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路上のホールスピーカーだ‼️ ”WOOFER" -魂を揺さぶる重低音-

近頃
“ステレオ” という言葉は、もはや死語らしい。
単車乗りが言うところの、 ”キャブレター” や “チョーク” 然(しか)り。

昔、買えもしないスピーカーを、 電気屋街へ、よく聴きに行ったものだ。
オンキョーやダイヤトーン、そして憧れのJBL、

あの頃、大きいことはステイタスだった。
デカくて重くて、ただものではない存在感を漂わせ、
狭いリビングには、どう見てもオーバースペックな、
そんな巨大スピーカーが、 場違いな低音を轟かせていた…。

もう気づいただろう
そう、いま跨っている単車と何ら変わらない。

この狭い道路に、自身の年齢に、 そして “時代” に、
おおよそ不釣り合いなこの、“デカい”バイクも、所詮、今にそぐわない存在だ。

2本の排気管から吐き出される 怒涛の重低音は、まるで
あの頃の、 ステレオスピーカーそのものじゃないか。
耳に突っ込んだだけの、 今どきのBluetoothイヤホンなんかじゃ、決して体感できない、
身体ごと魂を揺さぶる、重低音の咆哮。

無駄なことが“悪”とされるこのご時世、
コスパの良い軽自動車だけが、 車じゃないだろう。
スピーカーの口径も、単車の排気量も、
扱いきれない “チカラ” こそが、 憧れだったはずだ。

流されるな、そして、小さくまとまるな、
志と同じく、大きく且つ不変であれ。

エコや燃費の悪さなど、ものともしない、
無駄で時代遅れな、大排気量のWOOFERが、 くたびれかけたこの胸を、揺さぶり続ける。
どこまでも、
激しく、深く…。


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