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卿卿日常〜その哀哀日常のすべて Part1

2022年正月
暁晨は東北の実家を久しぶりに訪ねていた。
恐らく、オリンピックのために開通した郷里までの高速を試してみたかったのだろう。

音楽を軽快に鳴らしながらの家路

そして"ワイルドフード"と呼んだ焼鳥を外で焼いている姿などを紹介してくれた
大きな恐竜のぬいぐるみは恐らくぐるぐるちゃん(暁晨の二歳になったばかりの息子)のものだろう。

ぐるぐるちゃん作と思われる蟹が大好物の恐竜

ぐるぐる("咕噜咕噜"。中国では本名とは別に、子どもをあだ名で呼ぶ)ちゃんが恐竜がブームであることに、私は気づいた。

暁晨と彼の父、ぐるぐるちゃん
このようすは独身時代のもの。上の乾杯の写真は一昨年の正月。

そんな暁晨の故郷は河北省張家口だ。
2022年の春節、中国では待望の冬季オリンピックが開かれ、張家口はジャンプやクロスカントリーなどのスキー競技の会場となった。

この7年前、張家口が会場に決定した時、暁晨は《皇帝の恋》の撮影を終えたばかり、両親と食事をしていたそう。
7年の間に張家口は突貫で整備をし、それまで北京から汽車で8時間だった道程が車で一時間半になるなど、交通インフラも非常に便利になった。

選手村。現在はスキーリゾートとして利用

世界遺産、大境門は開会式の日歓声に湧いた
暁晨もお堅い文芸番組ではあるが、ゲストとして招ばれ故郷を紹介した。

番組紹介暁晨出演部分の映像はこちらから↓

紹介された作品はどれもCCTVから放送されたもの

新たな仕事

冬季オリンピック開会式を見た暁晨の感慨

北京オリンピックが始まってすぐ
暁晨は家族(ご両親も一緒だったかは定かでない)ぐるみで横店(浙江省にある巨大な撮影所)に入った。
私がその仕事を知ったのは、その一か月前の事務所の"2021年のスケジュール"に於いてだった。

暁晨の所属事務所は陳坤殿下と周迅妃殿下が創った《東申未来》。

《待播作品》の欄、永久にお蔵入りとなった『瀧夜曲』の側に《新川日常》(後に《卿卿日常》に変更)という作品が。
原作の舞台は清朝だというので
長慶兄さま以来の辮髪スタイルか、と思ったが、それを唐の時代に置き換えたと聞いた。
撮影が始まり間もなく、インスタ(暁晨は微博と緑洲…微博と連動した中国版Instagramのようなもの、Instagramの3つで棲み分けている)であるラブリーな風船の写真が上がった。

恐竜の風船ーーー恐らくぐるぐるちゃんに買ってあげたものか、それともぐるぐるちゃんを思うために買ったものかーーー
萎んでも、それを北京に持ち帰ってヘリウムを充填すれば良いわけで、相変わらずの穏やかな遊び心に笑顔になった。

ベッドの上から見上げているような暗い写真のなかに、離れて過ごす寂しさと、妻子に会いたい恋しさが表れていて、そんなところがとても彼らしい、と感じた。

ある日も上がったこの写真を見たとき、ちょっとした考えが閃いた。
ウッカリ暁晨が写し込んだ外の風景ーーー
電飾が施された大きな滞在ホテルの近くに、また別のホテルらしきもの。
それを元に暁晨の滞在先を特定できないだろうか?
何とか写真を拡大し、電飾の文字を解読しようとしたがなかなか難しい。
しかし私と同じ閃きと、行動をしていた人がいた。
それは私の盟友、片腕、同志でもある張暁晨のファン、悦姐姐さまだ。
二人で協力し地図と睨み合い、私は気分が悪くなるほど探したが、やはり見つけたのは悦姐姐さまの方だった。この有能すぎる諜報員ーーー私は張暁晨全球後援会日本支部、というのをお遊びで創り、悦姐姐さまは組織の6番目の会員にして情報収集を請負って下さるため、隠密とかくノ一、などと呼んで称えているーーーである悦姐姐さまは、とにかく速い。

