何者(小説) 感想

「Twitterやめよっかな」

読み終わった後に感じたのは、自分にも共通する「嫌」な部分と、そんな「嫌」な部分を見て「嫌だな」と思ってしまう自分が共存していることです。

朝井リョウさんの作品を読むことは今までなく、本作が初めてでした。

読んでみて「この人絶対性格悪いだろ(笑)」という感情を抱く部分もありましたが、読み終わるとその思いは確実なものになったと思います。

なんとなく嫌な予感は読んでいるうちにしてくるのですが、本当に最後の最後、空気がいっぱいに入った風船が割れるような場面に遭遇してしまって…。

後味の悪さは相当ですが、それも非常にリアリティがあります。「お、よく言ってくれた」という気持ちと、「お、言われてしまった」という気持ちの二つが五分五分あり、こうして言葉にまとめている間にも「こんな自分って痛いよな」と思わせてくる部分がある作品です。

映画でしか見たことはありませんが「桐島、部活やめるってよ」といい、「何者」といい、大多数の人間が持つどろっとした部分を随分上から観察されているような、そんな気分になります、この人の作品は。


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