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気持ちの伏線回収

長く生きてくると、まあネガティブな思い出も溜まってくる。
お世話になりっぱなしになったお店…傷つけてしまった人…

やり残した事は、そんなにない実感はあるが、
時折、昔のどうしようもない黒い思い出が蘇ってきたりする。

過去は変えられるそうな。
今、過去をポジティブに考えることが出来たなら、
辛い過去は意味があったものとして変わるという理屈らしい。
でもなんとなく誤魔化してしまっているようにも思える。

未だ、辛さをそのまま受け止められない器の小ささか。
男は未練の生き物である。

オートバイで向かいたくなるのは、そんな昔の場所であることが多い。
多少の感傷を楽しみながら、
成長した自分と成長していない自分を確かめるのだ。
過去は何も変わらないが、改めてその場所に立つと、
何か伏線を回収している気分にもなる。

人付き合いの伏線回収は、現実的には難しい。
すでに別の生活をしているはずだし、
蒸し返してしまうのも怖い。
それでも過去の場所に立つと、ふとあの人が現れてくるのではないかと、
ありそうもない期待を膨らませる。

(ちゃんとお礼を言いたい…ちゃんと謝りたい…)

何十年も前に立った場所で、気持ちの伏線回収をしようする自分が居る。
けっして悪い時間では無い。

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