眼下に写っていたのはたしかにこのロゴ。
ということで
暁晨の滞在先は"横店と言えば大抵ここ"
金華豊景嘉麗大酒店。

そして電飾の考察から、最上階のこの凹んだ部分の窓から撮影したと思われ、そうすると多分この部屋だと。

他に映っていたものも即座に見つけてきて下さった悦姐姐さま

判ってみれば何とも他愛のない結果だったが、楽しい思い出ーーー悦姐姐さま、ありがとうございました。
ところが程なくしてある日の正午ごろ

暁晨の絶叫が響き渡った
"この状況に相応しい写真が見つからない"
"最近セリフを大声で叫ぶシーンばかりだったからつい"
ーーー
私をはじめファンたちは何ごとが起こったかと訝った

その夜
暁晨は顛末を明かした
あの風船が部屋に戻ったとき消えていたのだった。
風船はどんどん気が抜けてゆき
天井から下へと下がり、最後の写真では腰のあたりまで下がってしまっていた

最後のすがた

もしかこの日は
床に相当近い所まで下がっていたのだろう
掃除に来た従業員がごみと判断して持って行ってしまったのだった。
"(画像の)色調の変遷をみると僕の心の変化もわかる(当初インスタだけで紹介していた。テキストはなし。愛着が湧くに従って彩度がたしかに上がっている)。
10と5日経って僕の恐竜はついに掃除婦によって連れ去られてしまったんだ…最後の画像が彼の最後の姿となった。僕の仕事も終わりに近づいている。今まで付き合ってくれてありがとう。
君が日に日に萎んでゆく様子を見ながら、僕は君をこのまま手元で萎らせるよりもいっそ窓から空へと君を解放してあげた方がいいように思えて、躊躇していた。それは君に対する愛着だった。この見知らぬ場所で独りぼっちな僕と一緒にいてくれた君、僕はもっと早く君が自由な虹になって僕の未来をも虹色で照らしてもらえるように外へ解放すべきだった。
君は今頃きっと汚物にまみれ、片隅で息も絶え絶えにもがいているに違いない…
この世には素晴らしいものや美しいもの、エネルギッシュなものが溢れているけれど、必ずしもそれらばかりの世界にいられるとは限らない。
ありがとう、世界はこんな理不尽であっけないものだって、君は教えてくれたんだ。
ただ笑ってそれらを受け入れるにかぎる。
この世の美しい虹色は君なんだって思うことにするよ"ーーー

これを読まれた方々は、この風船を通して私が伝えたかった張暁晨という人はどういう人間なのか、何となくお分かりになっていただけたと思う。
センスがありユーモアがあり、家族と仕事を愛し、どんなものにも愛着を持ち、驕らず、嫉まず、己を律してこんな風船の行く末までも、想像して心を痛め、しかしユーモアと教訓で解決している。
そしてまた、風船に演じた尹嵩を重ねていたのだということがのちに分かる。
《卿卿日常》という作品についての紹介を読みに来たのに、長々と風船やホテルがどうの、どうでもよいではないかーーー
そう思われたかもしれない。
しかし暁晨という俳優は、こんな日常の些細なところから、作品へのインスピレーションを得る人なのだ。
虹色の背びれを持つ恐竜風船ーーーこれは後に暁晨が明かしてくれたことから、暁晨は春節を利用して今回の撮影に際し横店に家族で入り、暫く一緒に過ごしたものの、思ったより撮影が長時間に渡り家族との時間が取れなかったために、考え直して別れることにしたらしいことがわかった。
風船はやはりぐるぐるちゃんがパパに、と残していったそうだ。
春節を愛する家族と過ごす時間を持てなかったーーー
暁晨が仕事から戻るといつも待っていてくれた風船。息子が大好きな恐竜のーーー
この風船は、今回の作品を演じていた暁晨の心に常に浮かんでいたキーアイテムなのだ。

"家族が恋しくなる"
"叫んでばかりでつい大声が口をついて出た"ーーー
暁晨がそういう想いを乗せて私たちに紹介してくれた出来事と心のうち
今回本編を見て
私は彼がどんな気持ちで恐竜風船と過ごし、彼が居なくなってどんなに悲しかったか理解することができた。
初めて張暁晨を知った方々に、この心象豊かで優しく粋で純粋な、彼の性質の一端を風船のエピソードで感じ、覚えておいていただきたいと思う。

