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第1ボタンの人

毎週木曜23:59から日本テレビにて放送中の「イタイケに恋して」第5話を観た。

内容を要約すると、高校の同級生だったおばちゃま3人の初恋相手(みつるちゃん)が、高校時代に残した「俺はT・Sが好きだ」というメッセージの"T・S"が誰か突き止めるという内容だった。

※以下、ドラマの感想や考察は書かない。
あくまで自分語りをするので注意願いたい。

「イタイケに恋して」第5話の中で、みつるちゃん(初恋相手)と清水たえ(演︰山村紅葉)が恋仲であった証拠を出す際、たえは制服のボタンを提示していた。

そのシーンを観て、私もとある男子から貰ったボタンの存在を思い出した。
今でこそ、家のちょっとした引き出し収納の中にしまわれているが、大学2年生くらいまではお守り代わりに、毎日カバンに入れてこっそり持ち歩いていた。

その彼は保育園時代からの幼なじみ。小学校は別々だったが、中学校で再会を果たし、仲良くなった。
彼は、テストの成績は毎回学年1位かつ運動もできて、おまけにピアニストになれるくらいピアノが上手だった。彼が弾くフランツ・リストの「ラ・カンパネラ」が大好きで、触発されて私もエレクトーンの発表会で弾いたこともあった。
それでいて生徒会長も務めていた彼は、今思うと少女マンガに出てくるような人だった。

そんな彼からボタンを貰ったのは、高校入学直後。同じ高校に入学した私は、彼に「この前のバレンタインのお返しに制服のボタンちょうだい」とねだった。

後輩からもモテるだろうから無理だろうな…


半分諦めていたが、あっさりくれた。
後日談だが、やっぱり彼は後輩からもボタンをねだられたそうだった。
しかし、袖ボタンしかあげなかったそうだ。

理由は分からないけど、私には第1ボタンをくれた。ちなみに他のボタンは誰にもあげていないそう。

その日の帰宅後、私はすぐに小さな巾着(ボタンケース)を作り、ボタンを入れた。そして通学に使っていたカバンのポケットに入れて常に持ち歩いた。

そんな彼とは、いきなり別れが訪れた。

忘れもしない高校2年の冬。
彼は何の前触れもなく突然姿を消した。学校にも来なくなったし、音信不通にもなった。

彼は私にしか話していなかったようだが、病に侵され通院していた。詳細までは知らなかったものの、嫌な予感がした。

慌てて連絡をしようとしたが、時すでに遅し。LINEのアカウントは消え、彼に教えてもらっていた携帯電話の番号・メールアドレスに連絡しても繋がらなかった。
彼のクラス担任はクラスメイトたちに「転校した」と告げたらしい。

そんな彼を今日、ドラマのふとしたシーンで思い出した。久しぶりに見た第1ボタンは少し黒ずんでいたから綺麗にしようと思う。几帳面で綺麗好きな彼に怒られちゃうからね。

いつかフラッと現れてくれないかな。