あたたかい小説 本を守ろうとする猫の話

心が不安でいっぱいなので紛らわせるために久々に読書をしようと思い、目に留まった小説を買って読んだ。それが夏川草介さんの「本を守ろうとする猫の話」だった。
手に取ったきっかけは大したものじゃなく、わたしは猫がすきで、猫を題材にした本を読みたいと思った、ただそれだけ。
読んでみると猫は主人公ではなく相棒的存在で、主人公は家族を亡くし、書店を開いていた祖父も亡くした、本を愛する男子高校生だったけど…ねこちゃんかわいからヨシ!

主人公の高校生夏木林太郎は「夏木書店」を営む祖父と二人暮らし。 その祖父が突然亡くなり、店をたたもうとしていた時、店の奥で人間の言葉を話すトラネコと出会う。 トラネコは、本を愛することができない“敵"から、本を助け出すため、林太郎に協力を求める……。


本の在り方について考えさせられる、読むとあたたかい気持ちになれる本だった。
ストーリーとしては簡単なものですごく読みやすいから読み応えみたいなところでは物足りなさを感じるけど、それをカバーするくらい主人公の言葉のあたたかさがあって、落ち込んでる時ほどそれがよく沁みるのでいいタイミングで読めたなあと思った。
あまり現実味のないストーリーは好きではないのだが、そんなわたしでも引き込まれる物語だった。
あらすじでは、本を愛することができない"敵"と表記されているが、それはちょっと違うかなと思う。
その"敵"の言い分に共感できる人は少なくないだろう。現に、わたしが主人公で敵の話を聞いていたら、「たしかに」で終わっている。だが本当の物語の主人公は違う。話の中の違和感に気づき整った言葉で相手に伝えることができる。敵と言われる相手にも本に対する思いがあって、本を愛しているからこその行動だと読み取れる。だから全く憎めない。平和。
本は好きだけど難しい本は苦手、たくさん読むわけじゃなくてたまーに読むよ、という人におすすめの小説だとおもう。(本全く読まないよ、というひとは内容が入ってきづらいだろうと思うので)

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