バレンタインである2月14日、北京では雪が積もった。雪が大好きな暁晨だが、残念ながら横店では霙が降りしきるばかり、積もることはなかった。
ただ非常に寒そうな風情が感じられる。
その頭上には金色の冠。
位の高い官吏か何かの役だろうか、私たちにはそのくらいしか分かり得ない。
クランク・アップは暁晨が雄叫びを上げた一か月後の3月23日。

賑やかな集合写真が今回は高曙光さんにより見ることが叶った。高曙光さんは恐らく皇帝、白敬亭は主人公、他のキャストは知らない人ばかり(このときは《贅婿》鑑賞前で高曙光も劉冠麟も知らなかった)、暁晨は服装からしてやはり大臣…?しかしこの間の冠はずいぶん立派だった。

劉冠麟、姫暁飛、暁晨、高曙光

そして髷を手で隠しているこの姿から、冠を隠すことで位のネタバレを避けている?と思った。
ということは皇位を簒奪するとかいう筋だろうか、と早くも悪役への懸念が過ぎった。万年悪役の張暁晨ファンの悪癖だ
このあたりからどんな役がらか、という問題が持ち上がる
風船事件からこの役がら勘違い事件まで、全てがこの後の大事件へと繋がっていく。

定档、播出

9月14日
早くも《新川日常》は放映許可を獲得
タイトルは《卿卿日常》と変えられた
中国ドラマにはよくあること。
しかしその群像海報には暁晨の姿はない。
いつものことなので
胸は痛んだが慣れっこだった
注目すべきはそのクレジットだ
主演(中国ドラマでは主役を領衛主演、レギュラーの脇役を主演と呼ぶ)筆頭だ。
今まで暁晨は末尾が多かった。
ゲストや友情出演、カメオ出演など、スポット的な立場が多いうえに、アルファベット順(拼音の関係で)だと"張"はZ、"暁"はXなので末尾、記事からはみ出て表からは見えないことが多かった。
こんな些細なことがらも私は気にする
なぜか?
なぜかってそりゃ自分の愛する人の名前が居るのに無いだなんて悲しすぎるからだ。
サテこの日明るみに出た今回の暁晨のすがた
スチルでは目に鮮やかな青い袍を纏っている。
このスチルが上がった記事のコメントで、私の第1次勘違いが発生する。

ここでファンの一人が、"あなたは出演陣の中では何世代にあたるの?"と聞いたとき、彼は"どういう意味?僕は"パパ"世代だけど"
と返したのだが、私はうっかり最後の"么"という文字を見落とし、"僕は彼女らの("他"は彼の、という男性代名詞だが、ここも自分に都合良く"彼女らの"ーーー本来なら"她"であるはずのーーーとしてしまった)パパだ"と読み取ってしまったのだ。

そこで私は、目の前にいる女性二人が暁晨の娘で、白敬亭演ずる主人公に嫁ぎたいと騒いでいる彼女らを諭している場面では?(主人公の嫁取りから話が始まる、という触れ込みだった)陽気な、オースティンの《高慢と偏見》に出てくるような愛され系なパパだといいな、と夢を描いた。
ところが←その1ところが

この勘違いを引っ提げて先程の青い袍のスチルに私が送ったコメントに暁晨が反応。
私:初めての父親役に本当に期待しています!
暁晨:僕は彼らの父親なの?
古参の先輩ファン(この方は総元締めのような存在):彼女はどうやら何か勘違いしているみたいね
ーーーそう、私は恥をかいてしまったのだ。
そしてもう一件。

定档海報
角色海報(主要キャスト別ポスター)
性格悪そう←大当たり

許可が降りるとそれからはひたすらお百度を踏みながら放送日を待つだけだが
これがおいそれとは行かないのも日常茶飯事
しかしながら《卿卿日常》はすぐに放映決定となった。
11月10日!
その日は晴れて情報が解禁となる、ちょっとしたお祭りだ。
角色海報では、陳小繧と陳紫函に挟まれて不敵な笑みを浮かべる暁晨が。
二人共に女優さんは有名な人だ。
この二人と深い関わりを持つことが窺える。

