使えない。

基本図

基本図から、▲7九玉(これはすでにやった)、▲6六歩、▲3八金、▲6九玉が考えられる。


一旦ここまで。まだ研究途中なので、随時更新という形を取らせていただく。

おまけの自分語りなど

この作戦はソフトが見つけたというよりかは、急に閃いたのをソフトにかけてみたら案外有力だったという感じで、ちょっと嬉しい。この作戦が市民権を得れば自分のことを天才と褒めたいところだが、まあそんなことはないだろうね。最近角換わりに関して閉塞感を感じているので、角換わり後手プレーヤーには頑張っていただいて角換わり先手必勝厨をぎゃふんと言わせてほしい。ただ先手角換わりが強すぎるので、寝返ろうかなとも…。

あとデメリット②「一手パスに持ち込めるかどうか問題」だが、これは恐らく大丈夫とみている。基本的には▲6九玉には(まだ載せてはないが)後手から仕掛ける順があるし、△4四歩と突けているので▲4五銀のぶつけもない。先手から手段はない…はず…。もともとパスは後手の特権だったはずなのに…。先手でやろうという発想がすごいね。


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