高校入試(小説) 感想

「高校入試をぶっつぶす」

という大きな野望のわりに、結末は呆気ないというべきか、無力感があったというべきか、とにかく「そんなもんか」と言ってしまう結末。しかし、読後感は重く、「変化」するためには大きな「覚悟」が必要であることを教えてくれる作品です。

僕が抱いている一般的なイメージですが、このような題材の場合、入試を受ける側の感情であったり、人間性を中心に話が進んでいくものだと思っていました。しかし、この作品は入試を運営する先生側の視点で多く語られ、10代の少年たちの行動はどれもチープというか、「しょうもない」とすら思えるレベルに落ち着いているように見えました。

これが、僕が10代で読んでいたら、もう少し感じ方も変わったかもしれませんが。

高校・大学と進むうちに、インターネットの世界はとても大きく、そして利用する側に自由をくれる偉大な存在だと思うようになりましたが、社会人になるとその感覚も一変しました。所詮、サイバーの海に浮かぶ文字に力はなく、そんなことを発言している間にも覚悟をもって行動している人間の力で、世界は動いていきます。

そのような点では、「高校入試」というシチュエーションに特化しながらも、本作は自分が生きていくうえで重要な「覚悟」と、「変化」に必要なエッセンスが何かを教えてくれる一冊だと思います。

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