↑ここで一転、陽気なはずのパパが"しょっちゅう怒っている"という前評判に。←その2ところが

新たに発表されたスチル。先程の予告と同じ場面だろう。
藤色の袍が何と高貴でエレガントなことか、うっとり。何を、誰を見つめている場面だろう。期待が高まる。
この藤色や紫色が今回の暁晨の役柄のテーマカラーみたいな感じになっているのだが
これも後からステキ→〇〇へと変わるのだった

ところがーーー←その3ところが

新たな海報が上がる度に危ぶまれる
"善人か悪人か"問題
陽気そうな登場人物たちの中にあって
全く笑顔がないこのギラギラした眼だけが
不安材料でしかない

暁晨は"尹嵩は作品中の登場人物の中で唯一の善人"と宣った
しかしファンはそれならば唯一の悪人なのか、と判断する
いつもそのホラに騙されるからだ
勿論私も信じていない
信じていないが探りを入れた
私:…それは本当に?(ドキドキ)
そこへ間髪入れずに暁晨は
"はい"と返した
これを信じてよいのか否か
本人が言っているのに信用できないという
これも暁晨ファンの習性のようなもの
ーーーこのやりとりのせいでまた混乱を極めるのだった

カウントダウン海報。《卿卿日常》は日数カウントダウンのものは作られなかった

待ちに待った開播日!

暁晨本人による、開播告宣。いつもワクワクする瞬間だ
群像海報その二。たくさんのキャストによる、ホームドラマな雰囲気だとわかる。ここにはいた。
所属事務所の開播海報。最も心待ちにするもの。
配信カレンダー。
始まってすぐに6話まで見ることができ、以降毎日2話ずつ放送され、最終40話まで約1か月。一気に放出される中国独特のやり方。
角色(役柄)個人海報。"何を釣り上げようとしているのか?"

暁晨の今回の役名は"尹嵩(YinSong)。いろいろ調べた結果、彼は新川という九州の一、州を統べる川主の11人いる少主(皇子に相当する)の上から2番目、ということがわかった。
11人のうち(他にも女子のきょうだいがいるが割愛)川主夫人、つまり皇后腹の嫡流は二人、あとは庶子である。

年長組7人

兄弟は上から
大少主尹崐(yin-kun)
二少主尹嵩(yin-song)
三少主尹岸(yin-an)
四少主尹峻(yin-jun)
五少主尹岐(yin-qi)
六少主尹崢(yin-cheng、主人公)
七少主尹岩(yin-yan)
八少主は夭逝
九少主尹崡(yin-han)
十少主尹岳(yin-yue、尹嵩と同腹)
十一少主尹崽(yin-zai、主人公尹崢と同腹)
となっており、覚えるまでが大変だった
尹嵩は嫡流の第一男子。庶子である兄尹崐は国境の守りを任され宮廷にはいない。
実質尹嵩が兄弟たちの長としてハバを効かせているのである。

二少主だが嫡流の第一男子のため、嫡長主、と呼ばれている。
その評判は"才貌双全""智勇卓絶"。
既に正室を娶っている。
臙川から輿入れした郝葭は最初から、側室でも構わない、と将来性No.1の尹嵩をロックオンしていた。

記念すべき初登場は、学舎で弟たちが8州からそれぞれ自分たちのために嫁いできた娘を値踏みしながら楽しんでいるところへ、既に妻帯している兄二人がやって来るという場面だった。

二少主が重た〜〜いテーマ曲を鳴らしながら現れた途端にユルかった学堂に漲る緊張感!!
現れるやその細身と長身小顔撫で肩、優雅で高貴な佇まいに目を奪われる。

二少主、尹嵩兄さま←以下尹崢目線の呼びかたでお送りします
に気がついた弟たちがめちゃくちゃ慌てて居住まいを正す
それは即ち尹嵩兄さまが煙たくて嫌われていることを表す
みんなが尊敬し崇拝し懐いている存在ではないということだ

特に奔放さが目についた5少主尹岐兄さまをロックオン、無言で持っていた絵を見せるよう強要。
引ったくりかたがもうプロ級

尹岐兄さまが眺めていたのは今回の輿入れではぴかいち美女だと評判の郝葭。

見下したような態度で弟たちを叱りつける
尹嵩兄さまも女は大好きだが
本分を忘れたりはしない
本分を忘れることなどできない立場なのだ
ユルい生活を送っている弟たちが恨めしい

同腹の弟にも釘を刺す
"我らは庶子の者らとは異うのだ、そこを忘れるな"

最後に効かす睨みが張暁晨
この短い間に
尹嵩とは
尊大で己に厳しく嫡長主という血筋と正統な立場、それを嵩に着ており(まさに名が身を表しているではないか)誇りを持っている(頼みにしている)こと、弟たちを見下していること、弟たちから嫌われていることなどが読み取れる

釣りをする尹嵩兄さま
とそれに付き合う尹峻兄さま(四少主)と付き合わされている尹岐兄さま(五少主)
ここで早くも角色海報のシーンとなった

尹嵩兄さまは自分が担当している治礼司でのポストを尹岐兄さまに用意してやる、と偉そう
同時に人事も何もかも尹嵩兄さまの思いのまま、ということも窺える

尹嵩兄さまをヨイショしてばかりの尹峻兄さま
兄を見つめるその眼差しは兄さまを好きなの?と思うほど←実はそんなことは全然なかったことが後になってわかる
尹岐兄さまは正式に出仕することなんかに全く興味などない。
面倒くさい説教をウンザリ聞いている
話が尹岐兄さまのこき下ろしに及んだときーーー

ずっとそばでその様子を見ていた尹崢ーーー主人公が碁石をわざと取り落とし話の腰を折る

四阿にいる6弟の碁盤に目をとめた尹嵩兄さま
尹崢が自分を凌ぐ頭脳の持ち主ということだ
ならば一局対戦し直にその才能を確かめん

お腹が…
と腹痛を訴える
この6弟は胃腸が弱いのだ
尹岐兄さまは助かった!とばかり介抱しながらその場を退散しようとする
"ならば休んで来い"
と促す
そして
ヒヤリとしたものの自分に言い聞かせる
大丈夫、6弟の出来が自分を凌ごうとも
あの病弱なからだと弱気で無気力なようす
自分を脅かす存在にはなり得ないーーー

そこへ
打算女郝葭がやって来る
彼女は一生の安泰を懸け勝負に来たのだ
何としても尹嵩に自分を選ばせるきっかけをつくらなければ、と

尹嵩兄さまは既に正室がおり
嫁ぐとしても側室でしかない
それでもーーー

弟の残していった碁盤を分析している尹嵩兄さまの頭上から
尹嵩兄さまの手をあからさまにヨイショする
褒めちぎられた尹嵩兄さまを嬉しそうに聞いている尹峻兄さま💕💕💕

あざといほどに自分に媚びるこの女の意図を理解し
面白そうに笑う尹嵩兄さま

嬉々として送って行こうとする弟を制し

目の前でかっ攫ってしまう
狡い兄

夫&妻×2=?

郝葭は思惑どおり尹嵩の側室と決まった。
床入りの日
婚礼衣装を纏った郝葭に正室である趙夫人は定番の虐めを行う

茶を目上の立場の人物に差し出す習慣には大抵格好の試練が待っている
例えば
茶が冷めたと言って淹れ直させる
熱すぎると言って以下同文
飲むふりをしてテーブルに置く
茶を相手にぶち撒ける
などだ
郝葭が受けたのは熱い茶を注がれても熱さに耐えながら持ち続けるというもの。

何とか耐えて卓に置いたところで
嫡長主のお出まし

後ろからすっと現れそのままその赤く腫れた手を取るまでのこの色気!

正室からしたら新しい女がやってきて
家中に婚礼の装飾がされ
傍らの夫は花婿の衣装
心中穏やかでいられるわけがない

郝葭が黛川(正室芳如の出身地方)の茶を自分も飲みたいというので
尹嵩兄さまが差し出したが

それを払いのけて叱りつける芳如
ここでは烈しい性格を顕していた芳如なのに…

静かにその様子を見ているだけの兄さま
こういうキャラがいかにも張暁晨にぴったり
もしくはそういうキャラを暁晨が創り出したのだ

初めてこのクールなタイドを見たとき
正室をあまり愛していないということと
郝葭を"大切に思ってくれている"という二つのことを理解したが
全てを知った今は
"何を偉そうに"
と思ってしまう
そう
この尹嵩は最低野郎なのだ
最初のうちはコメディ色が非常に強いことと
他の少主ん家がみんな楽しそうなんで
嫡長主ん家もどんな風に描かれるのかと
夢を描いたものだったーーー

凛とした表情が本当に美しい陳紫函

優しく立たせ怪我した手をいたわりながら取り
正室に背を向け去ってゆく
張暁晨の"愛しいもの"を護る仕草や包み込むような優しさは
いつもうっとりとさせる
その眼差し
その指先
衣擦れの音さえも

今からこの正室と側室になった郝葭
間に挟まった尹嵩兄さまと何が繰り広げられるのかーーー
ところが←その4ところが

閨にゆき軟膏を塗ってあげる尹嵩兄さま
郝葭が火傷をし
それを優しくいたわった態度を見せたときから
私が期待したシーンだ
というのは
私が最も大切にしている作品でありキャラクター
初めて私が見た張暁晨であり
初めて私が愛した張暁晨の役がら
《皇帝の恋》の長慶にも同じ火傷を手当てするシーンがあるからだ

そのころ長慶は愛しい恋人
芸初を避けていた
宦官である自分に熱を上げている芸初を男として不完全な自分が応えてあげられない苦悩からだった
自分から離れた方が、という想いからだった(ハンカチで目を拭う)
←すみません
しばしお付き合いください

しかし芸初にとっては急に態度を変えた兄さまが理解できず、気も漫ろとなり、うっかり鏝で火傷してしまったのだ

差し入れの肉餅をそっと置いてゆく兄さま(泣)

この肉餅は兄さま手ずから作ったものだ
長慶は厨房で
芸初は洗濯場で働く奴婢なのだ

言葉少なな二人による切なさ全開のやりとりの数々
張暁晨にせりふなど必要ない

このときも
その健気な姿に絆されて無言で食用油で手当てをしてあげるのだ

無言で手当てする長慶の優しい指さき
それならなぜ無視し避けるのか
ジッと見つめる芸初

いつもの笑顔で一言だけ
言葉をかけてくれた長慶にここでやっと安心し
"やっぱり大好き"
そう思う芸初だった
このシーンは本当にいいシーンなのだ

しつれいしました
優しい尹嵩兄さまの笑顔
郝葭が本当に尹嵩に尽くす気持ち
寄り添って理解してくれる気持ち
もしくは
正室と確執してゆく
さらには
尹嵩が例え悪者だとしても共に闇堕ちしてゆく
そんな展開ならどんなによかったろうーーー

この作品はそれぞれの少主(皇子)とその妻たちが織りなす理想の夫婦のかたちが描かれる
その中にあって
この二人だけが
最初から打算で一緒になった
郝葭は結婚はビジネスだ、と豪語し
一生を委ねるなら将来川主になるに違いない嫡長主に狙いを定めたのだ

郝葭は自分が大好きでやり手だと思っている
もちろん尹嵩はそれを見抜いているーーー

尹嵩兄さまのママ、川夫人が寝込んでしまったためにお見舞いに赴かねばならなくなった
今日も正室に虐げられている郝葭を行かせることにした尹嵩兄さま

跪かせられている郝葭を立たせる

新しい嫁を殊更大切にすることで夫人の神経を逆撫でする

今のところ愛されており得意気な郝葭
彼女は例え屈辱的なことをされようとも
自分に自信があるためヘーキだ

そう、ここがあの私が勘違いしたシーンだったのだ
鮮やかな青の袍が何と映えることか
袂を捌く指先が優雅でうっとりするわ

芳如くんは跪くのがお嫌で
郝葭くんは跪くのが上手らしい
そこでだ
今回ママの所へ行って跪く役目は郝葭くんに頼むことにした

最高に嫌味

その夜、尹嵩兄さまはおかんむり。
ママは他の嫁共々会わないと言って追い返したのに、6少主(主人公)んとこの側室(ヒロイン)とだけ会ったらしいと聞いたからだ。

"君たちはバカなの?
ビワ・ジュースくらい君たちでも作らせられるでしょ?"
すみません、今回AI字幕なる珍奇なもので視聴したので戻らなくなりまして
時々普通モードに戻ります

すると郝葭がすかさず
"6側夫人は私の幼馴染なので、みんな外に並んでました、って伝えておいてと頼んでおいた"
と教えたのでヒスは直った。

"なるほど、よくやった。頭が回るとは思っていたが、やはりよく回したな。ご褒美をやろう"
と今夜の伽の権利をプレゼント
あからさまな寵愛の偏り

だからこの頃の郝葭はヘーキ、むしろ得意だったのだ
他の女友達らはまだまだ嫁いだ相手とはゼロからの関係を築かねばならず、親友はお子様
自分はこうして正室を差し置いて寵愛を得ているのだからーーー

兄弟たち

パパの書斎に兄弟たちが朝の挨拶
一番上の大少主は辺境勤めのため
尹嵩兄さまが筆頭だ
三少主尹岸は今は宮廷から遠のき、顔を出そうとしない

噂には24人の美女を揃えんと贅沢、女色に溺れているのが聞こえてくるが、尹嵩兄さまは邪魔な兄弟が大勢いるのはウンザリなので迎えにゆくのを拒否

他の兄弟も尹嵩兄さまの顔色を窺って拒否

結局主人公が最初の手柄ーーー
ならば私が呼び戻してみしょう、と名乗り出て成功してしまったのである
尹嵩兄さま、詰めが甘いのよーーー

ある夜の団欒の時間
正室芳如が機嫌を取るため他の少主やその夫人らの呆れた所業を吹き込んでゆくのを
郝葭は面白くない風情で聞いている

"ふざけた連中め
しかしながら6弟が最近になって急に何やら怪しい動きをしている

お前は他の兄弟の夫人らともう付き合うな"
そう言われて
"付き合わなくていい理由が見つからない"とか何とか言って
このまま付き合っていきたい様子な郝葭

"その態度がもう私に歯向かってるっていうことを
覚えておけ"
暗にそう匂わせる
三つ指ついて従う慎ましい妻なら任しておけ、と割り切っていた郝葭も
好き勝手に夫を拒むわ罵るわ殴るわ床を共にするのを嫌って逃げ回るわ、挙句好きにしていいよ、そのままの君がすてきだ、などという『理解ある夫』をゲットした他の友たちを見て
とたんに不満が噴き出してきた

どうやら側室は不興を買ったと見た夫人が
ママへ差し入れをした、と自分の点数を上げる

暁晨は妻帯してから
こういった時興が乗るオトナな男の醸す色気と雰囲気を表現できるようになった
このやらしい目つき!
以前ならば涼し気な伏し目でフッとかニヒルに笑って表現したろう
まさに色事(暁晨の場合は奥様と理想的な夫婦関係を営んでいること)は芸の肥やし
ヨシ、よくやった
今夜の私はお前のものだーーー
夫婦とは床を共にしてナンボである
夫を"その気"にさせられるかどうかが寵を得る分かれ目

自信満々だった独善女はとたんに自身の居場所に冷める
"仕事だ、って割り切ってたけど
みんなに比べて私は貧乏くじを引いたわ
私もあんな風に好き勝手を許してくれる人がよかった"
などと
嫡長主だけに狙いを定めて他を見下して蔑んでいたくせに
寵愛をビジネスライクに掌で転がすつもりが
たったこれだけの束縛で一気に冷めるとは
女徳を熟読してたんではなかったのか?
よく言うわーーー

中秋の宴
今年は俄に蠢き出した6少主尹崢が担当した
長いテーブルに九州それぞれの料理が趣向を凝らされ並べられている
物珍しさにみんなが和気藹々と目を奪われているなか

7少主夫婦11少主、10少主。末弟を慈しんでいる
3少主夫婦
5少主夫婦

尹嵩兄さまがその場に現れたとたんにやはり皆の気が引き締まる、そして画面も引き締まる。
今回標準男子サイズの姫暁飛さん(4少主)がいつもピッタリ居て下さるため、その身の薄さも肩幅も際立つ。

ホストの6少主に表面上はにこやかにしながら
"これはどうした、椅子がないぞ。
私や父上らを立たせたまま食べさせるつもりか?"と揶揄う。
今回はバイキング形式なのだ。
見たことがないもの、いつもとは違うものに尹嵩兄さまは慣れないし思いもかけないのだった
こうしてどんどんと6弟に水を開けられてしまうのだ

そこへパパがお出まし

まずリードを取って挨拶するのは尹嵩兄さまの役目
暁晨の特徴的な声が響く

珍しさに上機嫌なパパの言葉を内心面白くないキモチで聞きながら
柔和な笑みと慇懃な態度は崩さない

これが発案者、ヒロインであり6少主の側室、李薇。郝葭の幼馴染でもある。

嬉々としてパパに喋りかける李薇に芳如が聞こえよがしに侮辱する
新川は堅苦しいしきたりに縛られている
しかし上機嫌のパパによって不問とされ面白くない二少主夫婦

李薇のアイディアで、八州それぞれの特式ある料理を、各少主の夫人(正室)が料理するという企画だったのだが…

呼びつけられたのは郝葭

芳如の代わりに郝葭が調理し
しかし芳如が作ったことにするという
この辺もこの2人が徹底的に序列の戒めを押してくる人間だということだ

このときは夫婦揃って酷い仕打ちばかり
結構結構、と思っていたのにーーー

この厚顔。

会場を室内に移して各々が自由に食べる

中国式に夫人が夫の器に取り分けたおかずを盛ってゆく
こういった正式な場には側室は来ることができない
正室だけの特権だ

兄弟を代表して乾杯の音頭をとるのも尹嵩兄さまだ
この美しい飲みかた!
髭がなければもっとすてきなのに…

嫡長主として

これは朝堂での尹嵩兄さま
主人公尹崢はまだ朝堂デビューはしていないが
この頃はパパの書斎で積極的に自分の意見を述べたりして
地味〜に頭角を伸ばし始めた
丹川の被災支援が済んだと思ったら今度は金川からの借金取り立て
金川はカネにうるさいのだ

かと言って今は丹川の支援にカネを遣い借金まで手が回らない
借金は返さねば
しかし金川には下手に出るような情けない姿は見せられない
両国の間に緊張が走り戦をするような雰囲気になるのも望ましくない
どうするーー

朝議中も色気をひたすら撒き散らす兄さま
いちいち後ろを振り向くためこうなる

"嫡長主"とパパが呼ばわりハッとする
緊張が走る瞬間だ
嫡長主として
次期川主として
模範的で最良で優れた意見を述べなければならない

金がないなら
持ってこなければ
しかしどこからーーー
一応民から搾り取るようなことは躊躇う兄さま
"考える猶予を"
と願うものの
一刻を争うのだがーー

"ではそうしなさい"
そう返されて兄さまは驚く
厳しかったパパが結論を先延ばしにした
なぜーーー?

訝る兄さま
パパは尹崢が丹川から戻るのを待ち彼の考えも訊くつもりだ
それを危ぶんだのは尹峻兄さまだった

帰りがけ
尹嵩兄さまは駄目元で尹岸兄さまを呼び止める

尹岸兄さまのママは金川から嫁いだが早くに亡くなり、尹嵩兄さまのママである川夫人に育てられたため、尹嵩兄さまにとっては一緒に育った乳兄弟のようなもの
金川の親戚とか人脈やマネーのツテなんかないよね?

とんでもない
ないですないです
尹岸兄さまも尹嵩兄さまが大の苦手
逃げられても尹岸兄さまの姿を追わず
その視線は先程のままーーー
これは暁晨のオリジナル表現だ
暁晨流とでも銘打とうか

"尹崢にお気をつけを"
と忠告した尹峻兄さまに

あんな6弟ごときに私が遅れを取ると?
と、ちくり。
恐縮する尹峻兄さまだが、本当に尹崢はもうすぐそこまで迫って来ている

庶子で
病弱
意志も弱く
居るのか居ないのか分からないほど存在感が希薄だった
そいつに嫡長主たる私が敗ける?

敗けるはずがない
自分は嫡長主なのだ
嫡長主だからこそーーー

しかし尹嵩兄さまは感じている
早くしなければ
何とかしなければ
奴が来る
もしかしたら途轍もない才能を持っているかもしれない
いつか
いや、僅かなうちに
嫡長主たる自分が庶子に敗ける日がーーー

Part 2につづく
















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